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気づかずに悪化のケースも…「情緒不安定」になりやすい犬の特徴

犬も「情緒不安定」になることがあるって、知っていますか? 犬の情緒不安定は気づきにくく、飼い主さんが気づいたときには症状が悪化していることも……。
今回は、「犬が情緒不安定になるワケ」について、いぬのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
情緒不安定になりやすいコの特徴も明らかに……!
犬が情緒不安定になるワケ

犬が情緒不安定になる理由はさまざまですが、主に以下の4つの原因が考えられます。
①母犬からの愛情不足
情緒不安定とは感情の起伏が激しく、精神的に安定していない状態のこと。
大きな要因の1つとして指摘されているのが、生後7~8週齢頃まで母犬と一緒に過ごすことができないケース。12週齢頃まで一緒にいたほうがいいとする資料もあります。
幼い時期に母犬からの愛情をたくさん受け、育ててもらうことが心の安定と脳の発達をもたらすとされています。
人間の子どもも幼い時期に母親の愛情をたっぷり注がれることが重要視されているように、子犬も同じということです。
②飼い主さんからの愛情不足
先述の通り、たとえばペットショップから子犬を迎えた場合、母犬からとても早く引き離されていることがほとんどでしょう。そのため、飼い主さんが親代わりとなって愛情を注ぎ、しつけをすることになります。
しかし、長時間の留守番などで接する時間が少なく、愛情不足から情緒不安定になる可能性もあります。
③情緒不安定な母犬に育てられた

情緒不安定な母犬に育てられると、同様に情緒不安定に育つ傾向があります。また、不安感が強いなど生まれつきの気質が影響するとも言われています。
④過剰な愛情も情緒不安定の原因に
情緒不安定になりやすい犬の特徴は、先述に述べた理由のほか、過剰な愛情をもらっており飼い主さんに対して過度の愛着があるコです。
愛情不足とは逆の過剰な愛情も問題になり、成長過程に応じた適度な愛情としつけのバランスが大切なのです。
過度の甘やかしや過保護は自立心が育たず、依存心の強い甘えん坊や寂しがりやになります。
飼い主さんが不在になると不安や不満、ストレスを抱えることになり、ひどくなると「分離不安」といった留守中に家の中を破壊したり、声がかれるまで吠え続けるようになることも。
「常同行動」という自分の尻尾をグルグルと追いかけ、ときには出血するほど咬んでしまったり、手足をなめ続けて出血するような自傷行為に及ぶコもいます。
情緒不安定になりやすい犬を飼うときに、飼い主さんができることは?

情緒不安定になりやすい犬を飼うときに、飼い主さんが愛犬にできることは以下のようなもの。
できるだけひとりぼっちにさせない
場合によりますが、ペットショップから子犬を迎えるときには、母犬と早くに別れていることが多く、情緒不安定になる素因があることを前提に対処するとよいでしょう。
忙しい現代社会ですが、子犬を迎えたらひとりぼっちの長時間の留守番は極力控え、愛情を注ぎお世話をする時間を作ることが飼い主さんに求められます。
また、たくさんの犬や人と触れ合わせて社会性を身につけることも、心身の健康にいい影響を与えます。
適切な距離感も大切に!
飼い主さんの過剰な愛情から情緒不安定の兆候が見られるコの場合、適切な距離をとって自立心を育てるために生活環境を見直しましょう。
食事の内容や量、散歩や遊びでストレス発散、飼い主さんも愛犬を残して少しずつ外出する練習をしてみてください。
愛犬の精神を安定させて自信をつけることは、飼い主さんとも健全な関係になるということです。
行動診療の専門家に相談する
愛犬の情緒不安定は気づきにくいかもしれません。飼い主さんが気づいたときには、ひどい分離不安や問題行動に発展していることも……。
そのときには抱え込まずに、行動診療の専門家に相談することをおすすめします。飼い主さんにはまだ広く知られていない分野ですので、この機会に知ってもらえたらと思います。

犬の情緒不安定は、子犬のときに育った環境、飼い主さんの接し方などが大きく関係してくるとのことでした。
先生の解説も踏まえて、飼い主さんは愛犬との適切な距離感を保つよう、ぜひ意識してあげましょう!
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/雨宮カイ
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