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【獣医師監修】犬の元気がない場合の原因や対処法は?病気の可能性など症状も解説

愛犬に元気がないときは、病気ではないかと心配になってしまいますよね。犬の元気がないときに考えられる原因と対処法について解説します。犬の元気消失は病気以外にも理由がありました。犬に元気がない時は、他にも食欲がない、寝てばかり、嘔吐下痢などの症状にも注意が必要です。

岡部 知 先生

 獣医師
 厚木プリモ動物病院院長

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科卒業

●資格:獣医師

●所属:比較眼科学会

●主な診療科目:一般診療(外科、内科)/眼科

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「犬の元気がない」ってどういうとき?

【獣医師監修】犬の元気がない場合の原因や対処法は?病気の可能性など症状も解説 いぬのきもち
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愛犬にいつもの元気がないときに、動物病院を受診するかどうかを迷ったことはありませんか?

「犬の元気がない」という表現としては、例えば、いつもは来るのに呼んでも来ない、疲れている、ずっと寝ている、活力がない、尻尾を振らない、尻尾が下がっているなどといった様子が考えられます。

いつも元気な犬にこのような様子がみられる場合は、犬が何らかの病気による体調不良を起こしていたり、疲れやストレスなどを感じている可能性もあります。

病気に関連する「元気がない」症状と受診のポイント

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愛犬に元気がないと感じても、その他はいつもと変わりない状態であれば、数日様子をみるだけでもよいでしょう。しかし、以下のような症状が一緒にみられる場合は、動物病院を受診しましょう。

食欲がない・食べない・水を飲まない

「食欲がない・食べない」という症状は、ストレスや遊び疲れ、食事内容の変更など、病気以外が原因のこともありますが、さまざまな病気に共通する症状の一つでもあるため、見逃さないようにしましょう。

一時的に食欲がなくなった、あるいは犬がストレスや疲れを感じるような出来事に心当たりがある場合は、様子をみる選択もありますが、念のため獣医師に相談することをおすすめします。

一方で、徐々に食欲が落ちてきている場合や、食欲がない状態が長く続く場合は病気の可能性もあります。また、食欲はあるのにごはんを食べることができない場合は、歯周病や口内炎などの口内トラブルを抱えている可能性もあります。

もし、愛犬の元気がない状態で「水を飲まない」場合は、体に脱水が起こっている可能性があるので、速やかに動物病院を受診しましょう。

嘔吐・下痢

犬に元気がなく、嘔吐や下痢をしているときは、何らかの病気の可能性があります。

例えば、寄生虫などによる感染症や胃腸炎などの消化器系疾患、他にも腎不全や膵炎といった内臓疾患など、さまざまな原因が考えられます。また、お腹がキュルキュルと鳴っている場合も、お腹の具合が悪い可能性があります。

食事の前や後など、決まったタイミングで吐く状態が続いている場合は、空腹なのか食べ物を吐いているのかなど、嘔吐物を確認することも大切です。嘔吐や下痢の症状は長引くと体力も奪われるだけでなく、脱水にもつながるため、動物病院を受診しましょう。

体の震え

犬に元気がなく体が震えているときは、病気による痛みや神経症状などを疑います。

具体的には、低血糖症、脳や脊髄の病気、椎間板ヘルニア、中毒症状、てんかんなどの病気も考えられます。これらは、いずれも危険度の高い病気のため、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。

ただし、「震える」という犬の仕草は、怖い、不安、緊張、寒さなどでも起こるため、まずは愛犬の様子をしっかりと観察しましょう。

寝てばかりいる

普段は元気に動き回る犬が、1日中寝ている場合や寝床から動かない場合は、何らかの体調不良や体の痛みを感じている可能性があります。

寝ている時間が多いのは、お腹の調子が悪い、腹痛、関節炎などの痛みがある場合なども考えられるでしょう。このような様子がみられたら、下痢や嘔吐などの消化器症状がないか、足を引きずる・気にして歩いていないか、痛いところはないかなどをチェックし、動物病院を受診した方が安心です。

熱がある

犬に発熱がある場合は、元気がなくなり体が熱くなったりぐったりしたりする様子がみられます。発熱の原因は多岐にわたりますが、細菌やウイルスの感染症、体の炎症、腫瘍などの問題がある場合が考えられます。

発熱症状がみられた場合は動物病院を受診して、その原因を調べて治療をする必要があるでしょう。

耳が冷たい

犬の元気がなく耳が冷たい場合は、体温が低い可能性も考えられます。

ほとんどの場合、周囲の温度が低い場合や体が小さいこと、老齢によるものが関与していると考えられますが、中には調子が悪くて体が衰弱していたり具合が悪いこともあります。

耳が冷たい場合は、体や足先なども冷たくないかを確認し、体が冷たくて愛犬の調子が悪いと感じる場合は、動物病院を受診する必要があるでしょう。

尿や便の異常

犬の元気がなく、尿に異常がある場合は、腎臓や尿路などの病気の可能性があるので、すぐに動物病院を受診しましょう。また、脱水が起こると尿の量が少なくなるので、おしっこの量や色、ニオイなどにも注意が必要です。

便の異常は軟便や下痢だけでなく、便秘や寄生虫などの可能性もあります。このため、犬の状態に合わせた観察と治療が必要です。

唸る・怒る

いつもフレンドリーで唸ることのない犬の元気がなく、近づいたり触ろうとする際に「ウー!」と唸るのは体にケガや痛みがある可能性が高いです。

この場合は興奮をさせたり刺激を与えずに、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

他に症状がなくても病気が隠れていることも

愛犬に元気がない状態のとき、その他の症状が出ていない場合や症状に気がつかない場合では、隠れている病気を見過ごしてしまうこともあるので注意が必要です。

例えば、心臓病や腫瘍、肥満、貧血、発熱の症状は、身体検査や血液検査、画像検査などをしないとわからない病気もあります。

愛犬の異変は、いつも一緒にいる飼い主さんだからこそ気がつくことができますが、一緒にいるからこそ見慣れてしまって、気がつくのが遅れてしまうこともあります。このため、気になる変化があれば、動物病院を受診することが大切です。

犬の元気がない!状況別に考えられる理由と対処法

【獣医師監修】犬の元気がない場合の原因や対処法は?病気の可能性など症状も解説 いぬのきもち
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犬は病気以外にも、環境の変化や疲労、ストレスなどによって元気がなくなることがあります。

①ワクチン接種後

病気を予防するためのワクチンを接種した後に元気がなくなる場合があります。予防接種後にみられる体調不良の主な原因は、副反応とストレスです。ワクチンの副反応は、接種後数分で出るものから、数日後に現れるものもあります。

また、病院が苦手な犬や注射嫌いの犬は、精神的なストレスや疲れによって、一時的に元気がなくなることもあるでしょう。ワクチン接種後の副反応で調子を崩している場合は動物病院の受診が必要です。

②手術後

手術の後は、痛みや疲れ、ストレスなどの影響で犬の元気がなくなることがあります。

避妊手術・去勢手術

避妊手術・去勢手術の後は、体に手術による傷の痛みが残っているため、元気がなくなるケースがみられます。

また、初めての入院手術や飼い主さんと離れていたストレス、疲れで元気がなくなったり、全身麻酔後の影響で、一時的にボーッとした状態が続くこともあります。手術後から傷口が完治するまでは獣医師の指示に従い、なるべく安静にすることが大切です。

③精密検査や治療の際に使用する鎮静剤や全身麻酔の影響

病気を診断するために行われるMRI検査やCT検査などの精密検査であったり治療を行う際に、麻酔や鎮静が必要な場合では、薬の影響で覚醒後に一時的にボーッとしたり元気がなくなることもありますが、時間とともに回復がみられます。

④ストレスや環境変化、疲労

引っ越し

引っ越しなどの環境の変化が原因で、犬の元気がなくなったり、食欲が落ちることがあります。この場合、しばらく様子をみながら、以前の家のニオイがついた服やタオル、おもちゃなどをハウスに入れてあげるとストレス軽減につながるでしょう。

外出中の異変

外出先で愛犬の元気がなくなった場合は、慣れない環境にストレスを感じている可能性があります。この場合は飼い主さんが優しい言葉をかけて、犬の緊張をほぐしてあげましょう。

また、外出先で注意したいのが夏場の「熱中症」です。屋外ではパンティング(荒い呼吸)が続くなど、熱中症の疑いがある場合は、すぐにエアコンの効いた涼しい室内へ移動して、犬が自力で水を飲める場合は飲ませてあげましょう。

もし愛犬の元気がない、あるいはぐったりしている場合は、水を全身にかけて体温を下げてあげる方法がありますが、これは応急処置にすぎません。熱中症は、重症化すると命にかかわるため、速やかに近くの動物病院を受診してください。

飼い主と離れたストレス

長時間の留守番の後やシャンプーのためにトリミングサロンに預けたとき、動物病院に入院したときなど、飼い主と離れることでストレスを感じて犬の元気がなくなることがあります。

疲労

外出をしたりドッグランなどでたくさん遊んだ後、家に来客があった後など、犬が疲れて元気がないことがあります。

犬がストレスを感じたり疲れている場合は、構ったり興奮させずに、体が休まるようにそっとして、体力を回復させてあげてください。

⑤老化

高齢犬になると老化によって徐々に活動量や筋肉量が低下して、動きも鈍くなっていくため、前より元気がないように感じることがあります。

できなくなっていくことが増えることは寂しいですが、今の愛犬の状況に合ったお散歩量や生活スタイルに変えながら、体に負担がかからないように過ごすことも必要です。

【愛犬に元気がない】いぬのきもち相談室に寄せられたQ&Aで詳しく解説

Q. 今日は元気がありません。散歩に行っても少し歩いて止まってしまい、尿も少ししか出ていません。

【先生の回答】
元気がないのはすべての病気に共通するサイン。また、尿が少ないということは、脱水や腎臓、尿路に何らかの異常があって排泄できない可能性も。すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。

Q. 9才の愛犬が急におとなしくなりました。どのような原因が考えられますか。


【先生の回答】
おとなしくなった以外にも、好きなものを食べない、散歩を嫌がる、呼吸が早い、反応が鈍いなどの症状がある場合は、動物病院で診察を受けましょう。他の症状がない場合は、痛がる箇所がないか体を触り、皮膚や粘膜の色にも異常はないか確認しましょう。9才にもなるとさまざまな病気を発症しやすくなるため、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。

Q. フセの体勢でキャンと鳴いてから一日中寝ています。便が出ていないことと関係はありますか。

【先生の回答】
便が出てないことが原因ではなく、身体に何か問題があり、その結果として「鳴く」「じっとしている」「便が出ない」という状態になっている可能性が高いです。翌日にも続くようであれば、動物病院に連れて行きましょう。

少しでも心配があるときは動物病院を受診すること

【獣医師監修】犬の元気がない場合の原因や対処法は?病気の可能性など症状も解説 いぬのきもち
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愛犬に元気がないとき、食欲があってうんちやおしっこに異常もなく、普通に過ごしているようであれば様子をみてもよいでしょう。しかし、元気がない状態が続いたり、普段の様子に心配事がある場合は、健康チェックも兼ねて動物病院を受診しましょう。

犬は具合が悪いときやツライときに、人間のようにツライと言うことができません。飼い主さんが「いつもより大人しいかも?」「いつもは尻尾を振るのに、尻尾が下がっている?」「ダルそうかも?」と、愛犬の小さな変化に気がつけること、犬の気持ちに耳を傾けてあげることが大切です。
監修/岡部知先生(厚木プリモ動物病院院長)
取材・文/maki
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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