子犬期の甘噛みや噛み癖は、飼い主さんを悩ませる要因のひとつ。子犬の甘噛みだからと甘く見ていると、成犬期にも噛み癖が治らず、余計に苦労してしまいます。今回は、子犬のうちにしておくべき、甘噛み・噛み癖のしつけ方法をご紹介します!
【子犬が噛む】なぜ子犬は甘噛みするの?
子犬の甘噛みは本能的なもの
子犬の甘噛みを人間に例えると、赤ちゃんが泣くことと変わりません。つまり本能的な行動ということです。とくに歯が抜けて生え変わる生後6~8カ月頃までは、さまざまなものに噛みつきたいという本能(=噛みつき欲求)が強くなる時期だと言われています。
この時期に何かを噛むと、それを噛む習慣がつき、そのあとも同じものを噛み続けようとします。反対に、この時期噛んだことがないものに関しては、噛みつき欲求も徐々に弱まっていく傾向にあります。
「たかが子犬」と甘く見ないで!
つまり「子犬の甘噛みだから」と甘く見ると噛み癖がついてしまい、将来育てるのが大変になることも。成犬になったときに噛み癖をつけないためには、将来噛む習慣が残ってもいいものを積極的に甘噛みさせて、そうでないものは噛ませないよう、飼い主さんがしつけてあげる必要があります。
それでは、どのように噛み癖をしつけていけば良いのでしょうか。ひとつひとつポイントを見ていきましょう!
【しつけポイント①】噛ませない環境を作ろう!
甘噛み・噛み癖対策で最も重要なのは、飼い主さんが”噛ませない環境”を作ってあげることです。まずは、噛ませない環境作りのコツをご紹介します。
1. 噛むことを体験させない
噛まれて困るようなものは、噛む習慣が残らないように犬の口や足が届かないところに置くようにしましょう。ついつい置きっぱなしにしてしまいがちなスリッパなどは、多くの犬の大好物。出したままにせず、棚などにしまうようにしましょう。
2.噛むことをつまらなくする
犬が家具などをガジガジと甘噛みする理由の一つは、楽しさを覚えているからです。家具の脚などに、犬が嫌がることの多いアルミホイルなどを巻き付けると、犬は次第につまらなくなり、噛まなくなることがあります。
3. 噛むと嫌いな味がするようひと工夫をする
なにかを噛んだ時に嫌なことが起こると、犬は「これを噛んだら嫌なことが起きた」と覚え、噛まないようになります。市販されている犬用の「苦みスプレー」などを利用して、噛まれたくない家具の脚などに嫌な味を吹きつけてみましょう。
ただし、なかには苦みスプレーが平気な犬もいます。その場合は愛犬の苦手な味を探してみるのも一つの手です。もしお酢などを活用する場合は薄めたり、ごく微量にするなど注意しましょう。
誤ってアルミホイルを食べてしまうようなら、薄いアクリル板やペット用保護シートなどを使ってみるのもおすすめです。
【しつけポイント②】噛んでもいいおもちゃを与える
1.与えられたものだけを噛むように促す
“噛まない環境づくり”と同時に、噛んでもいいものを犬に与えて、噛みつき欲求を充分に満たしてあげることも重要です。甘噛みには、何かを噛みつきかじり倒したいという本能的な「ガジガジ噛み」と、動く獲物を追いかけて噛みつきたいという「興奮噛み」の2パターンあると言われています。
欲求ごとに適したおもちゃの種類が異なるので、今はどちらかな?と見極めておもちゃを与えてみましょう!
2:「ガジガジ噛み」の欲求を満たすおもちゃ
「ガジガジ噛み」の欲求を満たすには、思いのままに噛みつけるおもちゃを与えましょう。たとえば家具の脚に似た「ウッドトイ」や、噛み応えがあり長く噛み続けられる「ガム」や「アキレス」などがおすすめです。
3:「興奮噛み」の欲求を満たすおもちゃ
「興奮噛み」の欲求を満たすためには、引っ張ったり追いかけたりして遊べるおもちゃが良いでしょう。たとえば引っ張りっこができる「ロープトイ」や、噛んで振り回しても安全なボア製のおもちゃやぬいぐるみなどがおすすめです。
【しつけポイント③】一緒に遊ぶと噛み癖のしつけ+αな効果が
「ガジガジ噛み」の場合は、長く噛めるおもちゃ等を与えることで対処できますが、「興奮噛み」の場合は、飼い主さんも一緒に遊ぶのがポイントです。飼い主さんが一緒に引っ張りっこなどで遊んであげることで、甘噛み・噛み癖のしつけにおいて、さまざまな効果が期待できます。
1:愛犬が飼い主さんのことをもっと好きになる
一緒に引っ張りっこ遊びをしていると、愛犬の噛みつきたい欲求が満たせるだけではなく、「一緒に遊んでくれる飼い主さんが大好き」と愛犬が強く感じるようになります。このようにして飼い主さんとの関係が良好になれば、噛み癖などのお困り行動も少なくなりますよ。
2:「ちょうだい」等のしつけができるようになる
引っ張りっこ遊びのあとにフードと交換してトレーニングすると、おもちゃを口から離す「ちょうだい」などのしつけにつながります。おもちゃを飼い主さんの「ちょうだい」の合図で離す、というしつけをしておくことで、もしも噛んでほしくないものを犬が噛んでしまったときにも応用できるようになります。
子犬のうちにしつけを頑張れば成犬時に差がつく!
今回ご紹介したしつけ方法を用いても、なかなかおもちゃに興味を持たない犬もいたり、逆に一緒に引っ張りっこすると興奮しすぎてしまったりと、犬にも個性があるので一筋縄にはいかないかもしれません。
そういう場合は、おもちゃを替えてみたり、クールダウンを覚えさせたりするのも一つの手です。なかには「噛んで飼い主さんの注目を浴びようとする」犬もいるので、その場合は犬が落ち着いている時にたくさん話しかけたり、褒めてあげたりするのが効果的なこともあります。
しつけの悩みは尽きないかと思いますが、子犬のうちにしっかりとしつけておけば、成犬になった時にとっても育てやすい犬に成長します。根気よく頑張ってみましょう!
参考/「いぬのきもち」17年5月号『はじめてしつけコンプリートドリルあま噛み直し&引っ張りっこ遊び』(監修:しつけスクール「Can!Do!Pet Dog School」代表 西川文二)
「いぬのきもち」17年6月号『子犬のしつけ、これだけはしておいて!』(監修:日本動物病院協会公認家庭犬インストラクター 戸田美由紀先生)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。