「オッドアイ」と呼ばれる左右異なる目の色をしたシベリアン・ハスキーを見たことはありませんか?今回は、シベリアン・ハスキーの基本情報やオッドアイが多い理由、病気の可能性、オッドアイの出現率の高い動物、入手法や飼育する上での注意点を解説します。
シベリアン・ハスキーとは
シベリアン・ハスキーの歴史やルーツ
シベリアン・ハスキーは、シベリア北東部の遊牧民チュクチ族やイヌイットの物資を運ぶ「そり犬」として活躍していた犬種で、19世紀に毛皮商人によって北米に持ち込まれたといわれています。ルーツははっきりとしていませんが、スピッツの血統を受け継いでいると考えられているようです。
1909年にアラスカで行われたドッグレースでは、1位、2位、4位という優秀な結果を出したことで一躍有名になりました。
見た目の特徴
標準的な体高はオスが53.5~60cmで、メスは50.5~56cm。体重はオスが20.5~28kg、メスは15.5~23kg程度とされています。まっすぐでたくましい骨太な足や長時間走るのに適した厚くクッション性がある肉球など、がっしりとした体型が特徴的です。また、太い眉のような顔の斑紋もシベリアン・ハスキーらしい見た目の特徴といえるでしょう。
なぜシベリアン・ハスキーにオッドアイが多いの?
シベリアン・ハスキーの見た目の特徴の一つに“神秘的な目の色”も挙げられます。なかには、「オッドアイ」や「バイアイ」と呼ばれる左右異なる目の色をしているシベリアン・ハスキーも見られます。
シベリアン・ハスキーにオッドアイが多い理由
シベリアン・ハスキーにオッドアイの個体が多く見られる理由には諸説ありますが、もともとの「生息地」が関係していると考えられています。日光照射の少ない極寒の地域で暮らしていたシベリアン・ハスキーは、メラニン色素が少なく、もともとは青い目をした個体が主流でした。
その後、ペットとしてさまざまな地域で飼われ始めると、日光照射の変化などの影響から目を守るために、目の色が茶色などに変化するようになりました。そのなかで、片目だけ日光照射の変化に対応した場合に、オッドアイの個体が誕生するようになったと考えられています。
現在では、オッドアイの祖先をもつ場合にオッドアイの個体が生まれやすく、遺伝的な要素も強いとされています。
オッドアイは病気なの?
オッドアイは一般的に「虹彩異色症(こうさいいしょくしょう)」という病気が原因とされることが多いようですが、シベリアン・ハスキーの場合は例外です。上述した通り、シベリアン・ハスキーは環境の変化による影響を多く受け、オッドアイの個体が生まれるようになりました。そのため、この病気とは関係なく、寿命などにも影響しないと考えられています。
オッドアイ以外の目の色
シベリアン・ハスキーは、他の犬種と比較すると、オッドアイが多く見られる犬種です。しかし、現在の日本ではブラックやブルー、ブラウンの目をした個体が主流のようです。
シベリアン・ハスキー以外のオッドアイなど神秘的な目をもつ動物
オッドアイは人にも見られますが、動物の方が圧倒的に多いとされています。ここでは、オッドアイの個体が誕生する確率の高い動物や犬種をご紹介します。
白猫
オッドアイの目をもつ猫は「幸福を運んでくる猫」といわれ、国内外問わず一部の愛好家からは人気があるようです。猫のなかでも、オッドアイは白猫に多く、約25%の確率で生まれてくるといわれています。
オッドアイの個体が生まれやすい犬種
オッドアイはボーダー・コリーやダルメシアンなど、さまざまな犬種に見られます。しかし、シベリアン・ハスキー以外の犬種がオッドアイの目をもって生まれた場合は、前述した「虹彩異色症」のような先天的な疾患が疑われることも少なくありません。
また、シベリアン・ハスキーの場合は「犬種標準(スタンダード)」として、オッドアイが認められていますが、認められていない犬種も数多くいます。
シベリアン・ハスキーを迎え入れる方法や飼育する上での注意点
では、オッドアイのシベリアン・ハスキーを迎え入れたい場合や、実際に迎え入れたときには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
オッドアイのシベリアン・ハスキーはどこで手に入る?
運がよければ、シベリアン・ハスキーのブリーダーや、ペットショップなどでも出会える可能性があります。オッドアイ専門のブリーダーなどもいるので、確実に出会いたい場合は専門のブリーダーに当たってみるとよいでしょう。
また、ペットショップでのシベリアン・ハスキーの子犬の販売価格は、15万円~が目安とされています。(※)他の犬種と同様、血統によって価格に開きがありますが、オッドアイやブルーアイなど目の色で価格が変わるかというと、一概にそうとはいえないようです。
※『日本と世界の犬のカタログ』(成美堂出版)より
飼育する上での注意点は?
シベリアン・ハスキーは、そり犬の血を引くだけあって走ることが大好きな犬種とされています。運動不足でストレスがたまると、攻撃的になることもあるので注意しましょう。毎日の散歩はもちろん、時間があるときはドッグランなどでおもいっきり走り回らせてあげることも大切です。
また血筋的に、散歩のときに引っ張るのはある程度仕方のないことです。飼い主さんが強引に制限しすぎて欲求不満がたまると、問題行動の原因になることも。リードを引っ張りそうになったら声をかけたり、おやつで誘導したりするなど、“引っ張りたい気持ち”を上手に制御してあげましょう。
こんな病気に注意して!
シベリアン・ハスキーは、「進行性網膜萎縮(しんこうせいもうまくいしゅく)」という、網膜が萎縮して視力が低下する遺伝性の病気にかかりやすいとされています。少しずつ進行する病気で、気づきにくいことも多いので要注意です。
夜の散歩を嫌がる、やたらと物にぶつかるなどのしぐさが見られたら、この病気を疑ってみてもよいでしょう。定期健診の際に目の検査も受けておくと安心ですよ。
神秘的な目をもつシベリアン・ハスキーはとっても魅力的です。ただし、シベリアン・ハスキーを飼育するには、ある程度のテクニックや体力が必要になることも。見た目の可愛さだけではなく、しっかりと最後までお世話ができるか、生活面・コスト面など総合的によく考えてから迎え入れましょう!
参考/「いぬのきもち」2018年4月号『犬種連載シリーズvol.34 I Loveシベリアン・ハスキー』(監修:代官山動物病院 獣医師 獣医行動診療科認定医 藤井仁美先生)
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『シベリアン・ハスキーの特徴と性格・価格相場|犬図鑑』(監修:ヤマザキ動物看護大学 講師 危機管理学修士 認定動物看護師 ペットグルーミングスペシャリスト 福山貴昭先生)
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『いぬ図鑑(シベリアン・ハスキー)』(監修:ヤマザキ学園大学 動物看護学部)
参照/Instagram
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。