暑さに弱い犬は、熱中症になりやすいので注意が必要です。そこで今回は、犬用の暑さ対策グッズや、熱中症の予防法をご紹介します。実際に飼い主さんが行っている暑さ対策や、熱中症の症状が見られた場合の対処法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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犬用のおすすめ暑さ対策グッズ
まずは、夏や暑い日に役立つ、犬用の暑さ対策グッズをご紹介します。
アイリスオーヤマ「ペット用クールソファベッド」
【Amazon】ペット用クールソファベッド 丸型 ホワイト/ブルー L サイズ 3,481円 (税込) ※2020年10月の記事制作時
接触冷感の生地を使用した犬用ベッド。クッション部分は触るとひんやりと冷たく、フカフカしているので快適な寝心地が実現できます。ベッドの端は少し硬めなので、頭やあごをのせやすいでしょう。魚やカメが描かれた、涼しげでかわいいデザインです。
マルカン「ひんやりクールアルミプレート」
【Amazon】ひんやりクールアルミプレート 2L 3,699円 (税込) ※2020年10月の記事制作時
純度99.5%以上の高純度アルミを使用したプレートで、マットのように敷いて使います。上にのるとアルミの熱伝導で体の熱が移り、ひんやりできるでしょう。傷や汚れがつきにくい「アルマイト加工」が施され、水洗いもできるなどお手入れが簡単です。
Ottostyle「ペット用 ひんやり大理石」
【Amazon】ペット用 ひんやり大理石 4,680円 (税込) ※2020年10月の記事制作時
天然の大理石を使ったクールマットで、自然なひんやり感でくつろげます。大理石ならではの高級感あるデザインで、おしゃれなインテリアとしてもおすすめ。お手入れしやすく、丈夫で耐久性もあります。
A.P.D.C.「クールミスト」
【Amazon】APDCクールミスト 125ml 1,080円 (税込) ※2020年10月の記事制作時
メンソールリキッドを配合したスプレーで、犬の地肌に直接かけることで皮膚の表面を冷やします。オーストリア原産のティーツリーオイルは無農薬で、清涼感のある香りです。
油断すると危険!犬の熱中症の主な症状とは
犬は暑さや湿気に弱い動物のため、高温多湿な環境では体温のコントロールがうまくできず、あっという間に体温が上がってしまいます。人の感覚で「暑くない」と思っていても、油断は禁物。最悪の場合は命に関わるほど、犬の体に負担をかけてしまうこともあるのです。
愛犬に次のような症状が見られたら、熱中症の疑いがあります。
症状①息づかいがハアハアと荒く苦しそう
犬は体温が上がると、鼻と口の両方で呼吸することで水分の蒸発量を増やし、体温を下げます。いつもより荒い息づかいでハアハアと呼吸しているときは、上がりすぎてしまった体温を下げるために、必死になって呼吸をしている可能性があります。
症状②体が熱い
犬の平熱は耳の中の温度か直腸温で、約38~39℃です。そのため、体温が40℃を超える状態が続く場合は危険といえます。耳の中やわきの下、おなかに手を当て、いつもより熱いと感じたら体温を測って確認しましょう。
なお、体温測定を習慣にしておくことは、愛犬の平熱を把握できると同時に、検温に慣れさせることにもつながります。検温する部位によって若干温度が違うので、いつも同じ部位で測るようにしましょう。
症状③舌や歯ぐきが赤い
犬は息づかいが荒くなると心拍数が上がり、脈拍も速くなります。それにより一時的に血流が増し、血管が拡張して粘膜の血色がよくなります。いつもより舌や歯ぐきが赤々として見えたら、熱中症のサインかもしれません。
症状④うろうろして落ち着きがない
愛犬がうろうろしているときは、熱中症で苦しくて涼しい場所を探しているのかもしれません。また、体温がコントロールできなくなるといった体の変化を感じ、不安な気持ちから落ち着きがなくなる場合もあります。
犬の熱中症については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。
【シーン別】犬の熱中症の予防につながる暑さ対策
全身を毛でおおわれている犬にとって、屋外はもちろん、室内でも熱中症予防は重要です。ここでは、シーン別の暑さ対策についてご紹介します。
室内の暑さ対策
エアコン
エアコンは、室温が26℃前後になるように設定しましょう。エアコンの冷風が床と平行に吹くように設定することで、室内の空気が循環しやすくなり、部屋全体が均等に冷えやすくなります。
ハウスに風が直接当たると犬の体が冷えすぎてしまうので、ハウスの置き場所には注意が必要です。
扇風機
エアコンと並行して扇風機を使うのも効果的です。扇風機を活用して室内の空気を循環させましょう。
遮熱カーテン
夏の強い日差しは、早朝や夕方でも室内に差し込めば室温が上昇します。たとえ濃い色のカーテンで日差しを遮っても熱をためこんでしまうことがあるので、遮熱カーテンを使って日差しを遮り、室温の上昇を防ぎましょう。
窓の外側に「よしず」
窓の外からも日を遮ることで、室温の上昇を抑えられます。窓際に「よしず」を立てかけたり、夏の間はつる性の植物を植えたりして「緑のカーテン」を作るのもいいでしょう。
夏に多い犬の病気や暑さに弱い犬のタイプについて知りたいかたは、以下の記事もご覧ください。
留守番時の暑さ対策
飲み水は複数用意
飼い主さんの不在時に愛犬が飲み水をこぼしたり、飲み干したりした場合に備え、飲み水は複数用意してください。それぞれを日の当たらない場所へ置いておきましょう。
クールマット
犬用のクールマットの上は、床の表面よりもひんやりとしています。そのため床で寝るよりも、クールマットを使ったほうが涼しく過ごせるでしょう。
凍らせたペットボトル
ハウスの上に凍らせたペットボトルを置いておくと、ペットボトルから冷気が出てハウス内を冷やせます。なお、結露してついた水滴が垂れないよう、タオルなどで巻いておきましょう。
散歩中の暑さ対策
散歩は早朝か、地面が冷えた夜間
暑い時期の散歩は、早朝(できるだけ朝7時よりも前)に、風通しがいい日陰を選んで歩きましょう。夜間の散歩でも油断は禁物です。
日中、日が当たるアスファルトはとても熱くて危険です。夜間に散歩する場合でも、地面が冷えているか確認し、風が吹いているときに出かけましょう。
犬用のクールアイテムの活用
暑さ対策にはひんやりとするタイプの洋服や、保冷剤を包んで首につけるクールタイなどが効果的です。洋服などが苦手な犬には、散歩の途中で犬用の冷感スプレーをわきやお腹に吹きかけてもいいでしょう。
飼い主さんに聞いた!犬の暑さ対策方法
ここからは、犬の飼い主さんたちが実際に行っている暑さ対策方法をご紹介します。
ブラインドシャッターで遮光・断熱対策
滋賀県在住のKさんはチワワの杏ちゃんのために、窓をブラインドシャッターにして夏の日差しを遮っています。
ブラインドの角度を下げ気味にすることで、光を入れながらも室温を上げにくくなるそうです。窓の外から日差しが入るだけで室温が上がりやすくなるため、暑さ対策に効果的でしょう。
散歩時にはアスファルトの温度をチェック
ポメラニアンのたまくんとMIXのはるちゃんと暮らす千葉県在住のIさんは、暑い季節の散歩前は必ず手の甲でアスファルトを触り、暑さをチェックしています。
夏のアスファルトは非常に高温になるため、5秒も触れなかったときもあるのだとか。みなさんも散歩前に地面の暑さをチェックしてみるのがおすすめです。
ひんやりおやつで体の中からクールダウン
トイ・プードルのサンタくんと暮らしています福岡県在住のFさんは、夏の時期、犬用のゼリーやプリンを冷凍庫で凍らせてシャーベット状にしているそう。体の中からクールダウンできるため、暑さ対策や熱中症対策にも役立つでしょう。
もしも熱中症の症状が見られたら
まずは熱中症にさせないことが重要ですが、もし愛犬に熱中症の症状が見られたら、飼い主さんが緊急処置を行う必要があります。愛犬の命を守るためには適切で素早い行動が大切です。
最初にすべきこと
かかりつけ医に電話をし、指示を仰ぎます。それと同時に愛犬を涼しい室内や車内、風通しのいい日陰で休ませ、水を飲ませましょう。ただし、気管に水が入るとかえって危険なため、無理に飲ませるのは禁物です。
またいざというとき、かかりつけ医にすぐに連絡がとれないこともあります。その場合を考えて、携帯にはあらかじめ複数の動物病院の連絡先を登録しておくと安心です。
自力で水を飲めないほどなら
屋外の場合、ペットボトルなどで愛犬の体に水をかけます。このとき愛犬の体にタオルを置き、その上から水をかけると水が無駄に流れ落ちず、体に行きわたりやすくなります。タオルの下に手を入れて毛をかき分け、水が皮膚に直接浸透するようにしましょう。
室内の場合は、シャワーで全身に水をかけます。毛を逆なでしつつ、腰側から首の方向に向かってかけましょう。皮膚に直接水が行きわたることで、体温を下げやすくなります。
それでも意識がもうろうとしていたら
ペットボトルやシャワーで水をかけてもぐったりしているようなら、愛犬の体を直接水の中へ入れます。このとき、愛犬の体勢はあおむけにせず、鼻と口が水につかないように注意し、手で支えながら入れましょう。
その後、体を冷やしながら動物病院へ連れていきます。移動中は、ぬれたタオルで全身を包んだり、わきや首、おなかに保冷剤を当てたりするなど、愛犬の体温を下げる工夫してください。受診後は体力が低下しているので、獣医師の指示に従って安静に過ごしましょう。
外出先でできる熱中症の緊急対応については、以下の記事もご覧ください。
犬の熱中症に注意して、暑い夏も快適に過ごそう
人が「このくらいは大丈夫」と思っている暑さでも、犬にとっては体に大きな負担となるおそれがあります。熱中症は最悪の場合、犬の命を奪いかねない恐ろしい病気です。屋外はもちろん室内でも油断せずに、必要な対策をとってください。
暑さは人の基準で考えるのではなく、犬の基準で考えることが大切です。熱中症予防に役立つグッズと対策で、愛犬を熱中症から守りましょう!
参考/「いぬのきもち」2016年7月号『少しの油断が命とりになるから知っておいて 本当に怖い熱中症の真実』
「いぬのきもち」2017年7月号『サーモグラフィーで見て納得!危険スポット別 熱中症リスク対策』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/松本マユ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。