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【獣医師監修】犬が噛む理由~噛まない犬にする正しいしつけ・対処法

噛まない犬にするためには、子犬のころの甘噛みのしつけと、噛む理由に合った対策をとることが大切です。ここでは、犬が噛む理由や甘噛みのしつけのポイント、噛みやすいシーン別の対処法をご紹介します。トラブルを防ぐためにも、しっかりと対策しましょう!

芝崎 考次郎 先生

 獣医師
 相模大野プリモ動物病院副院長

 日本獣医生命科学大学卒業

●資格:獣医師

●所属:日本獣医エキゾチック動物学会

●主な診療科目:一般診療(外科、内科)/エキゾチックペット診療

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犬が噛む理由とは?

いたずら
getty
「犬が噛む」と一口にいっても、その理由はさまざまです。まずは、犬が人やモノを噛む主な理由についてみていきましょう。

「支配欲」や「縄張り意識」など本能的なもの

犬は本能的に人やモノを噛んでしまうことがあります。その一つに、犬の大切なものに対する独占欲や支配欲が挙げられます。ご飯を食べている最中に触ろうとすると、噛み付こうとしたり唸ったりするのがこの典型的な例でしょう。また、犬は縄張り意識の強い動物です。そのため、自分の縄張りに勝手に侵入しようとするものに対して、噛み付く、吠えるなどして必死に守ろうとすることがあります。

恐怖を感じている・嫌なことから逃れたい

犬は恐怖心から噛み付いてしまうこともあります。これは、怖がりで神経質な性格の犬や、社会化トレーニングの途中の犬などに多く見られるようです。また、苦手なことなどに直面すると、それから逃れるために噛む犬もいます。

飼い主さんにかまってほしい

犬に噛まれたときに、飼い主さんが「痛い!」といって手を引っ込めたにもかかわらず、犬はそれを「飼い主さんがかまってくれた」と誤解してしまうことがあります。すると、「噛めば飼い主さんはかまってくれる」と学習し、その犬にとって噛むことがコミュニケーションの手段となってしまうのです。

痛みやかゆみがあり触れられたくない

いつも通りのスキンシップやお手入れの最中に、犬が突然噛み付く場合は、痛みやかゆみなどが原因かもしれません。身体のどこかに痛みやかゆみを感じる場所があり、触られたときの不快感から噛み付いてしまうのでしょう。この場合、犬の身体をくまなくチェックして原因を見つけ、動物病院を受診してください。

このように、犬が人やモノを噛んでしまう理由はたくさん考えられます。犬の噛む行為は、ケガやトラブルにつながるので、理由に合った対策をとるようにしましょう。また、その上で子犬のころから、噛み癖をつけないようにしつけをすることも重要です。では、どうすればよいのでしょうか。

子犬の“甘噛み”と甘くみないのがポイント

ソファにのる犬
getty
噛み癖のない犬にするには、子犬のころによく見られる“甘噛み”をしっかりとしつけることがポイントです。ここでは、甘噛みの理由や対処法をご紹介します。

甘噛みの理由

◆歯の生え変わり
乳歯から永久歯に生え変わる際、歯がかゆくなると犬は甘噛みをしてしまうことがあります。この場合の甘噛みは、犬が成長するうえで仕方のないことなので、噛んでもよいおもちゃなどを与えて、うまく対処してあげましょう。

◆遊びの延長
子犬は遊びの延長で、甘噛みをしてしまうこともあります。そもそも子犬は、犬同士のじゃれ合いの中で、相手に噛まれて痛いと感じることで、噛む加減を覚えていきます。しかし、生後数か月できょうだい犬と引き離された犬の場合は、誰かに噛まれることがないため、噛む加減がわからず、甘噛みを続けてしまうことがあるのです。

また、甘噛みをしたときに、飼い主さんが「痛い!」といったことを「かまってもらえた」と勘違いして甘噛みが癖になることも少なくありません。

甘噛みのしつけ・対処法

子犬の甘噛みは、噛まれてもそこまで痛くないため「単なる子犬だから」と甘くみてしまいがちです。しかし、放任してしまうと、噛んでいいものと悪いものの区別がつかなくなり、噛み癖のある犬に成長してしまうおそれがあるので注意しましょう。

子犬の甘噛みにおいては、噛んでもよいおもちゃを与える、噛まれたくないものはしまうなどして、うまく対処することが大切です。また、甘噛みされても反応しないようにすることも有効な方法でしょう。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「どうして噛むの?ワンちゃんが甘噛みする理由としつけ方法とは?」

犬が飼い主さんの手や服を噛むとき

2匹の犬
getty
ここからは、犬が噛んでしまいがちなケース別に理由や対処法をご紹介します。

飼い主さんの手や服を噛む理由

リビングでくつろいでいるときなどに、犬が突然飼い主さんの手や足、洋服の裾などを噛んでくるときは、「かまってほしい」と感じているケースがほとんどです。飼い主さんが犬に何かをして噛まれた場合は、ほかの理由も考えられますが、何もしていないときに噛まれたなら、「退屈だよ!」という犬の意思表示の可能性が高いでしょう。

この場合のしつけ・対処法

犬が突然噛んできたときは、飼い主さんはあわてずにその場をサッと離れ、犬に対しては何の反応も見せないようにしましょう。また、普段からロープの引っ張り合いをしたり、噛む知育おもちゃなどを使った遊びをしてあげたりすることで、十分に遊びたい気持ちを満足させると、予防できることもあります。

犬がお手入れ中にブラシや手などを噛むとき

怒る犬
getty

お手入れ中に噛む理由

冒頭でもお話しした通り、犬は「嫌なものから逃れたい」と感じると、噛んだり噛むようなしぐさを見せることがあります。ブラッシングや爪切りなどのお世話の際、犬が嫌がっているのにもかかわらず無理に続けようとしたときに犬が噛むのは、このような精神状態が原因でしょう。

噛む行為は一見攻撃性を感じますが、その一方でそこから早く逃れようとする逃避的な意味の行動でもあります。そのため、噛まれた瞬間ブラシをどけてしまうと、「噛むことで嫌なものが遠ざかった」と勘違いすることにつながり、お手入れのときに噛むことが習慣になってしまうおそれがあるので注意してください。

この場合のしつけ・対処法

ブラッシングのときに噛む犬には、まず「ブラッシングは楽しいこと」と覚えさせることが重要です。ブラッシングをするときはおやつを与えながら行い、犬に触れやすいところからブラッシングしてみましょう。それでも嫌がる場合は、ブラシを見せるだけでもOK。おやつを与えながら少しずつブラッシングできる場所を増やしていくのがポイントです。

犬が散歩中にリードを噛むとき

下を出す犬
getty

リードを噛む理由

散歩中に、リードを噛んで嫌がる犬も少なくありません。これは、リードにコントロールされるのが苦手な犬に多く見られ、嫌なことから逃れるための行動です。しかし、リードは散歩に必須のアイテムですし、無理につけて正しく装着できていないと脱走の原因にもなるので、しっかりと慣れさせる必要があります。

この場合のしつけ・対処法

この場合は、リードを噛めない状態にするのが効果的です。まず、犬がリードを噛もうとしたら、即座にリードを地面と垂直になるように引き上げてください。このとき、噛まずにいられたら、おやつを与えるなどしてほめてあげましょう。それを根気よく繰り返し行うことで、リードを噛まないようになります。なかなかうまくいかない場合は、しつけ教室に通うことなども検討してみるとよいでしょう。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「犬のリードの選び方・扱い方|散歩中のお困り行動も直るしつけ方とは」

犬が噛む理由を考え、それに合った方法で対策しよう

おもちゃを噛む犬
getty
犬が人やモノを噛んでしまう理由やシーンは、数多くあることがわかりました。そのため、愛犬の噛む行為をやめさせるためには、「なぜ噛むのか」をまずは考え、その理由に合った方法でしつけることがもっとも有効な方法といえるでしょう。また、子犬の場合は、甘噛みからしっかりしつけていくことが大切です。無駄に噛むことを覚えさせないようにして、愛犬と良好な関係を築いていきましょう。
参考/「いぬのきもち」2016年4月号『困りごと解決のヒントに!犬のアタマの中をのぞいたら吠え・噛みの理由がわかった』(監修:しつけ教室DOGLY代表 日本動物病院協会認定家庭犬インストラクター 荒井隆嘉先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『どうして噛むの?ワンちゃんが甘噛みする理由としつけ方法とは?』
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『犬のリードの選び方・扱い方|散歩中のお困り行動も直るしつけ方とは』
監修/芝崎考次郎先生(相模大野プリモ動物病院副院長)
文/hasebe
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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