犬と暮らす
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犬にとって危険な「散歩中に出会いやすい野生動物リスト」
「犬の散歩中に出会いやすい野生動物とその危険性」について、いぬのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生が解説します。
野生動物との接触は犬の中毒や感染症の危険がある
もし、野生動物に遭遇した場合は、愛犬をむやみに近づけたり野生動物を刺激しないようにしましょう。
愛犬との散歩中に出会いやすい野生動物リスト
タヌキ・アライグマ・ハクビシン
それぞれの病気についてみていくと、
疥癬症はヒゼンダニによる皮膚の感染症で、感染した動物との接触や感染した動物の生活圏内に入ることで人や犬に感染する可能性がある人獣共通感染症です。
ジステンパーウイルス感染症はジステンパーウイルスが呼吸器・消化器・皮膚・神経細胞に感染し、症状を発症する致死率の高い感染症です。感染動物の排泄物や分泌物に含まれるウイルスによって感染します。
予防には、あらかじめジステンパーの予防効果がある混合ワクチン接種を受ける事が有効です。ただし、ワクチン接種をしていたとしても野生動物に近づくことは避け、野生動物の糞や死骸を嗅がせないこと、散歩帰りは犬の足をよく拭くことも大切です。
レプトスピラ症はレプトスピラ菌による感染症です。レプトスピラ菌はネズミなどのげっ歯類やタヌキなどその他の野生動物の体内に保菌され、尿とともに体外に排出されます。排出されたレプトスピラ菌は淡水の中や湿った土壌の中では数か月間生存できるとされ、レプトスピラ菌を含む尿やその尿で汚染された水や土壌に触れる、なめる、飲むことで感染します。
犬が感染した場合は、発熱や粘膜充血、黄疸や腎障害を起こし、時には死亡することもある人獣共通感染症です。
予防には、レプトスピラ症の予防効果も含む混合ワクチン接種が有効です。
タヌキやアライグマ、ハクビシンは都会で見かける機会も多くなっている動物ですが、気性が荒く散歩中に襲われて深い咬傷で来院される犬も多いので、特にごみ置き場の近くなどを通る際には注意が必要です。
カエル
犬が噛むなどして刺激を与えると、耳腺から分泌液を多く出すので、カエルに近づかないようにしましょう。
また、両生類の仲間には皮膚から毒性を持つ分泌物を出すものがいて、ヒキガエルの他にもにアマガエルやアカハライモリなどがいます。
ヘビ
ハブ・マムシ・ヤマカガシともに牙には猛毒があり、ヤマカガシは首の“頚腺”にも毒があります。これらのヘビに犬が噛まれた際には、牙から毒が体内に入り、血液が壊されて皮下出血や貧血を起こすことがあり、重症例やまれに死亡例もあるため注意が必要です。
またヤマカガシはヒキガエルと同じように犬が噛んでくわえた際に、頚腺から毒を分泌することがあります。
このため、ヘビを見かけたら近づかず、愛犬とともにその場を離れるようにしましょう。
ネズミ
レプトスピラ菌の汚染地帯では感染源対策としてのネズミの駆除や愛犬への予防注射(レプトスピラを含む混合ワクチン)の毎年接種が有効ですが、ネズミがいそうな場所や不衛生な場所に近づかないことが大切です。
ヌートリア
ヌートリアは水辺に生息する大型のネズミの仲間で、特に愛知県より西のエリアで目撃が多く、犬が近づき刺激をすることで、鋭い歯で攻撃されて噛まれる被害が報告されています。ヌートリアの生息する地域の水辺では、注意が必要です。
愛犬に野生動物による中毒やケガ、感染症が疑われる場合は?
愛犬とのお散歩中にまさかと思うような野生動物に出会うことも考えられます。野生動物に遭遇した場合は、愛犬とともに速やかにその場を離れることが大切ですね。
取材・文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
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