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【獣医師が解説】ゴールデン・レトリーバーの寿命と長生きのポイント

今回は、大型犬全体の平均寿命や、他の犬種との比較をしながら、ゴールデン・レトリーバーの寿命について解説します。また、人換算年齢の早見表つきで小型犬よりも短命とされる理由や、命に関わる注意したい病気と長寿の秘訣もご紹介します!

ゴールデンの平均寿命とは?

花冠似合ってる
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

ゴールデン・レトリーバーの平均寿命

個体差はありますが、ゴールデン・レトリーバーの平均寿命は、大体11才~13才程度といわれています。また、ゴールデン・レトリーバーにはアメリカ系とイギリス系の2種類いますが、どちらが長生きするなどの平均寿命の明確な違いはないと考えられています。

ラブラドール・レトリーバーなど他の大型犬と比べると?

一般社団法人「ペットフード協会」による「平成27年全国犬猫飼育実態調査」では、ゴールデン・レトリーバーを含む大型犬の平均寿命は『14.02才』とされています。よく、「ゴールデン・レトリーバーとラブラドール・レトリーバーはどちらが長生き?」という疑問を耳にしますが、下記を見てもわかる通り、大きな差はないようです。
【主な大型犬の犬種別平均寿命】

・ラブラドール・レトリーバー…12~13才
・シベリアン・ハスキー…11~13才
・ドーベルマン…10~11才
・グレート・ピレニーズ…10~12才
・ジャーマン・シェパード・ドッグ…10~12才
・セント・バーナード:8~10才
ちなみに、ラブラドール・レトリーバーのミックス犬は『27年98日』生きたとしてギネスにも記録が残っています。また、最高齢記録の犬は、『29年160日』生きた、オーストラリアン・キャトル・ドッグと言われています。
(※掲載日現在)

ゴールデンなど大型犬が小型犬よりも寿命が短いとされる理由

ゴールデン・レトリーバーの子犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ゴールデン・レトリーバーなどの大型犬は、小型犬よりも平均寿命が短いことがわかっています。それは以下の2つの表を見比べてもわかるように、大型犬の成長の早さが関係していると考えられています。

小〜中型犬(犬の年齢/人の年齢)

1才/17歳
2才/24歳
3才/28歳
4才/32歳
5才/36歳
6才/40歳
7才/44歳
8才/48歳
9才/52歳
10才/56歳
11才/60歳
12才/64歳
13才/68歳
14才/72歳
15才/76歳

大型犬(犬の年齢/人の年齢)

1才/12歳
2才/19歳
3才/26歳
4才/33歳
5才/40歳
6才/47歳
7才/54歳
8才/61歳
9才/68歳
10才/75歳
11才/82歳
12才/89歳
13才/96歳
14才/103歳
15才/110歳

※犬の人換算年齢の算出方法には諸説あります。
それぞれ15才時点の人換算年齢を見ると、大型犬と小型犬の年齢差が34歳もあることがわかります。大型犬の成長の早さの理由については、さまざまな見解があり、まだあまり解明されていません。ここで考えられている原因をいくつかご紹介します。

体に対する臓器の比率が小型犬よりも小さい

大型犬は体の大きさに比べて心臓などの臓器が小さいため、日常的な体の負担が大きくなり、細胞の老化を早めてしまっているのではと考えられています。

細胞分裂の回数が多い

大型犬はその大きな体を維持するために、小型犬よりも多く細胞分裂しています。細胞分裂の回数には限度があり、回数が増えれば増えるほど老化は進み寿命が短くなると考えられています。また、細胞分裂を繰り返すとガン細胞の発生率を高めることもわかっています。

遺伝子の違い

「犬の体の大きさは、IGF-1遺伝子によるIGF-1因子(成長ホルモンの一種)が決定している」という説があります。これは、IGF-1因子の分泌量が多いほど体が大きくなり、短命になりやすいという考え方です。つまり、体の大きな大型犬はこの「IGF-1因子」の分泌が多く、それゆえ寿命も短くなってしまうということになります。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「大型犬が小型犬より短命な理由とは?寿命や人換算年齢について解説!」

ゴールデン・レトリーバーの寿命に関わる病気

かわいい
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ゴールデン・レトリーバーなどの大型犬が、小型犬よりも平均寿命が短いことがわかりました。しかし、飼い主さんの日ごろのお世話次第では、平均寿命より長く生きることも難しいことではありません。まずはゴールデン・レトリーバーがかかりやすい寿命に関わる病気を知って、予防に役立てましょう。

胃捻転(胃拡張胃捻転症状群)

「胃捻転」は、何らかの原因で、胃に貯まったガスが拡張し、胃がねじれることによって起こる病気です。胃がねじれると胃の中のガスが排出されず貯まり続け、拡張した胃は周囲の血管を圧迫するなどして、全身の循環不全に陥ります。さらに、ねじれた胃では壊死が進むため、すぐに処置をしなければ死に至ります。

骨肉腫

「骨肉腫」は骨にできる腫瘍ですが、多くが悪性で、転移する確率も高いとされています。骨肉腫のできた場所にもよりますが、四肢にできた場合は、再発を防ぎ痛みを和らげるために断脚手術が必要となります。しかし、手術を行なっても根治は困難だといわれ、抗癌剤によって延命できる可能性がありますが、最終的には命を落とす恐れもあります。

悪性リンパ腫

「悪性リンパ腫」は、リンパ節や肝臓、脾臓(ひぞう)などの臓器を原発とする腫瘍です。悪性リンパ腫ができる場所によって症状は異なりますが、転移も早く、早期に治療をしなければ、数週間程度で死亡してしまうケースも珍しくありません。
悪性リンパ腫は抗がん剤に対する反応がよく、複数の抗がん剤を組み合わせて治療すれば腫瘍が小さくなることが期待できます。しかし、再発率も高い恐ろしい病気です。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「ゴールデン・レトリーバーの特徴・性格・飼い方」

ゴールデン・レトリーバーの長寿に役立つお世話とは

窓辺のゴールデン
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
では最後に、ゴールデン・レトリーバーを長生きさせるお世話のポイントについてご紹介します。

運動量の確保

ゴールデン・レトリーバーはかなり活動的な犬種です。さまざまな病気の原因となるストレスや肥満の防止のためにも、散歩や遊びなどの運動時間をきちんと確保する必要があります。散歩は1日2回(1回最低30分)を目安に行いましょう。

食事の与え方に注意

「胃捻転」は、大型犬の中でも、ゴハンをガツガツと早食いする犬に多いとされています。早食い防止のフードボウルを使う、また、一度に全部のフードを与えるのではなく、食べたら追加するなどして、ゴハンをゆっくり食べさせる工夫をしましょう。

また、食後すぐの運動も胃捻転の原因となります。少なくとも食後1時間程度休んでからお散歩をしたり、遊んだりしてあげましょう。

定期的な健康診断と毎日のボディチェック

動物病院での健康診断は、病気の早期発見・治療につながります。若いうちは1年に1回、7才を過ぎてシニア犬になったら1年に2回を目安に健康診断を受けるようにしましょう。また、飼い主さんの日ごろのボディチェックも重要です。
「悪性リンパ腫」などは、鼠径部が腫れたりできものができたりするため、スキンシップをしながら異変がないかチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
飼い主さんのちょっとした工夫や気配りで、愛犬を長生きさせられるかもしれません。日ごろから愛犬の様子をチェックし、何か異変を感じたらすぐ動物病院を受診するなど、愛犬の健康長寿を目指しましょう!

いぬのきもち WEB MAGAZINE「【体験談付き】初めてでも大丈夫?ゴールデン・レトリーバーの飼い方」

参考/「いぬのきもち」2016年4月号『犬種連載シリーズvol.10 I love ゴールデン・レトリーバー』(監修:V.C.J 代官山動物病院 獣医師 獣医行動診療科認定医 藤井仁美先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『ゴールデン・レトリーバーの特徴・性格・飼い方』(監修:ヤマザキ学園大学 講師 危機管理学修士 福山貴昭先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『大型犬が小型犬より短命な理由とは?寿命や人換算年齢について解説!』(監修:いぬのきもち相談室獣医師)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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