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【獣医師監修】犬がなめる行動の理由 人の口や手、地面、なめる場所による違いは

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犬が人とコミュニケーションをはかるときによく見られるのが「なめる」しぐさ。そこにはどんな気持ちが隠れているのでしょうか?今回は、飼い主さんの顔や体、床や地面をなめるときの犬の気持ちや、なめることによる細菌感染の危険性についてご紹介していきます。


監修/草場宏之先生 獣医師

顔をなめるときの犬の気持ち

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口をなめる1:「愛情・信頼・従順」

「飼い主さんが帰宅すると、愛犬が駆け寄り口をなめてくる」「愛犬と穏やかな時間を過ごしているとき、ふいに口をなめてくる」といったことは、多くの飼い主さんが経験しているでしょう。このときの犬の気持ちは、「愛情・信頼・従順」です。

野生時代の犬は、リーダーを筆頭とした群れ社会でした。そのリーダーに対し「あなたに従います」と表現するしぐさのために、口をなめていたのだそう。今や家族になった愛犬が飼い主さんの口をなめてくるのは「信頼しています」「大好きだよ」という、敬意や愛情を示す表現なのです。留守番という不安から解き放たれた飼い主さんの帰宅時や、ふとした瞬間に口をなめて「嬉しい」という気持ちを示しているのでしょう。

口をなめる2:ごはんをおねだり

エサを催促するときにも、飼い主さんの口をなめることがあります。子犬の頃は、母犬が噛み砕いたエサを口移しでもらっていました。お腹がすくと母犬の口をペロペロとなめてエサを催促していた名残で、飼い主さんに「ごはんが欲しい」とサインを送っているのだと考えられます。

鼻や耳をなめる:甘えるときや味が好き!?

犬が飼い主さんの口をなめているとき、一緒に鼻をなめることがあります。人の鼻周辺は、汗や鼻水などの分泌物がたまりやすい場所。口をなめたとき、鼻周辺で犬が好む湿気やニオイを感じると、しつこいくらいなめ続けるでしょう。耳の場合も同じように、耳アカなどのニオイにつられてなめる犬もいます。

犬が顔をなめる多くの場合は愛情表現といえますが、「嬉しい」「大好き」と伝えている最中においしい味やニオイを感じると、味を堪能することへ感情がシフトすることもあります。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「犬が顔をなめるのは愛情表現だけじゃない!愛犬の意外な気持ちって?」

体をなめるときの犬の気持ち

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手をなめる1:遊んで!と催促

犬にとっての飼い主さんの手は、なでてくれたり、おやつをくれたり、抱っこしてくれたりする大好きな部位です。そして一緒に遊ぶときにも、飼い主さんの手は活躍しますよね。その手をなめてくるときは、甘えて「なでて!」と催促しているときや、遊びに誘っているのです。彼らなりに、スキンシップをはかろうとしているんですね。

手をなめる2:降参しました!

愛犬のお手入れ中に、飼い主さんの手をペロペロとなめることもあります。その場合は「もうどうにでもして、お任せします」という降参の気持ち。飼い主さんを信頼し、安心していることの表れです。

腕やスネをなめる:ストレスがたまっているかも!?

飼い主さんの腕やスネなどをしつこくなめてくるときは、単にじゃれている可能性もありますが、もしかしたら愛犬にストレスがたまっているのかもしれません。欲求が満たされないことでストレスがたまると、同じ行動を繰り返す「常同行動」を起こし、悪化すると「強迫性障害」という精神疾患につながってしまいます。

心因性の精神病である「強迫性障害・常同行動」は、ケージに長時間閉じ込められた、何をやっても叱られた、強い欲求不満にさらされたなど、何らかのストレスに長期間さらされた場合に発症するといわれている障害です。

・自分や飼い主さんの腕やスネ、体の一部をなめ続ける
・同じ場所をグルグル回り続ける
・自分のしっぽをしつこく追う
・見えない獲物を飼い続ける

といった行動を数十分に渡り続けていたら、「強迫性障害・常同行動」かもしれません。獣医師に相談することをおすすめします。

床や地面をなめるときの犬の気持ち

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地面やコンクリをなめる:病気の可能性が!?

犬は、栄養面に問題があるときや、肝臓に障害があるとき、もしくは脳の病気を患っているときに、食べられないものを口にしたがることがあります。

病気が原因でなめるケースは、飼い主さんが呼んでもなめ続けることが多いようです。地面やコンクリートをなめることは衛生的にも良くないので、ドックフードを見直し不足している栄養分を補う、獣医師の診断を仰ぐなどして改善させましょう。

病気が原因でない場合は、以前に同じような行動をした際に飼い主さんが気にしてくれたことを覚えていて、気を引くために繰り返すようになったのかもしれません。その場合は、飼い主さんが反応しなければ徐々に治まってきます。してほしくない行動をしているときは、騒がずに無視することも大切なしつけです。

体をなめさせるときは、細菌感染に注意!

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犬と菌は共生関係にあります。身近な菌には細菌や真菌(カビ)、ウイルスがあり、特に細菌は空気中や人や犬の体にも存在し、病原菌の侵入を防いだり消化を助けたりなど、宿主と共生関係にあるものもあります。

しかし、菌の中には、人と犬の間で感染して健康に被害を及ぼすものもあり、これらの病気は「人畜共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれています。今回は、犬から人に感染しやすい病気を5つご紹介していきましょう。

パスツレラ症

口腔内常在細菌のパスツレラ菌が、キスなどにより犬から人に感染すると、人は感染部分が赤く腫れあがったり痛みを感じたり、呼吸器や皮膚などに炎症を引き起こす場合があります。

レプトスピラ症

「レプトスピラ・インテロガンス」という細菌による病気です。動物間で循環的に感染するので、人も注意が必要です。犬が感染した場合は、血便や発熱、口腔内に出血がみられ、最悪の場合は死に至るケースもあります。人へ感染すると、発熱や寒気、目の充血といった風邪に似た症状が表れて、重症になると肝臓や腎臓の障害を抱えることになります。

イヌブルセラ症

「ブルセラカニス菌(犬流産菌)」という細菌によって発症する病気です。犬が感染すると、子犬ができなくなったり流産しやすくなったりと、妊娠に関連する症状がみられます。人に感染すると、頭痛や発熱など風邪のような症状になります。

カンピロバクター症

「カンピロバクター・ジェジュニ」と「カンピロバクター・コリ」という細菌による病気です。豚や鶏、牛の腸内に分布し、犬の腸内にも潜んでいます。犬の場合は下痢を引き起こし、体重の低下がみられます。

人に感染した場合、2~7日間の潜伏期間を経て、発熱や腹痛、頭痛を引き起こします。アメリカでは、飲料水を介して約2,000人が発症した事例があります。

ポルフィロモナス菌感染症

ポルフィロモナス菌とは、いわゆる歯周病菌です。歯ぐきにくっつきやすく、歯ぐきや歯の周りの骨を溶かしてしまいます。この菌がいると歯周病の進行が速くなります。人から犬へ・犬から人への感染が報告されています。

やめさせるときはさりげなく

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犬が飼い主さんをなめる行動には、本当にたくさんの意味が込められています。その意味を上手に感じとれれば、今以上にステキな関係を築けることでしょう。しかし過度なスキンシップには、感染症という危険が潜んでいることもあります。特に疲れているときや免疫力が落ちているときには気をつけたいですね。

また、犬がなめ始めたとき「やめて!」と騒ぐと、犬は「飼い主さんは楽しんでいる」と感じます。飼い主さんが喜んでいることは、愛犬にとって嬉しいこと。それではなかなかやめようとはしませんよね。

やめて欲しいときはさりげなく顔をそらし、犬が落ち着くのを静かに待ちましょう。やめて静かになったら、褒めるタイミングです。そのことを続ければ「なめなくても愛情は伝わっているよ」と愛犬に伝えることができるでしょう。

愛情表現を受け止めることも大切ですが、健康に被害が及ぶようではいけません。愛犬が伝えたい気持ちを察し、上手にスキンシップをとっていきたいですね。

監修/草場宏之先生 獣医師



横浜戸塚プリモ動物病院院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。獣医麻酔外科学会・日本小動物歯科研究会所属。おもな診療科目は救急診療 /歯科/一般診療(外科・内科)

横浜戸塚プリモ動物病院

参考/「いぬのきもち」2018年2月号『よくある愛犬のしぐさ じつは意外なきもちだった!』(監修:西川文二先生)
   「いぬのきもち」2016年5月号『“動き”でわかる犬の気持ち』(監修:荒井隆嘉先生)
   「いぬのきもち」2017年6月号『犬をとりまく菌の世界』(監修:齊藤邦史先生)
   「いぬのきもち」2017年1月号『拡大版 いぬのきもち獣医師相談室』
文/HONTAKA
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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