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犬のホルモンの病気について解説 糖尿病や副腎皮質機能低下症の基礎知識

「ホルモン」と言われても、どんな働きをするものなのかピンとこない方も多いのではないでしょうか。とはいえ、よく聞く糖尿病はホルモンの病気です。今回は、犬でも発症が多い「糖尿病」「副腎皮質機能低下症」の症状や治療方法について、獣医師の森昭博先生に教えていただきました。

そもそも「ホルモン」って?

首をかしげるトイ・プードル
Photo by Getty Images
ホルモンとは「体の働きを調整する物質」のこと。よく話題に上がるのは女性ホルモンや男性ホルモンなど生殖にかかわるものですが、それ以外にもホルモンは100種類以上あります。血圧や血糖値、体の中の水分などを一定範囲に調整するといった役割があり、生命維持には欠かせない存在です。したがって、ホルモン量のバランスが崩れると、体の調整機能が乱れて病気を引き起こすことがあります。

ホルモンの病気は血液検査でわかることが多い

木の実に鼻をつける犬
Photo by Getty Images
ホルモンは血液中に分泌されるため、血液中のホルモン値を測定すれば異常を発見できます。ただし、病気を確定するには、問診や症状、画像診断などから総合的に判断する必要があります。

糖尿病

おもちゃで遊ぶ犬
Photo by Getty Images
膵臓の異常でインスリンが分泌されなくなり、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気。膵臓の異常は遺伝的な要因や膵炎などが原因です。さらに、副腎皮質機能亢進症やほかの病気のステロイド治療によって血糖値が上昇し、発症することもあります。

どの犬もなり得ますが、トイ・プードルやテリア種はとくに注意が必要。4才以降に発症しやすく、ピークは8〜9才です。

よくある症状

初期症状としては、大量の水を飲む、食欲はあるのに体重が減ってくる、などが見られます。病気が進行すると、元気や食欲の消失、下痢、嘔吐、脱水、昏睡などの症状があらわれる、危険性の高い状態に陥ることもあります。

治療方法

血糖値のコントロールが生涯必要です。1日2回、12時間おきにゴハンを食べさせ、インスリン注射を打ちます。間隔を守って、血糖値を一定に保ち続けることが重要です。併発疾患の治療も行います。

未避妊のメスに起こる「黄体期糖尿病」って?

発情後に卵巣から分泌される黄体ホルモンが、インスリンの効きを悪くすることで起こります。避妊手術をすることで、インスリンの投与が不要になる可能性があります。

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

こちらを見るラブラドールレトリバー
Photo by Getty Images
副腎から分泌される、コルチゾールとアルドステロンの量が減って引き起こされます。副腎が萎縮することが原因ですが、自己免疫異常によるものと考えられています。大きなストレスがかかるとアジソンクリーゼというショック状態を起こし、命にかかわることもあります。

どの犬もなり得ますが、とくに注意したいのはトイ・プードルやパピヨン。2〜6才での発症が多い病気ですが、2才以下で発症するケースもあります。

よくある症状

病気が進み、副腎の機能が80%以上失われてはじめて症状が出ます。ただし初期段階でも、トリミングや旅行など何らかのストレスかかったときだけ、次のような症状があらわれることもあります。

・食欲がなくなる
・元気がなくなる
・たくさん水を飲み、たくさんオシッコをする
・脱水
・体の震え
・体重減少

治療方法

ホルモン製剤の内服で不足を補います。治療を始めてすぐの期間は、数週間ごとに受診して薬の調整をし、安定してきたら2〜3ヶ月に1回程度の通院を続けます。完治は難しく、生涯投薬が必要です。
ホルモンの病気は発見が遅れがち。定期検診で行う血液検査にホルモンの項目を追加してもらうなどして、早い段階で気づいてあげられるよう心がけたいですね。
お話を伺った先生/森昭博先生(日本獣医生命科学大学獣医保健看護学科准教授 獣医師)
参考/「いぬのきもち」2025年6月号『聞きなじみがなくてピンとこない……ホルモンの病気ってなに?』
文/柏田ゆき
※記事と写真に関連性がない場合もあります。
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