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いぬのきもち【獣医師監修】子犬のしつけは社会化期から!覚えさせ方やコツとは

犬と暮らす上で、飼い主がまず行うべきなのが「しつけ」です。特に性格が形成される子犬の時期は、しつけを行うのに重要な時期でもあります。今回は、子犬のしつけを始めるベストな時期や覚えさせるべきしつけ内容、しつけ方法の手順や注意点などを解説します。


監修/石田陽子先生 獣医師

子犬のしつけはなぜ必要?いつから始めるのがベスト?

散歩しているレトリバー

子犬にしつけはなぜ必要なのか?

愛犬が、所かまわずトイレをしてしまったり、遊んでいる途中に飼い主や他の人の手を噛んだりしてしまったら一大事ですよね。また、チャイムの音に毎回反応したり、散歩中に突然車道に飛び出したりすることは、ストレスや大きな事故につながります。
でもどうすればいいかを教えてあげなければ、犬がしたいように振る舞うのは当たり前。飼い主や周囲の人だけでなく、愛犬自身も「快適」かつ「安全」に、「ストレスなく」過ごすためにも、社会性を身に着けるためのしつけは必要なのです。

子犬のしつけを始める時期は?

子犬のしつけは早ければ早いほど良いですが、一般的に、生後14週ころまでの「社会化期」のうちにしっかりと社会化するのがいいと言われています(諸説あります)。社会化期とは、好奇心が警戒心を上回り、さまざまなものに慣れやすい時期のこと。この期間に人間社会や外の刺激に慣れさせておく(社会化といいます)ことで、社会性を育み、落ち着いた行動ができるようになるのです。

逆に、社会化期のうちに刺激慣れやしつけができていないと、常に外の刺激に意識を向けている状態となり、ストレスにさらされることに。その状態のまま警戒心が強まる生後5カ月以降を迎えてしまうと、ストレスや不安から問題行動を起こす恐れがあります。愛犬が問題行動を起こすようにならないためにも、子犬の社会化を促すしつけは生後4カ月ごろまでに行うとよいでしょう。

子犬に覚えさせるべき基本のしつけとは

子犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
では、実際に子犬を迎えた場合、どのようなしつけを行えばよいのでしょうか?子犬のころに教えておくべき、基本のしつけをご紹介します。

トイレ

必ず教えておきたいしつけとして挙げられるのが、室内での「トイレルール」。成犬よりも膀胱が小さい子犬はトイレ回数も多いので粗相も多くなりがちですが、回数が多い分、上手に誘導できればほめる回数も多くできるので、早く覚えることができます。どこでトイレをすべきなのか、早めにしつけることが大切です。

ハウス

ケージやクレートを安全な場所、落ち着ける場所と認識させることは、犬の精神安定に役立ちます。犬のストレスを刺激するような事柄が起こりそうなときでも、「ハウス」に入るよう指示しておけば、問題行動を回避することができます。これによりおでかけや災害時の同行避難にも役立ちます。

お手入れ

歯みがきやブラッシングなどのお手入れは、愛犬の健康チェックをする上でも重要となります。特に歯みがきは、歯周病予防として毎日行うべきものなので、まずは道具に慣れさせて、お手入れに嫌な気持ちを抱かせないようにしましょう。

指示しつけ

「コイ」や「オイデ」、「ハナセ」や「チョウダイ」などの指示しつけは、いざというときに愛犬の健康や命を守ってくれる重要なしつけの1つ。災害など万が一の事態が起きても、何をすべきなのかを指示することで興奮が収まり、愛犬の脱走などを防ぐ効果が期待できます。

アイコンタクト

必要なタイミングで飼い主に注目させることができる「アイコンタクト」は、問題行動などを回避する上で重要なしつけです。目がしっかりと合わなくても、声をかけたら飼い主さんに注目するようにしておきましょう。

本格的なしつけの前に飼い主さんが頭に入れておきたいこと

しつけで大切なのは信頼関係

昔は、「愛犬は飼い主の指示に従わなくてはいけない」「言うことを聞かせるために、飼い主さんが犬よりも上だとわからせるように接する」といった考え方をもとに、しつけを行っていました。しかし最近では、服従関係ではなく家族としての絆を築く愛犬と飼い主さんも増えています。現在は「ほめてしつける」家庭犬としてのしつけが主流となっており、その達成のために、飼い主さんと愛犬との間に信頼関係を作ることが重要となります。

子犬のしつけはほめることが大切だが、甘やかすだけはNG

最近のしつけは「ほめてしつける(教える)」ことが主流です。ほめることで、愛犬に「この行動が正しいんだ」「この行動をするといいことが起きるんだ」と認識させることができるので、次から愛犬は飼い主さんがしてほしい行動をとるようになります。また、ほめてしつけることで、愛犬との信愛関係や信頼関係も構築することができます。

ただし、「ほめる」と「甘やかす」はまったく違うものです。一部の飼い主さんの中には、愛犬が問題行動を起こしても叱ったりしつけたりせず、むしろ甘やかすようにほめてしまっている方がいます。愛犬にそういった態度を取り続けていると、自分の要求を通すために問題行動を起こすようになる場合があります。ほめることも大切ですが、「やってはいけないこと」をしっかり教えることも重要なことです。

最初のうちは見守る気持ちでしつける

子犬を迎えたら、あれを教えたい、こんなこともやりたいとはりきってしまいますよね。とはいえ、相手はまだ、家族や兄弟のところから離されてきたばかりの子犬。心もとない気持ちでいるでしょうし、できることもまだまだ少ないはずです。最初は、慣れるまで見守る気持ちでそばにいてあげ、タイミングを見てトイレなどの基本のしつけを教えるようにしましょう。

しつけ方はコロコロ変えない

犬のしつけ方はさまざまな方法があり、どのしつけが合うかは個体差があります。どの方法を選んでも間違いではないですが、犬が混乱してしまうので、しつけ方をコロコロ変えるのはやめましょう。また、家族間で対応がバラバラなのも、愛犬の混乱を招く要因になります。愛犬へのしつけ方や対応方法を統一するように、あらかじめ話し合っておきましょう。

いぬのきもちWEB MAGAZINE「子犬を迎える前の基礎知識|しつけやお留守番~予防接種まで」

実践しつけ1:トイレトレーニング

犬は、「寝起き」「食後」「遊んだ後」の3サイクルでトイレを行います。ストレスなくトイレを覚えさせるためには、この3サイクルに合わせながら、ほめてしつけることが重要となります。では、トイレトレーニングの手順を説明していきます。

トイレのしつけ方


  1. 愛犬をハウス(サークルやクレート)から出してトイレに連れて行き、「ワンツー」など声をかけながら、排泄を促します

  2. トイレで排泄ができたら、直後に「イイコ」とほめてフードやおやつを与えます。子犬のうちは飼い主さんが排泄のタイミングを把握しやすくするため、排泄記録を取りながら行うのがおすすめです

  3. 排泄が終わったら、手に握ったフードやおやつのニオイをかがせ、愛犬をトイレからハウスに誘導します

  4. ハウスに着いたら愛犬にリードを装着し、散歩に連れ出します

  5. 排泄→ハウス→散歩の手順を繰り返すと、次第に自分からトイレに行くようになり、外ではなく室内でトイレを済ませられるようになります

トイレを失敗してしまった場合の対処法

まだトイレトレーニングを始めて慣れないうちは、トイレとは違う場所で排泄や粗相をしてしまう場合もあります。だからといって、大声で叱ったり、体罰を与えたりするのはNGです。トイレをすると叱られると誤認してしまい、飼い主の見ていない隠れた場所や、外でしか排泄しなくなる恐れがあります。

また、粗相したことに騒いでしまうと、飼い主さんの気がひけたと思って余計に粗相を繰り返す犬もいます。愛犬をクレートなどのハウスに待たせ、リアクションをせずに無言で片づけるのが正しい対処法です。

実践しつけ2:アイコンタクト・指示

トイレトレーニングと同様に大切で、さまざまなしつけへの応用がきくのが、「アイコンタクト」と「指示しつけ」です。特にアイコンタクトは、他のしつけを行う際や、問題行動をとめる際にもよく使うので、手順をしっかり覚えておきましょう。

アイコンタクトのしつけ方

散歩途中など、愛犬がすれちがう人や犬を警戒して吠えそうなときにアイコンタクトを行うことで、吠えの対象から飼い主さんへと意識をそらしたり、興奮を落ち着かせたりする効果を期待できます。


  1. まず、おやつを握った手のニオイを愛犬にかがせ、愛犬が見る対象を飼い主さんへと誘導します

  2. おやつを握った手を飼い主さんのあごまでの高さに上げ、愛犬の名前を呼びます

  3. おやつにつられて手についてきたら、ほめながらおやつを与えます

  4. 飼い主さんの方を見て目が合うようなら、さらにほめておやつを与えます。この手順を繰り返し行うことで、名前をよぶだけで目が合う(アイコンタクト)ようになります

オイデ(指示しつけ)のしつけ方

「コイ」や「オイデ」などは、「呼び戻し」を覚えさせるためのしつけです。名前を呼ばれたら必ず飼い主さんの元に戻るようしつけましょう。


  1. まず、愛犬にリードを装着して向き合います。フードまたはおやつを握った手を愛犬の鼻に近づけてニオイをかがせ、飼い主さんの手に意識を集中させます

  2. 愛犬が手に集中した状態をキープして、伸ばした手で愛犬を引きつけるように後ろに歩きます

  3. 3歩ほど下がったら両膝をつき、愛犬を自分に密着させながらほめて、フードやおやつを与えてなでます

  4. 愛犬が確実に密着するようになったら、手を出す前に「オイデ」と言葉をかけます。この手順を繰り返すことで、「オイデ」と呼びかけたら飼い主のすぐそばまで来るようになります

実践しつけ3:社会化訓練

外からの刺激に慣れさせるためのしつけ方


  1. 外に慣れさせる訓練をします。まず室内でリードを装着しながら「抱っこ歩き」をし、落ち着いて眺められるようになるまでさまざまなものを見せます

  2. 室内での抱っこ歩きに慣れたら、フードやおやつを与えながら家の周りを抱っこの状態で歩いてみます

  3. 家の周りを歩くのに慣れたら、歩く距離を徐々に延ばしていきます。この頃に、人や犬、動く乗り物や人ごみなどを見せたり、触れ合わせたりして、あらゆるものや場所に慣らしていきます

  4. 愛犬がものや場所への刺激に慣れてきたら、マンホールの上などを少しずつ歩かせていきます(ワクチン接種が済むまでは抱っこ歩きをキープ。どの程度までかは動物病院と相談すると良いでしょう)

  5. 上記の手順を繰り返し、中や外の刺激に慣れさせることで、問題行動を起こさない社会性が身につきます

ボディタッチに慣れさせるしつけ方

まだ迎え入れたばかりの子犬は、触られるのに慣れていません。今後の信頼関係を築くためにも、少しずつボディタッチに慣れさせ、気軽にスキンシップできるようにしましょう。


  1. イスやソファに座り、愛犬を膝の上に抱き上げます。愛犬が膝から落下しないよう少し体を密着させます

  2. 両手は手のひらの中央をくぼませて、二枚貝の貝殻のような形にふんわりと合わせます

  3. 片方の手で愛犬の体を支え、もう片方の手で愛犬の頭や肩、腰など、犬が自分で触れない場所を中心にマッサージしていきます。愛犬が心地よいと感じるポイントを探してみましょう

  4. 上記の部位のマッサージを続けながら、少しずつ触れる場所を増やしていきましょう。犬が嫌がりやすい足先や口まわり、しっぽなどは無理をせずに、毎日少しずつ触る時間を長くしてゆっくり慣れさせていきます

実践しつけ4:問題行動(ムダ吠え・甘噛み)予防

毛布をくわえる犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
飼い主さんの半数以上が悩んでいるのが、愛犬の「吠え」や「噛みつき」などの問題行動。犬がこのような問題行動を起こすのは、子犬の頃に社会化を身につけさせていなかったことが原因のことが多いです。そのまま放置しておくとエスカレートし、人や犬にケガをさせるなどの最悪な事態を引き起こしかねません。愛犬が問題行動を習慣化させる前に、早めに対処・予防しましょう。

ムダ吠えさせないためのしつけ方

ムダ吠えを起こす理由として多いのが、来客時になるチャイム(インターホン)の音に驚いて吠えるケース。このようなムダ吠えを起こさせないためには、「チャイムの音=吠えないと良いことが起こる」と認識させることが大切です。


  1. チャイムが鳴った時にほえなければ、来客に応対する前に、愛犬に「イイコ」と声をかけてほめます(ごほうびを与えてもOK)

  2. そのまま愛犬が吠えずにいたら、今度は「アイコンタクト」をしながら、再び愛犬をほめます

  3. その後、愛犬が吠えないように、静かにゆっくりと来客に応対します(ほえそうな場合には、ほえる前にガムやコングなどを与えて気をそらすのも良い)

  4. 上記の手順を繰り返し行うことで、犬が「チャイムの音=吠えないとよいことが起こる」と認識し、ムダ吠えを予防することができます



ちなみに、このしつけを行う大前提として、ほめるのは愛犬が吠えなかった場合のみということを忘れないでください。吠えているのにほめてしまうと、ムダ吠えを引き起こしてしまうので注意してください。

甘噛みさせないためのしつけ方

好奇心旺盛な子犬のころは、いろいろなものを甘噛みするのは仕方のないことですが、対応を誤ると、甘噛みではなく本気の噛みにエスカレートする恐れがあります。そのまま放置すると噛むクセがついて、他の人の手も噛む恐れがあるので、甘噛みをしない犬になるようしつけましょう。


  1. 愛犬がものを噛むのをやめて落ち着いている状態を見計らい、積極的に話しかけてほめます。おやつも与えながらほめてあげると、犬が「おとなしくしている=よいことが起こる」と認識し、甘噛みをしなくなります

  2. 体にあり余るパワーがもどかしくて噛む場合は、散歩や遊ぶ時間を増やして、パワーを発散させてあげましょう。普段とは違うコースを歩かせると、より外からの刺激を受けてパワーを発散しやすくなります

  3. スキンシップのときに、なでるのをやめてほしくて甘噛みする場合は、長持ちするおやつを与えながらゆっくり静かになでるようにします。激しくなでると愛犬も興奮して噛んでしまうので、ゆっくりなでるのを心がけてください

  4. 遊びのはずみで歯が当たったときに、手を急いでひっこめたりすると、犬が遊びと認識して噛み続ける場合があります。歯が当たってもあまり反応せず、手を噛まれないようなおもちゃを使って遊ぶようにしましょう。また、歯があたったらそのままあそびを中断し、無視するのも効果的です

まだ子犬を迎えたばかりの人であれば、犬との接し方やしつけ方が分からないのは当然のこと。だからといって、無理やりスキンシップをはかろうとしたり、間違ったしつけをしようとしたりすると、ストレスを抱えて問題行動ばかり起こす犬になってしまいます。

愛犬も飼い主も、ストレスばかりの不幸な生活を送らないようにするためにも、子犬の正しいしつけ方を学んで、落ち着いた犬になるようしつけていきましょう。

監修/石田陽子先生



獣医師。川崎市の石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長。
子犬のしつけ教室や行動治療なども行う。
愛犬は和音くん(オス・11才/4.7kg/ミニチュア・ダックスフンド)

参考/「いぬのきもち」2017年4月号『先輩飼い主さんの後悔から学ぼう!子犬のしつけ、これだけはしておいて!」(監修:日本動物病院協会認定家庭犬インストラクター 戸田美由紀先生)
   「いぬのきもち」2017年7月号『12回で基本をすべてマスターできる!はじめてしつけコンプリートドリルvol.5 社会化しつけ』(監修:しつけスクールCan!Do!Pet Dog School代表 西川文二先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『子犬を迎える前の基礎知識|しつけやお留守番~予防接種まで』
※写真は一部スマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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