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犬が生理になったときの対応と気を付けたいこと~症状・周期・期間・対処法

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まだ1歳を迎えていない愛犬のトイレシートに、血がついて驚かれたことはありませんか? それはもしかしたら生理かもしれません。生理が始まると、犬は発情期を迎えます。では発情期の時はどんなことに気を付けたらよいでしょうか? 望まない妊娠を避けるためにも、どんな点に注意をしたらいいのか知っておきましょう。

1. 犬の生理の仕組みとは?

メスの子犬は成長し、成犬に近いくらいの体格まで大きくなると、子犬を授かれる期間(発情期)と、そうでない期間(無発情期)とを定期的に繰り返すようになります。この繰り返し起こる一連の周期の事を、「発情周期」と言います。この発情周期の中のある一時期には、女性の生理(月経)と同じように外陰部からの出血を伴う症状がみられる事があります。このことから犬の発情を「犬の生理」と表現することもあるようです。

発情は、オス犬と交配して子犬をお腹に授かるために、ホルモンの作用によってメス犬の体の準備が整えられる現象です。犬の場合は、数カ月ごとに一回、発情とその後の体の変化を繰り返します。特に女性の生理のように外陰部から出血がみられる時期を経過したその後に、妊娠していなくても妊娠した時と同じように体の中のホルモンは変化し続け、それに応じた様々な体調の変化や症状も定期的にみられます。

そのことからは、実際には犬の発情は女性の生理とはずいぶん異なった仕組みであると言えるでしょう。ここでは、犬の発情の仕組みと、その時にみられる犬の体調の変化、その時にするべき対応などについて、お伝えしたいと思います。

2. 犬の生理の期間と周期とは?

犬が最初に発情期を迎えるのはいつ?

ある程度発育したメス犬は、交配して子犬を授かる事が可能な期間(発情期)と、そうでない期間とを定期的に繰り返します。この一連の周期の事を、「発情周期」と言います。一般的には、7~10カ月以降で最初の発情期を迎えることが多いですが、犬種や季節、飼育環境などの影響も受けるため、1歳を過ぎてから最初の発情期を迎えることもあります。

最初の発情期を迎えた後は、定期的に発情周期を繰り返します。この発情周期は、犬が高齢になっても完全になくなることはないと考えられていますが、実際には加齢に伴い発情の際の体の変化は徐々に弱くなり、発情期ではない期間(無発情期)も長くなる傾向があるため、若いころに比べると、はっきりとした発情の兆候は確認しにくくなる傾向があります。

犬の発情周期は?

犬の発情周期は、以下の4つの期間で構成されています。

(1)発情前期:平均7日~10日程度。
発情に向けて、子宮や卵巣が準備を始める時期です。発情出血はこの時期から始まります。

(2)発情期:発情前期の後、平均10日~14日程度。
交配し、子犬を授かる事が可能な時期です。

(3)発情休止期(もしくは発情後期):約2ヶ月
交配や妊娠の有無にかかわらず、体は妊娠しているのと同じ状態に変化する期間です。

(4)無発情期:約4~8ヶ月
発情休止期の後、次の発情前期が始まるまでの期間。発情期~発情休止期にみられた体の変化が落ち着く期間です。

発情休止期以外の各期間の日数は平均値であり、実際には個体ごとに長かったり短かったりすることも決して少なくありません。そのため、これらの期間はあくまでもひとつの目安と考え、実際には個々の犬の発情兆候や行動の変化、細胞診(スメアテスト)などから総合的に判断をします。

3. 犬の生理の症状とは?

※写真はアプリ「まいちにのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

トイレトレーニングのタイミングとは?

犬の発情周期は、「発情前期」、「発情期」、「発情休止期」、「無発情期」の4つの期間で構成されています。いわゆる「犬の生理」と表現される発情出血については、発情前期からみられ、発情期の終わりにかけて徐々に量が少なくなっていくのが一般的です。ただし、見た目の出血がおさまってからも、犬の体の中では約2ヶ月の間、様々な変化が継続します。

それぞれの期間で見られる特徴的な症状や行動の変化は以下のようになります。

(1)発情前期:平均7日~10日程度。

発情期の前に、子宮や卵巣が準備を整える期間です。体内で分泌されるホルモンの影響により、外陰部の腫れや充血、子宮内膜(子宮の内側を覆っている粘膜)からの出血などがみられます。出血の程度は個体差があり、外陰部やその周りがわずかに汚れる位のごく少量から、ポタポタ垂れて落ちる位のはっきりとした量の出血の場合まで様々です。

なおこの時期には、メス犬はオス犬を受け入れず交配もできません。体調の変化に伴い、いつもより少し元気や食欲がなくなったり、神経質になったりする犬もいるようです。

(2)発情期:発情前期の後、約10日~14日程度。

発情前期の体の変化を経て、交配して妊娠することが可能な時期です。外陰部の腫れの大きさはそのままですが、固さは少し柔らかくなります。出血の量は発情期の期間中に、徐々に減っていく傾向があります。まれに、発情期が終わった後も長期間出血が続くケースも時折ありますが、あまり長く出血が続くようなら、一度かかりつけに相談をするほうが良いでしょう。

また、この発情期の期間には、メス犬は、オス犬を受け入れるように行動が変化する傾向があります。日ごろは他の犬に対して緊張したり警戒したりしがちな性格の犬でも行動が一時的に変化し、自分の方から積極的にオス犬に近寄ったり、お尻を向けて尾を横に避けてじっと待つ姿勢(許容姿勢)を取ることもあります。体調の変化に伴い、いつもより少し元気や食欲がなくなったり、神経質になったりする犬もいますが、むしろ少し興奮気味で落ち着かない様子になる犬もいます。

(3)発情休止期(もしくは発情後期):約2ヶ月

発情期が終わった後、交配や妊娠の有無にかかわらず、体が妊娠しているのとほとんど同じ状態に変化する期間です。ホルモンの影響により乳腺の発達がみられ、乳汁の分泌がみられる事もあります。この期間の初めから半ばにかけては目立って行動が変化することは少ないですが、乳腺の腫れなどの変化に伴い、いつもより少し元気や食欲がなくなる犬も時折見られます。

発情休止期の終わり頃には、妊娠していなくても、お産の場所を探す行動や、おもちゃを子犬に見立ててそれを抱えて保育するような行動をする場合があります。このような疑似子育てのような状況になると、メス犬は警戒心が強まって引きこもりがちになったり、食欲が落ちたりすることもあります。

(4)無発情期:約4~8ヶ月

発情休止期の後、次の発情前期が始まるまでの期間です。ホルモンによる影響はほとんどなくなり、子宮や卵巣、乳腺などに大きな変化もなく、行動の変化も特にありません。

これらの発情周期に伴う体調や行動の変化は、犬という生き物としては自然な範囲ではありますが、時として、食欲不振や体の変化のストレスなどから、体調を悪くする事もあります。極端に様子がおかしかったり、何か気になる症状があるようなら早めにかかりつけ医に相談をするほうが良いでしょう。

4. 犬の生理中に気を付けたいこと

発情期のときの犬への対応とは?

発情出血や外陰部の腫れなど、愛犬に発情の兆候が見られた際に勧められる対応は、大きく以下の2つに分けられます。

(1)愛犬自身の負担を避ける工夫

発情は病気などの体調不良とは異なりますが、食欲のムラや軽い吐気、便の状態などの体調の変化を招きやすかったり、神経質になったりすることがある時期です。そのため、あえてその時期に長時間や遠距離のお出かけなどをすることは避けるほうが良いでしょう。散歩については無理のない範囲であれば構いませんが、オムツやペットシーツなどを使用して、排泄物は外に残さず持ち帰るようにしましょう。望まない妊娠などの事故を避けるため散歩中は犬から目を離さないようにし、特に犬の集まる場所に行くのは避けましょう。

発情出血などで毛が汚れやすい時期なので、犬が嫌がらない範囲であれば、自宅で軽く洗う程度の事は可能です。犬のストレスにならないように、洗う部分は必要最低限で、極力短時間で終わらせるようにしましょう。また、腫れた外陰部付近は皮膚が敏感になっているため、あまり強く洗ったり、強いシャワーを当てたりすることは避けましょう。

また、近頃では、発情出血の際に着用するパンツなどもあるようですが、おむつやパンツを着用したままにしていると、外陰部の周辺が蒸れて皮膚トラブルを起こすこともあります。自宅など、他の犬の迷惑にならない場所では外しておくようにしましょう。

(2)愛犬以外の、よその犬に対する配慮

発情期の犬は、他の犬にとって非常に興味をそそる匂い(フェロモン)を分泌します。特に未去勢のオス犬にとっては刺激が強く、過剰に興奮させてしまったり、その結果として犬同士の激しいいさかい(ケンカ)がおこる事もあります。よその犬のストレスにならないよう、犬の集まる場所に行くのは避けましょう。

また、その匂い(フェロモン)は尿にも含まれますので、散歩中の排泄物もおむつやペットシーツなどを利用して、きちんと持ち帰るようにしましょう。また、発情出血が多い時期には、周囲への配慮として、屋外ではおむつや発情出血用のパンツなどの製品を利用するのもひとつです。

この時期には、トリミングに連れて行ったりペットホテルに預けるのは、他の犬への配慮として避ける方が良いです。ただし、発情中の犬への対応については各施設でのルールなどを設けている場合もあるので、ご利用の各施設に直接問い合わせをするとよいでしょう。

5. 犬の妊娠、避妊について気を付けたいこと

※写真はアプリ「まいちにのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

愛犬に妊娠をさせない方法とは?

犬の避妊をする方法は、大きく分けて2通りあります。
(1)避妊手術を受けて、子宮や卵巣など妊娠に関わる部分を外科手術で取り除く方法。
(2)妊娠する可能性のある時期に、望まない交配をしないよう飼い主様が犬の行動をコントロールする事です。

(1)では、一時的な体の負担などはあるものの、術後は発情周期中の体調の変化の影響がなくなり、子宮や卵巣などの病気のリスクも減らせる事が大きなメリットになります。ですが、手術後は、妊娠・出産はできなくなります。

(2)では、犬は一回の発情期の間に妊娠可能な期間が一定期間しかないため、その期間だけ注意をすれば望まない妊娠は避けられます。この方法は、外科手術による負担がない事や、後々別のタイミングでの妊娠・出産が可能なことがメリットです。ただし、約半年ごとに繰り返す発情周期による体調への影響や、子宮や卵巣の病気のリスクはそのまま残る事になります。

これらとは別に、ホルモン剤の投与などで発情をコントロールするケースもまれにはあるようですが、こちらについてはあまり一般的ではありません。

発情期に気を付けないといけないこととは?

避妊手術を受けずに、犬の行動をコントロールして避妊をする場合には、どのタイミングでどのように対応すればいいのかを知っておく事が必要です。時折、「生理中、発情出血の量が多い発情前期には、とりわけ気を付けるようにしている」というご意見を耳にすることがありますが、犬が妊娠する可能性のある期間は、むしろその後の発情期の方ですので、これについては改善が必要です。

望まない妊娠を避けるためにより慎重に対応をするのであれば、「発情出血が始まってから、発情期が完全に終わる(発情出血がなくなり、外陰部の腫れが徐々になくなり、雄犬を受け入れるような素振りがなくなる)まで」と、少し長い期間注意をしていただく方が、より安心でしょう。

犬の妊娠しやすい時期とは?

一般的に、交配して妊娠しやすい時期(交配適期)は、発情期の5~6日目頃にあたるとされています。ですが、犬の精子の受精可能期間が比較的長いため、この時期よりも以前に交配をしても妊娠する可能性はあると考えられています。そのため、理論上は、犬が妊娠可能な期間は発情期が始まってから約7日間と考えられています。

ではその7日間だけ気をつければいいのかというと、そうとも言えません。なぜなら、発情期の始まりのタイミングをきちんと判断できない場合があるためです。

通常、発情出血の状況や外陰部の腫れ、犬の行動の変化、膣粘膜の細胞の変化などから発情期の始まりのタイミングについておおよその判断はできるものの、厳密に判断することが難しい場合も少なくありません。このことから、望まない妊娠を避けるのであれば、気を付けるべき期間をより長めに見積もり、身体の変化や行動の変化が比較的わかりやすい発情前期の始まりから発情期の終わりまでを目安にする方が、より無難であると言えます。

6. 犬に生理がこないときは?

※写真はアプリ「まいちにのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

愛犬に発情が来るはずの時期になっても目立った発情出血がみられず、「生理がこない」と心配になった事がある飼い主もきっといらっしゃるでしょう。
いわゆる「犬の生理」と表現される発情出血の量は、毎回必ず一定量出るという事でもありません。また、外陰部の腫れなど発情の際に特徴的な症状(発情兆候)も、その都度強かったり弱かったりと一定しないこともあります。そのため、犬の発情周期は、出血だけを見て判断するのではなく、その他の症状も合わせて理解する事が大切です。

通常、避妊手術などを行わない限りは、発情周期が突然無くなることはまずありません。そのため、発情期が来ないように見える場合には、発情期の見逃しや、発情周期が何らかの要因によっていつもより長くなるなどの変化をした可能性について考えます。

発情期の見逃しは、発情出血や外陰部の腫れなど、発情期に特徴的な発情兆候が弱くしか現れなかった場合には、時折起こることがあります。なお、発情兆候が弱いという症状そのものは、飼育環境や加齢、長期の体調不良などの影響で起こる事があります。また、発情周期の変化についても、同様の要因で起こる事があります。

本来、発情期が来るはずの時期にそれが来ないように見えるなら、まずはそれが病的なものなのか、治療など何らかの対応が必要なものなのかの判断が必要です。かかりつけに受診し相談をするなどの対応から始めるとよいでしょう。

この記事は、いぬのきもち相談室の獣医師が執筆しています。

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