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【獣医師監修】犬アトピー性皮膚炎とは 原因 症状 治療法 新薬など

今回は、犬アトピー性皮膚炎の原因や症状、治療法についてご紹介します。治療法では、動物病院で行う治療のほかにも、飼い主さんができるホームケアについても解説します。犬アトピー性皮膚炎は、早期発見・治療が大切ですので、参考にしてみてくださいね。

後藤 瞬 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター第2病院勤務

 東京農工大学農学部獣医学科(現 共同獣医学科)卒業

●資格:獣医師

●所属:日本獣医皮膚科学会日本獣医がん学会動物介在教育・療法学会

●主な診療科目:一般診療(外科、内科)/麻酔科

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犬アトピー性皮膚炎の原因や症状とは?

犬アトピー性皮膚炎は、ハウスダストやカビなどがアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)となって皮膚に炎症が起きる、アレルギー性皮膚炎のひとつです。犬アトピー性皮膚炎の主な原因や症状は以下の通りです。

犬アトピー性皮膚炎の原因とは

犬アトピー性皮膚炎では、さまざまな原因が考えられていますが、アレルギーをおこしやすい体質、つまり遺伝的な要因が大きく関係しているといわれています。それに加え、ハウスダストやカビ、花粉などのアレルゲンとの接触や、ストレスなどによる皮膚のバリア機能の異常や低下によって症状が現れやすくなるようです。

犬アトピー性皮膚炎になりやすい犬種とは

遺伝的に犬アトピー性皮膚炎になりやすいとされる犬種は以下の通りです。
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー
  • シー・ズー
  • ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア など

犬アトピー性皮膚炎の症状とは

初期段階では、皮膚に赤みなどの炎症がないにも関わらず、体をかゆがるようになり、その後、皮膚が赤くなって脱毛が始まるというケースが多いようです。症状が見られる主な部位は、おなかやわきの下や内股、太もも、前足や耳などで、長引くとメラニン色素の沈着が起きて、皮膚が厚くなります。
悪化するとかゆみが増して、夜も眠れない状態になることも。このような激しいかゆみが原因で、イライラした様子を見せたり、攻撃的になったりする犬も少なくありません。

いぬのきもち WEB MAGZINE「犬の病気・症状データベース(アトピー性皮膚炎)」

犬アトピー性皮膚炎のセルフチェック&診断方法

犬アトピー性皮膚炎のセルフチェック方法

愛犬に犬アトピー性皮膚炎の疑いがある場合、以下の項目に当てはまるか、チェックしてみてください。

【セルフチェックポイント】
  • 3才以前から症状が始まった

  • ステロイドの投与によってかゆみがおさまる

  • 目に見える炎症はないが、かゆがるしぐさをする

  • 前足や耳に症状が見られる

  • 耳の縁、背中から腰にかけては症状がない



5つ以上当てはまる場合は、犬アトピー性皮膚炎になっているおそれがあります。動物病院を受診し、検査を受けるようにしましょう。

動物病院での診断方法(検査法)

まずは、その症状が犬アトピー性皮膚炎の診断基準に合致するか、飼い主さんに問診を行い、かゆみの原因となるほかの感染症や皮膚病がないかを確認します。その後、アレルギー検査によって、アレルゲンを特定することもあるでしょう。
なお、犬アトピー性皮膚炎の原因を絞り込む検査の1つに、アレルゲン特異的血清IgE検査(血液検査)があります。

犬アトピー性皮膚炎の治療法《動物病院》

動物病院での犬アトピー性皮膚炎の主な治療法は以下の通りです。

投薬治療

動物病院での犬アトピー性皮膚炎の治療は、体の免疫バランスを調整する「投薬治療」を行うことがあります。これまでの薬は、効果が高い反面、副作用も強いなどの心配がありましたが、最近では、副作用の心配が少ない「JAK阻害薬」などの治療薬が使われるようになりました。これは、体内の痒みの信号を選択的に抑えることによって、かゆみを緩和する効果が期待できる薬です。

また、ステロイド剤を使うケースも少なくありません。ステロイド剤は炎症を抑制し、かゆみを止めるなどの効果があり、内服だけでなく外用としても使われます。長期間の投与では副作用の懸念もあるので、使用する場合は獣医師の指示に従って服用することが大切です。

減感作療法

「減感作療法」とは、犬アトピー性皮膚炎の原因となっているアレルゲンを、注射などによって犬の体内に入れるという治療法です。この治療法は、少しずつアレルゲンを体内に入れることにより、徐々に体をアレルゲンに慣らし、その症状を和らげる効果が期待できるといわれています。
通院が長期に渡ることもありますが、今起きている皮膚の炎症やかゆみを抑えるだけでなく、かゆみ止めなどの薬の量を減らす効果も期待できるとされています。

犬アトピー性皮膚炎の治療法《ホームケア》

フレンチブルドッグ
getty
犬アトピー性皮膚炎の治療では、飼い主さんによるホームケアも重要となります。では、どのようなケアをすればよいのでしょうか。

シャンプー/ドライワイプ

症状により頻度は異なりますが、犬の皮膚からのアレルゲンの侵入を防ぐため、週に1回のシャンプーと毎日のドライワイプで、体に付着したアレルゲンを取り除くケアが必要となる場合があります。
ドライワイプとは、ペット用の拭き取りシートや不織布で被毛を乾拭きすること。散歩のあとなど、毎日の習慣として行うようにするとよいでしょう。また、皮膚が乾燥しているとアレルゲンが体内に入りやすくなるため、動物病院で処方される動物用セラミド入り保湿液などを使ってケアするように指示されることもあります。

ドッグフードの見直し

ドッグフードの見直しが必要となるケースもあります。この場合、かかりつけの獣医師と相談しながら、愛犬の症状に合った療法食や総合栄養食のドッグフードを選ぶのが大切です。毎日適切な量の食事を与えて栄養バランスを整えることは、免疫力を高めることにつながり、犬アトピー性皮膚炎の症状緩和にも役立つでしょう。

乳酸菌サプリメントを取り入れる

主食となるドッグフードのほかに、乳酸菌を含むサプリメントを与えて、腸内環境を整えると有効なケースも。なお、サプリメントを取り入れる場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。

このほかにも、犬が暮らす環境からできるだけアレルゲンを排除することも重要です。こまめな掃除や洗濯を心がけ、住環境の清潔を保ちましょう。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「【獣医師が解説】犬のアレルギー原因と対策|よくあるQ&Aも!」

犬アトピー性皮膚炎は根気よく付き合っていこう

ビーグルと飼い主
getty

早期発見・治療のためにも毎日のスキンシップを!

犬アトピー性皮膚炎のなどのアレルギー反応は、わきの下や耳などパッと見ただけではわからないところにも出ます。毎日のスキンシップで、愛犬の皮膚の変化を見逃さないようにしましょう。このようにして早期発見を心がけ、早めに治療を開始できれば、重症化を防げるうえ、治療効果も高まるといわれています。
このように、犬アトピー性皮膚炎は、長く付き合っていく必要がある病気のひとつです。だからこそ、愛犬にも飼い主さんにも無理のない方法を見つけ、根気よく治療していくことが大切です。
参考/「いぬのきもち」2013年1月号『犬のアレルギー最前線』
   「いぬのきもち」2015年4月号『イチからわかる犬のアレルギー』(監修:荒井延明先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGZINE『犬の病気・症状データベース(アトピー性皮膚炎)』
監修/後藤瞬先生(相模原プリモ動物医療センター第2病院勤務)
文/hasebe
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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