耳そうじをしたほうがいいのかな……と思いながら、なんだか難しそうと躊躇しがちな愛犬の耳のケア。スキンシップを兼ねて気軽にできる毎日の耳チェックの方法や、おうちでできる耳のお手入れ方法をご紹介します。
犬の耳そうじは必要?犬種は?頻度は?
犬は本来耳アカが出にくい動物なので、見える範囲に耳アカがなければむやみに耳そうじをする必要はありません。ただし、アメリカン・コッカー・スパニエルやミニチュア・シュナウザーなどの長毛種や垂れ耳の犬などは、耳の入り口の毛が伸びると蒸れて外耳炎になりやすくなることもあります。簡単な健康チェックは毎日行い、耳の中を拭き取るなどのお手入れは2週間に1回が目安です。
毎日行いたい耳の健康チェック
耳の病気や早期発見のために、定期的に愛犬の耳をチェックする習慣をつけましょう。赤みやニオイなどの変化が出やすい部分なので、毎日の習慣として「見る、かぐ」といった簡単なチェックをすることで、異変に気づきやすくなります。また、愛犬の体に触れること自体がスキンシップになり、耳を触られることにも慣れ、苦手なお手入れも嫌がりにくくなります。
耳の穴やその周辺が赤くなったり黒ずんでいないか
立ち耳も垂れ耳も、親指と人差し指で耳の付け根を押さえ、耳を裏返すようにめくります。中指で後ろから押すと中がよく見えます。赤みや黒ずみが見られたら外耳炎の可能性が。
耳の後ろの毛が薄くなっていないか
耳の炎症が起こると、かゆくてしきりに耳の後ろをかくようになることが。その部分の毛が薄くなったり、脱毛することもあります。
いつもと違うニオイがしないか
耳のそばでニオイをかいでみて。健康な耳はとくににおいませんが、いつもと違うニオイや鼻を突くようなニオイがしたら、炎症が起きていることも。
自宅でできる犬の耳そうじのコツは?
犬の耳の中は繊細なので、耳そうじをするときは耳の中を傷つけないように充分注意しましょう。奥まで指を入れると炎症を起こすこともあります。ぬるま湯で軽く湿らせたやわらかいガーゼなどを使ったり、動物病院などで処方される耳のお手入れに適したイヤークリーナーを使うとよいでしょう。
親指で裏側から押しながら耳のシワの中まで拭く
耳の裏側から耳介を親指で押してシワを広げ、洗浄液をしみこませたガーゼで、見える範囲の汚れを拭き取りましょう。耳の中が赤かったり、耳アカがべったりついていたり、嫌なニオイがする場合は動物病院で診察を受けましょう。
耳の入り口の毛を指で抜く
耳の入り口の毛を指でつまんで数本ずつ引き抜けば、無駄な毛がなくなることで通気性がよくなり、耳の中が蒸れにくくなります。皮膚を傷めないよう様子を見ながら抜き、犬が嫌がって暴れる場合は無理せず病院で抜いてもらいましょう。
犬の耳そうじの注意点
強い力で耳の中をこすると、耳道を傷つけて外耳炎を引き起こす可能性があります。お手入れは耳介の見える範囲だけでOKです。また、人の耳そうじに使うからといって、綿棒は絶対に使わないこと。綿棒を使うと耳道を傷つけたり、耳の奥に汚れを押し込んでしまうことも。ガーゼを使っているからといって、指を耳の中に入れすぎるのも危険です。
まとめ
犬の耳はとてもデリケート。自己流で耳そうじをすると皮膚を傷つけ、場合によっては外耳炎を引き起こす可能性もあります。ふだんのお手入れで大切なのは、スキンシップのついでに“見て、ニオイをかいで確認する”こと。日ごろからチェックすることを習慣にして、少しでも異変を感じたら動物病院を受診するようにしましょう。
出典:『いぬのきもち』2016年2月号「愛犬を病気・ケガから守るお手入れ厳選10」(監修:藤田桂一先生)、『いぬのきもち』2017年12月号「毎日&たまに Wチェックで健康を守ろう!」(監修:石田陽子先生)