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犬の避妊去勢手術について~必要性、メリット・デメリット、方法、費用、時期

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子犬を迎い入れた後に考えるのが「去勢・避妊手術」ではないでしょうか。手術は全身麻酔で行いますので、心配になりますよね。では手術を行うと、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか? 術後の変化も理解してから、手術を行うかどうか考えてみましょう。

1. 去勢・避妊手術の必要性

子犬を迎え予防接種が一通り終わると、次のステップとして「去勢・避妊手術をしたほうがいいのかな?」と考え始める方が多いでしょう。オスの場合は「去勢手術」、メスを生殖不能な状態にする手術を「避妊手術」といいます。では、どうして避妊・去勢は必要なのでしょうか? 去勢・避妊手術の必要性について、まずお話します。

ひと昔まえまでは、犬は外で飼うことが一般的でした。しかし犬の飼い方もここ30年程で大きく変化し、いまや室内飼いが一般的となりました。去勢・避妊手術の必要な理由の一つとして、飼い方の変化があげられると思います。外飼いに比べて室内飼いは運動量が制限されます。特にオス犬に言えますが、未去勢の犬の場合はかなりの運動量が必要です。十分な運動量を確保できない場合、それがストレスとなり凶暴性につながることもあります。

室内で犬を飼育する場合は去勢・避妊手術をすることにより、愛犬にとっては性からくるストレスを和らげることができ、人にとっては飼いやすくなると言えるのかもしれません。

2. 犬の去勢・避妊手術のメリット

去勢・避妊手術によるメリット

それでは去勢・避妊手術のメリットはなんでしょうか。主なものは以下の3つです。
1.ストレスや攻撃性の軽減
2.病気予防
3.予期せぬ妊娠を防ぐ

1.ストレスや攻撃性の軽減

前項でもお話ししましたが、外飼いよりも室内飼いは活動量が制限されるため、エネルギーが十分発散できず、ストレスから凶暴性が増したり、自傷行為に至ってしまうことがあります。一日数回お散歩に行くなどの一般的な室内飼い生活をしている犬の場合は、避妊・去勢手術をしたほうがストレスを軽減し、人との円滑な同居ができると思われます。

2.手術により予防できる病気

オスは去勢手術により「前立腺肥大」、「精巣腫瘍」が予防できます。メスは避妊手術により、「子宮蓄膿症」の予防ができます。また、早期に避妊手術をした場合は「乳腺腫瘍」の予防ができます。

オスの病気予防 「前立腺肥大」

前立腺は膀胱の下にあるオス特有の生殖器です。前立腺が肥大(大きくなる)することにより、膀胱を圧迫して尿が出しづらくなったり、便秘などの症状がみら、10歳以上の犬の大半が罹っていると言われています。


また、前立腺炎や前立腺に膿がたまる前立腺膿瘍などが起こると、痛みや発熱、血尿などがあらわれ緊急性が高くなることがあります。去勢手術で精巣が取り除かれると男性ホルモンが減るため、前立腺が退縮します。これにより前立腺肥大や膿瘍など前立腺に関わる病気が予防できます。

オスの病気予防 「精巣腫瘍」

精巣が腫瘍化することにより起こります。セルトリ細胞腫・精上皮腫・間質細胞腫に分けられます。精巣が陰嚢に降りていない『潜在精巣(陰睾)』は正常な精巣に比べ、腫瘍化するリスクが10倍以上といわれています。

メスの病気予防 「子宮蓄膿症」

子宮の中に膿がたまることにより起こる病気です。進行は早く、子宮破裂を起こすと腹膜炎や敗血症を起こす危険があり、早急に手術をしないと死に至ることがあります。7歳以上の未避妊メスの25%が罹ると言われています。

メスの病気予防 「乳腺腫瘍」

早期の避妊手術により乳腺の発達を妨げ、乳腺腫瘍のリスクを抑えることができると言われています。3回目の発情前までに避妊手術を行った場合は、乳腺腫瘍の発生率を抑えることができ、手術が早期であればあるほど発生率は低下します。2歳半を超えると予防効果はなくなるといわれています。

3.予期せぬ妊娠を防ぐ

発情中のメス犬は特有のフェロモンを発し、それにオス犬が反応して交尾が成立します。このため、発情中のお散歩は、ほかの犬に気を付けて行わなければなりません。興奮したオス犬のより、事故的に妊娠が成立してしまうことがあります。

3. 犬の去勢・避妊手術のデメリット

避妊・去勢手術によるデメリット

避妊・去勢手術のデメリットは以下の3つです。
(1)全身麻酔のリスク
(2)肥満になりやすくなる
(3)子どもを作れない

(1)全身麻酔のリスク

避妊・去勢手術ともに全身麻酔をかけて行うため、手術をすることによりそのリスクを負うことになります。手術前に検査を行い、麻酔をかけてもいい状態なのか確認してから手術を行います。行う検査は血液検査、年齢や状態によりレントゲン撮影やエコー検査を行うことがあります。

(2)肥満になりやすくなる

避妊・去勢手術は卵巣や精巣を取り除く手術です。これにより女性ホルモンや男性ホルモンの分泌が減り、ホルモンバランスが変わります。
このホルモンバランスの変化により太りやすくなります。また、食欲が増えるため、さらに肥満のリスクが増します。
専用の食餌にかえるなどして、摂取カロリーを落とす必要があります。

(3)子どもを作れない

生殖器を取り除くため、子供を作ることができなくなります。

4. 犬の去勢・避妊手術の方法

手術の方法

手術の方法について説明します。どちらの手術も術前検査を最初に行ったのちに麻酔をかけ手術を行います。

去勢手術

去勢手術は精巣を切除する手術です。全身麻酔をかけたあと、ペニスと睾丸周りの毛を刈り、消毒します。ペニスの先端と睾丸のちょうど真ん中あたりの皮膚を切り、睾丸を片方ずつ取り出し切除します。その後皮膚を縫合糸終了です。手術時間は毛刈りや消毒を含めて30分程度になります。

避妊手術と異なり、お腹を切る手術ではないため、日帰りとなるケースも多いようです。潜在精巣の手術の場合はお腹を切るケースもあり、この場合は手術時間も1時間ほどになり、1泊入院となることがあります。

避妊手術

卵巣摘出や子宮摘出などの方法もありますが、一般的な子宮卵巣摘出術についてお話しいたします。全身麻酔をかけた後、お腹の毛を刈り、消毒をします。次におへその少し下の部分の皮膚を切ります。皮下脂肪をよけた後、筋膜を切るとお腹の内臓が入っている腹腔というところに達します。子宮と卵巣を取り出し、それぞれ切除します。終わったら腹膜を閉じ、皮膚を閉じ、終了します。

手術時間は30分から1時間ほどになりますが、加えて消毒や毛刈り時間がかかります。また、大型犬は身体が大きいため、手術時間が少し長くなります。
病院によって異なりますが、避妊手術はお腹を切る手術のため、1泊入院となるケースが多いです。

5. 犬の去勢、避妊手術の適切な時期

去勢手術

生後6カ月から1歳くらいが適切な時期と考えられます。犬は生後6カ月から12カ月の間に性成熟します。性成熟の前に手術をすることにより、マーキングや攻撃性、問題行動などを抑止できると考えられています。しかし、マーキングに関しては、去勢した後から始まることもありますので手術によって完全に抑えられるものではありません。

避妊手術

雌犬の初回発情は6カ月から1歳の間に起こり、その後6か月周期で起こります。乳腺腫瘍は初回発情前に避妊手術を行った場合、未避妊の犬に比べ発生率を0.5%まで落すことができます。このメリットを得るためには、初回発情前に手術をするといいでしょう。

初回発情と2回目の発情の間に避妊手術を行った場合の発生率は25%、発情が起こるたびにその確率は上昇します。2歳半を過ぎると乳腺腫瘍に関しては病気予防の効果が得られなくなります。このため、6カ月から1歳を目安に避妊手術を行うことが望ましいと思われます。

また、発情中の手術は出来ません。発情子宮は腫れて充血しているので手術中の出血量が多くなる、急激なホルモンバランスの変化により体調不良を起こす恐れがあるなどが理由としてあげられます。発情が終わってからもしばらくは子宮が腫れた状態が続くため、手術は発情が終わってから最低でも1カ月は空けるようにしましょう。

6. 犬の去勢、避妊手術の費用の相場

※写真はアプリ「まいちにのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

去勢手術

病院によって異なりますが、だいたい1万5千円~3万円くらいでしょうか。犬の体格に比例して手術料は高くなるため、小型犬より大型犬の方が費用がかかるでしょう。また、手術代と別に、術前検査代・手術中に使用した薬剤代・麻酔代・入院費・退院時に処方される薬代などが別途かかってくることがあります。

避妊手術

病院によって異なりますが、だいたい2万円~5万円くらいでしょうか。犬の体格に比例して手術料は高くなるため、小型犬より大型犬の方が費用がかかるでしょう。また、手術代と別に、術前検査代・手術中に使用した薬剤代・麻酔代・入院費・退院時に処方される薬代などが別途かかってくることがあります。

7. 手術前後に気を付けること

手術前に気を付けること

手術の前日はお家でゆっくり過ごし、体を休めるようにしましょう。いつものお散歩程度であればいっても構いませんが、遠出するなどは控えましょう。麻酔をかけるため、当日は絶飲絶食が必要です。前日の夕ご飯以降は絶食にし、お水も控えるようにしましょう。体調不良がある場合は手術ができない可能性がありますので、かかりつけ医に必ず相談しましょう。

手術後に気を付けること

手術後2~3日は元気なく過ごす子が多いようです。おしっこが出ていて、吐き戻しがなく、少し食べている状態であれば、様子を見てもいいかもしれません。元気のない状態が3日以上続く場合や、おしっこが出ない、吐き戻しがある場合はかかりつけ医に相談しましょう。便は手術当日時絶食していることもあり、2~3日出ないこともあります。

抜糸は約1週間後に行います。それまでの間はシャンプーは出来ません。傷口をなめられないようにカラーや包帯をされると思いますが、それでも舐めてしまったり取ってしまう場合は、かかりつけ医に相談してください。傷口がうんだり、最悪ひらいてしまい腹膜炎をおこしたり再手術が必要となることがあります。

肥満予防について

精巣や卵巣を切除することによりホルモンバランスが変わり、太りやすくなります。必要なカロリーも手術後は3割ほど減ります。フードの変更や、給餌量の見直しをするなどして、肥満の予防をしましょう。運動を増やしてはどうかと考えるかもしれませんが、小型犬は特に運動によるカロリー消費はあまり望めませんので、食餌によるカロリー摂取を気を付けるようにしましょう。

性格の変化について

基本的に手術をしても性格は大きくは変わりませんが、性衝動による攻撃性やマーキングは和らぐでしょう。特にオス犬のほかの犬に対する攻撃性は和らぐ傾向にあります。マーキングに関しては、回数を減らすことはできるかもしれませんが完全になくすことは難しいでしょう。

この記事は、いぬのきもち相談室の獣医師が執筆しています。

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