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【獣医師監修】犬の元気がない場合の原因や対処法は?病気の可能性など症状も解説
愛犬に元気がないときは、病気ではないかと心配になってしまいますよね。犬の元気がないときに考えられる原因と対処法について解説します。犬の元気消失は病気以外にも理由がありました。犬に元気がない時は、他にも食欲がない、寝てばかり、嘔吐下痢などの症状にも注意が必要です。
岡部 知 先生
「犬の元気がない」ってどういうとき?
「犬の元気がない」という表現としては、例えば、いつもは来るのに呼んでも来ない、疲れている、ずっと寝ている、活力がない、尻尾を振らない、尻尾が下がっているなどといった様子が考えられます。
いつも元気な犬にこのような様子がみられる場合は、犬が何らかの病気による体調不良を起こしていたり、疲れやストレスなどを感じている可能性もあります。
病気に関連する「元気がない」症状と受診のポイント
食欲がない・食べない・水を飲まない
一時的に食欲がなくなった、あるいは犬がストレスや疲れを感じるような出来事に心当たりがある場合は、様子をみる選択もありますが、念のため獣医師に相談することをおすすめします。
一方で、徐々に食欲が落ちてきている場合や、食欲がない状態が長く続く場合は病気の可能性もあります。また、食欲はあるのにごはんを食べることができない場合は、歯周病や口内炎などの口内トラブルを抱えている可能性もあります。
もし、愛犬の元気がない状態で「水を飲まない」場合は、体に脱水が起こっている可能性があるので、速やかに動物病院を受診しましょう。
嘔吐・下痢
例えば、寄生虫などによる感染症や胃腸炎などの消化器系疾患、他にも腎不全や膵炎といった内臓疾患など、さまざまな原因が考えられます。また、お腹がキュルキュルと鳴っている場合も、お腹の具合が悪い可能性があります。
食事の前や後など、決まったタイミングで吐く状態が続いている場合は、空腹なのか食べ物を吐いているのかなど、嘔吐物を確認することも大切です。嘔吐や下痢の症状は長引くと体力も奪われるだけでなく、脱水にもつながるため、動物病院を受診しましょう。
体の震え
具体的には、低血糖症、脳や脊髄の病気、椎間板ヘルニア、中毒症状、てんかんなどの病気も考えられます。これらは、いずれも危険度の高い病気のため、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。
ただし、「震える」という犬の仕草は、怖い、不安、緊張、寒さなどでも起こるため、まずは愛犬の様子をしっかりと観察しましょう。
寝てばかりいる
寝ている時間が多いのは、お腹の調子が悪い、腹痛、関節炎などの痛みがある場合なども考えられるでしょう。このような様子がみられたら、下痢や嘔吐などの消化器症状がないか、足を引きずる・気にして歩いていないか、痛いところはないかなどをチェックし、動物病院を受診した方が安心です。
熱がある
発熱症状がみられた場合は動物病院を受診して、その原因を調べて治療をする必要があるでしょう。
耳が冷たい
ほとんどの場合、周囲の温度が低い場合や体が小さいこと、老齢によるものが関与していると考えられますが、中には調子が悪くて体が衰弱していたり具合が悪いこともあります。
耳が冷たい場合は、体や足先なども冷たくないかを確認し、体が冷たくて愛犬の調子が悪いと感じる場合は、動物病院を受診する必要があるでしょう。
尿や便の異常
便の異常は軟便や下痢だけでなく、便秘や寄生虫などの可能性もあります。このため、犬の状態に合わせた観察と治療が必要です。
唸る・怒る
この場合は興奮をさせたり刺激を与えずに、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
他に症状がなくても病気が隠れていることも
例えば、心臓病や腫瘍、肥満、貧血、発熱の症状は、身体検査や血液検査、画像検査などをしないとわからない病気もあります。
愛犬の異変は、いつも一緒にいる飼い主さんだからこそ気がつくことができますが、一緒にいるからこそ見慣れてしまって、気がつくのが遅れてしまうこともあります。このため、気になる変化があれば、動物病院を受診することが大切です。
犬の元気がない!状況別に考えられる理由と対処法
①ワクチン接種後
また、病院が苦手な犬や注射嫌いの犬は、精神的なストレスや疲れによって、一時的に元気がなくなることもあるでしょう。ワクチン接種後の副反応で調子を崩している場合は動物病院の受診が必要です。
②手術後
避妊手術・去勢手術
また、初めての入院手術や飼い主さんと離れていたストレス、疲れで元気がなくなったり、全身麻酔後の影響で、一時的にボーッとした状態が続くこともあります。手術後から傷口が完治するまでは獣医師の指示に従い、なるべく安静にすることが大切です。
③精密検査や治療の際に使用する鎮静剤や全身麻酔の影響
④ストレスや環境変化、疲労
引っ越し
外出中の異変
また、外出先で注意したいのが夏場の「熱中症」です。屋外ではパンティング(荒い呼吸)が続くなど、熱中症の疑いがある場合は、すぐにエアコンの効いた涼しい室内へ移動して、犬が自力で水を飲める場合は飲ませてあげましょう。
もし愛犬の元気がない、あるいはぐったりしている場合は、水を全身にかけて体温を下げてあげる方法がありますが、これは応急処置にすぎません。熱中症は、重症化すると命にかかわるため、速やかに近くの動物病院を受診してください。
飼い主と離れたストレス
疲労
犬がストレスを感じたり疲れている場合は、構ったり興奮させずに、体が休まるようにそっとして、体力を回復させてあげてください。
⑤老化
できなくなっていくことが増えることは寂しいですが、今の愛犬の状況に合ったお散歩量や生活スタイルに変えながら、体に負担がかからないように過ごすことも必要です。
【愛犬に元気がない】いぬのきもち相談室に寄せられたQ&Aで詳しく解説
Q. 今日は元気がありません。散歩に行っても少し歩いて止まってしまい、尿も少ししか出ていません。
元気がないのはすべての病気に共通するサイン。また、尿が少ないということは、脱水や腎臓、尿路に何らかの異常があって排泄できない可能性も。すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。
Q. 9才の愛犬が急におとなしくなりました。どのような原因が考えられますか。
【先生の回答】
おとなしくなった以外にも、好きなものを食べない、散歩を嫌がる、呼吸が早い、反応が鈍いなどの症状がある場合は、動物病院で診察を受けましょう。他の症状がない場合は、痛がる箇所がないか体を触り、皮膚や粘膜の色にも異常はないか確認しましょう。9才にもなるとさまざまな病気を発症しやすくなるため、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
Q. フセの体勢でキャンと鳴いてから一日中寝ています。便が出ていないことと関係はありますか。
便が出てないことが原因ではなく、身体に何か問題があり、その結果として「鳴く」「じっとしている」「便が出ない」という状態になっている可能性が高いです。翌日にも続くようであれば、動物病院に連れて行きましょう。
少しでも心配があるときは動物病院を受診すること
犬は具合が悪いときやツライときに、人間のようにツライと言うことができません。飼い主さんが「いつもより大人しいかも?」「いつもは尻尾を振るのに、尻尾が下がっている?」「ダルそうかも?」と、愛犬の小さな変化に気がつけること、犬の気持ちに耳を傾けてあげることが大切です。
取材・文/maki
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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