愛犬を迎える先の選択肢には、ペットショップのほかにも保護団体、ブリーダーなどがあります。今回は犬のブリーダーから愛犬をお迎えするときのポイントを解説。ブリーダーの仕事内容やメリット、デメリット、良いブリーダーの見分け方も併せて紹介します。
犬のブリーダーとは
ブリーダーの仕事内容
一般的に植物を栽培する、もしくは生き物を繁殖させて生計を立てる人のことをブリーダーと呼びます。ブリーダーの主な仕事内容としては、交配によって動物を繁殖すること、繁殖させた動物たちの日常的なケアやお世話、販売などが挙げられます。また育てた動物を展覧会やコンテストに参加させることも仕事のひとつです。
ブリーダーに必要な資格と知識
ブリーダーには特別な資格は必要としませんが、生体販売時には動物愛護法に基づいた第一種動物取扱業の登録が必須となり、さらに繁殖を安全に行うためには、予防学や獣医学、遺伝学などの専門的かつ正しい知識も欠かせません。
ブリーダーから犬をお迎えするメリット
それぞれの犬種のプロに直接アドバイスがもらえる
犬のブリーダーは、それぞれの犬種の体格面や性格面などを知り尽くしたうえで生体の販売や繁殖を行っている、いわば犬のプロフェッショナルともいえる存在です。そんなプロ中のプロから直接犬を選ぶときのポイントやお世話の仕方などを聞けるのは、ブリーダーから犬をお迎えすることの大きなメリットといえるでしょう。
犬の生まれた環境や血筋がはっきりと分かる
子犬を飼うことを検討している場合、事前にその犬の生まれた環境や血筋がはっきりと分かることもまた、ブリーダーからお迎えするメリットのひとつです。いいなと思った子犬の親犬が見られれば、成長したときのルックスや体格をある程度予測できますし、今までどんな環境で過ごしてきたのか、どんな性格をしているのかも分かります。
同じ犬種のなかでの選択肢が豊富
ブリーダーから犬をお迎えするメリットとしては、ほかにも同じ犬種のなかでの選択肢が豊富ということが挙げられます。特に飼いたい犬種がもう既に決まっている際などには、性格や見た目、色などを比較できるブリーダーからの購入を検討するのもいいかもしれませんね。
犬をブリーダーからお迎えするデメリット
良い犬のブリーダーを見極める必要がある
ブリーダーのなかには、残念なことに犬に対して十分な愛情を持ち合わせておらず、利益最優先で販売を行っている業者も存在します。正しい知識と犬に対する十分な愛情をもったブリーダーから犬をお迎えするためには、そういった悪質な業者と良いブリーダーをきちんと見極める必要があります。
犬用グッズをそれぞれ別の場所で購入しなくてはいけない
ブリーダーはペットショップなどとは異なり、基本的には生体販売のみを行っていることが多いです。そのため犬を飼う際に必要なケージやトイレなどのお世話グッズは、それぞれ別の場所で購入しなくてはいけません。
良い犬のブリーダーを探すためのコツ
子犬の飼育環境を見学できるか、見学させてもらえない場合は理由を聞く
良い犬のブリーダーを探すためには、まずは普段子犬が生活している場所を見学できるかどうかをブリーダーに確認することが大切です。子犬の飼育環境の良し悪しは、そのブリーダーが犬に対してどのくらい愛情を注いでいるのか、犬のことをどのように考えているのかを知るための貴重な指標となります。ブリーダーが飼育環境を見学することに快く応じてくれたら、不衛生な状態になっていないか、スペースが狭すぎないかといったことをしっかりと確認しましょう。
もしブリーダーが飼育環境の見学を断った場合には、必ずその理由を聞くようにしてください。ブリーダーのなかには、外部からの病原菌の持ち込みを防ぐために、あえて見学を断るケースもあります。
子犬の親犬の健康状態を確認させてくれるか
正しい知識を持ち合わせているブリーダーのもとで育った子犬は、親犬も含め毛並みにツヤがあったり、健康的な体格をしていたりすることがほとんどです。良い犬のブリーダーから犬を迎えるには、事前に子犬の親犬の健康状態を確認させてくれる業者を選ぶほうが安心です。このとき親犬のトリミングや健康状態が不十分なようであれば、何らかの理由によって犬の管理が行き届いていない可能性があります。
また親犬に遺伝性疾患がある際は動物愛護法によって飼い主さんに説明を行う義務がありますので、こちらも併せて確認するようにしましょう。
購入後のアフターケアは万全かどうか
良い犬のブリーダーは、購入する前だけでなく購入したあとのアフターケアも充実していることが多いです。実際にブリーダーからチワワをお迎えしたとある飼い主さんは、お迎え後にトラブルが発生してブリーダーに電話をしたときに、適切なアドバイスをもらえてほっとした、とのことでした。
子犬への愛情でつながったブリーダーと飼い主さんとの関係は、愛犬をお迎えしたあともずっと続いていくもの。愛犬に何かあったときに相談に乗ってくれそうなブリーダーを選ぶこともまた、良い犬のブリーダーを見極めるうえでは重要なのです。
動物取扱業の登録番号を確認する
先述のとおり、ブリーダーが生体を販売する際には、動物愛護法に基づいた第一種動物取扱業の登録が必須です。そのためブリーダーから犬をお迎えするのであれば、動物取扱業に登録されている番号は何番なのかを聞くことをおすすめします。そうすることでブリーダーが身分を偽っていないか、プロフェッショナルとして仕事をしているのかが判断できます。
子犬を生後56日齢以下で販売しているブリーダーは危険
通称動物愛護法と呼ばれる「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正により、2013年9月以降は生後56日齢を経過していない子犬の受け渡しや販売は禁止事項となりました。子犬をブリーダーからお迎えする場合、ブリーダーには生体の現物確認と対面にて説明する義務が設けられています。
説明を受けた段階で子犬が生後56日齢に満たないようであれば、後々のトラブルを防ぐためにも、別のブリーダーもしくはペットショップを探したほうが賢明だといえそうです。
遺伝学的知識を持って交配させているか
純血種は姿形を守るために近親交配を行うことがあります。知識なく問題のある交配により、奇形や遺伝性の疑われる病気を抱えた子犬も生まれています。どのような関係の交配をしたのか、両親を確認しておきましょう。
どんな些細なことでも気になることは必ずブリーダーに確認しよう
ブリーダーから犬をお迎えするときに欠かせないのは、飼い主さんが疑問に感じたことはどんな些細なことでもブリーダーに直接聞いてみるということです。どんなことを聞いても親身になって回答してくれるブリーダーは、犬に対しての愛情が豊富で、アフターケアも充実していることが多いもの。
それぞれの家庭にピッタリな愛犬を選ぶためには、飼い主さんにとっても犬にとっても良いブリーダーを探すのもまた、一つの手かもしれませんね。
参考/「いぬのきもち」『犬との暮らし大事典』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/子狸ぼん
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。