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罪と罰 ―― 犬にも罰を与えたほうがいいのか?

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そもそも愛犬にとって罰とは??

みなさんは愛犬に罰を与えたことはありますか? 罰というと、犬を叩く、仰向けにして押さえつける、マズル(鼻先)をつかむといった体罰を思い浮かべるかもしれませんが、「コラッ」「ダメと言ったじゃない」と言葉で叱りつけることも一種の罰です。犬に言葉はわからないにしても、飼い主さんの怒りや不機嫌な感情を浴びせられることは、犬にとっては精神的苦痛だからです。愛犬がゴミ箱をあさっていた。愛犬が来客に吠えた。そんなとき言葉で叱ったことはないでしょうか。しかし、このように言葉でしかりつけることは、じつは、まったく意味がありません。 

言葉で叱っても、犬は反省できません

人はつい犬を人と同じように考えがちです。人を言葉で叱ったり注意したりして行動を改めさせようとするように、犬も叱れば行動を改めると思ってしまうのです。ところが、犬は人と違って、言葉の意味や論理を理解できません。叱られても、嫌な気持ちになるだけで、飼い主さんがなぜ叱っているのか、それが自分の行動のせいなのかも、どう行動すればよいのかもわかりません。ゆえに犬を言葉で叱ってもまったく意味がないのです。

罰を与えると、犬はよけい不安に

ある行動の頻度を高めたり減らしたりするには、下記のように4つのパターンが存在することがわかっています。心理学で「オペラント条件付け」と呼ばれる理論です。

■オペラント条件付けの理論
1.ある行動のあとにいいことが起こると、その行動の頻度は高まる
2.ある行動のあとに嫌なことが減る、もしくはなくなると、その行動の頻度は高まる
3.ある行動のあとにいいことが減るもしくはなくなると、その行動の頻度は減る
4.ある行動のあとに嫌なことが起こると、その行動の頻度は減る


「言葉で叱る」は、上記の4にあたりますが、実際には簡単ではありません。犬にとっての「嫌なこと」(叱られること)が起こっても、犬はなぜそんな不快な目に会っているのかがわからないことが多いからです。そうなると、犬はただ不安になり、警戒心が強くなってしまい、それが吠えたり、噛んだりなどの問題行動に発展してしまうこともあります。

天罰は効くのか?

言葉で叱ってもうまくいかないなら、 例えば、犬が「チャイムの音に吠える」という好ましくない行動をしたときに缶などを投げて、その音で驚かす、というのはどうでしょう? これは先に述べた「4.ある行動のあとに嫌なことが起こると、その行動の頻度は減る」という学習理論に基づいた対処法です。

いわば「天罰が下った」と犬に思わせるもので、オペラント条件付けの理論にはかなっているのですが、実際にこれを行うのはかなり困難です。

  • 吠えたら即座に缶を投げる必要がある。タイミングがずれたらダメ

  • いつも同じ強さの音を立てる必要がある。強いときや弱いときがあってはダメ

  • 吠えたらいつも必ず缶を投げる必要がある。投げるときと投げないときがあるとダメ


効果を期待するために徹底するのは、現実的ではないことがわかります。

いかがでしたか。犬に「罰」を与えることは、イコール、犬に恐怖や不安を与えることになります。その代償に得られるものがあるかというと、それはほとんど期待できません。ですから、そのような罰を与えることは、飼い主さんにとって「罪」深いことといえるでしょう。罰を与えずに、愛犬をうまく導くコミュニケーションをとっていきたいですね。

参考/「いぬのきもち」2017年10月号『ネットに載っていたこの情報、ウソ? ホント?』(監修:西川文二先生 Can! Do! Pet Dog School代表)
文/犬神マツコ

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