今回は、犬が本能的に「安全」か「危険」かどうかを判断できる理由や方法、そして判断したあとに取る行動やしぐさについて解説します。いつも愛犬がとっている行動も、不安や恐怖心が原因かもしれません。愛犬の様子を伺い知る1つの指標として学んでおきましょう。
「危険」なものに気づくことは生きるために必要だった
諸説ありますが、犬の祖先といわれるオオカミにとって、敵や自然の脅威にいち早く気づくことは、厳しい自然界で生き残るために重要なことでした。その名残から、犬は初めてのものや場所に対し、それが「安全」なのか、それとも「危険」なのかを本能的に判断できるようになったと考えられています。
犬が「安全」か「危険」かを判断する3つの材料
犬は以下の3つの判断材料によって、本能的に「安全」か「危険」かを判断すると考えられています。
見た目
犬は、見たことのないものや動いているものに対して警戒するため、「危険」と判断することがあります。一方で、見たことのあるものや動きそうにないものに対しては、「安全」と感じる傾向にあるようです。
音
大きい音や初めて聞く音に対しては「危険」を感じやすく、小さい音や聞き覚えのある音に対しては「安全」と感じやすいといわれています。
ニオイ
犬は初めてのニオイや嫌な記憶のあるニオイを警戒し、「危険」と感じることがあります。一方で、肉やチーズなどの好物のニオイや飼い主さんのニオイ、知っている犬のニオイなどは「安全」と感じるようです。
それでは、犬が「安全」か「危険」かを判断したあとは、それぞれどのようなしぐさや行動を取るのでしょうか。
「危険」と感じた時に見せるしぐさ
犬が「危険」だと判断すると、逃げて離れようとしたり「あっちに行け!」と吠え立てて、遠ざけようとしたりします。また「戦う気はないよ!勘弁して!」と降参のポーズを取って、身を守ろうとすることもあります。
「危険」だと感じた時に見せる主なしぐさ
・走ってその場から逃げる
・尻尾をまいたり、縮こまったりする
・吠えたり唸ったりする
・口もとに力が入る
「安全」と感じた時に見せるしぐさ
犬が「安全」だと判断すると「もっと知りたい!」という好奇心が高まり、積極的に近づくなど、興味津々なしぐさを見せることがあります。また、表情や体勢がリラックスするのも特徴のひとつです。
「安全」だと感じた時に見せる主なしぐさ
・積極的に近づこうとする
・しっぽをゆったりと振る
・口元がゆるむ
ちなみに「安全」と判断し、それがこれまでに「見たことがあるもの」や「経験したことがあるもの」だった場合は、犬の興味が薄れることもあります。そのため「もう知っているよ!」とでもいわんばかりに、無反応になることもあるようです。
「危険」と感じているようなら安心させることも大切!
もし飼い主さんが新しい洋服などを購入したら、そのニオイを愛犬にかがせて、一度観察してみるのもおすすめです。愛犬が逃げたり吠えたりしたら、「危険」を感じている証拠。逆に、洋服をくわえて遊び始めたり、洋服の上で寝始めたりしたら「安全」だと感じている証拠です。
このように犬は本能的に、「危険」か「安全」を判断することができ、自分の身を守る能力が備わっていることがわかりました。もし「危険」と感じた時にするしぐさや行動が見られたら、恐怖心を抱いている可能性があります。そんなときは飼い主さんが優しく声をかけたり、なでたりすることで、安心させてあげることも大切ですよ。
参考/「いぬのきもち」2018年6月号『愛犬の心理学』(監修:帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科准教授 加隈良枝先生、Can!Do!Pet Dog School代表 西川文二先生)
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。