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【獣医が教える】オス犬の前立腺肥大について
前立腺肥大は、人間だけでなく犬にもよく見られる病気です。また、特徴的な症状が見られる病気でもあります。今回のコラムで前立腺肥大について学んで、いち早く愛犬の異常に気づけるよう、適切な知識を増やしましょう。
前立腺とは
前立腺肥大とは
ほとんどのケースは、腫瘍以外ですが、腫瘍も発生します。
前立腺肥大の症状
尿が出にくい、排尿時に痛がる、血尿が出る
便が出にくい、きしめんのような平たい便が出る
また、圧迫された直腸を便が通過するため、きしめんのような平たい便が出ることがあります。
後ろ足の跛行(はこう)
*跛行(はこう):つりあいがとれないまま進む状態
前立腺肥大の原因
●腫瘍以外:
前立腺は、男性ホルモンの影響により加齢とともに大きくなります。そのため、去勢をしていない場合、前立腺は大きくなります。男性ホルモンによる前立腺の肥大は、良性の前立腺過形成とよばれます。良性の前立腺過形成は腫瘍ではありません。
●腫瘍:
腫瘍の場合は、ホルモンの影響と関係なく前立腺は大きくなります。そのため、去勢しているのに前立腺が肥大した場合は、腫瘍である可能性が高くなります。
前立腺肥大の検査方法
X線検査
・検査費用の目安:5000~6000円程度
超音波検査
・検査費用の目安:3000~4000円程度
直腸検査
・検査費用の目安:1000円程度
CT・MRI検査
・検査費用の目安:全身麻酔代も含めて50000円以上
前立腺肥大の治療方法・費用
前立腺の過形成(腫瘍以外)は、男性ホルモンの影響によって生じるため、去勢手術をすることで、前立腺を小さくすることができます。また、麻酔が困難な場合は、内服薬で前立腺を小さくすることもできます。しかし、内服薬での治療は根本的な治療ではないので、再発する可能性もあります。
去勢手術費用は、病院によってまちまちですが、10kgぐらいの犬で20000~30000円程度です。ただし、大型犬では、30000円以上かかる場合もあります。
また、内服薬での治療費用は、2000~3000円程度です。
一方、前立腺腫瘍の場合は、男性ホルモンの影響を受けないため、去勢手術をしても前立腺を小さくすることはできません。治療としては、前立腺の摘出手術や放射線治療が実施されることがありますが、あまり長く生きることができないのが現状です。また、前立腺腫瘍は悪性のことが多く、来院時にはすでにかなり進行しており、治療が難しい場合が多いです。
前立腺摘出手術費用は、50000円以上かかる場合がほとんどです。
前立腺肥大の予防法
前立腺腫瘍の場合は、男性ホルモンの影響ではないので、去勢手術で予防することはできません。
まとめ
・腫瘍以外の前立腺肥大は、男性ホルモンが原因のため、去勢手術を実施することで予防できます。かかりつけの獣医さんとしっかり相談をして、去勢手術を受けることをオススメします。
・腫瘍の場合、予防はできません。また、悪性腫瘍であることがほとんどで、治療困難となるケースもあります。
・前立腺肥大では、血尿が出たり、きしめんのような平たい便が出るなどの特徴的な症状が出ることがあります。これらの症状が見られた場合は、前立腺肥大の可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。
※掲載した治療費についてはおよその目安です。病院にご確認ください。
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