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山が好きなのか、家が好きなのか【穴澤賢の犬のはなし】

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前から何度も書いているように、大吉と福助は山の家が大好きだ。鎌倉市腰越の家は歩いて5分もかからない距離に江ノ島を望む砂浜があるが、彼らはなんとも思っていない。海にも景色にもときめくことなく、砂浜を広大なトイレくらいに思っている。しかし、山に行くと目をキラキラさせて顔を輝かせている。山に行くのは月に1回か多くても2回くらいだが、なぜか毎回準備をはじめる前に大吉にバレる。


恐るべき大吉の洞察力』以降、かなり注意するようになったが、それでもやっぱり気づかれる。金曜の夜に出発する場合、昼間はふだんと変わらず仕事をしている。出かける準備は何もしない。だから疑われる行動は何もしていないはずなのに、ちょいちょい大吉の視線を感じる。振り返ると「なんか怪しいな、もしかして、山行く?」という目で見られている。もちろん知らん顔でとぼけるが、彼にはいったい何が見えているのだろう。


それが夕方の散歩から帰ってきた頃には疑いから期待へと変わり、勝手にそわそわしはじめる。誰も何も言ってないのに、なぜだ。それが福助にも伝染し、支度をする前からふたりともテンションが高くなったりするから、本当に謎だ。


出かける1時間くらい前から準備をはじめると、「やったー!」という顔になり、手伝うわけでもないのに、階段を降りたり、玄関に荷物を運んでいるときにうろちょろ後をついてきたりする。で、車にピョーンと飛び乗って出発する。現地に到着するのは、いつも22時過ぎくらいで結構遅くなるが、いつもなら寝る時間なのに、かなり遅くまで起きている。


土曜日は1日のんびり過ごして、大吉と福助はドッグランでたくさん遊ぶ。そのせいか、夜は20時頃に電池が切れたように爆睡する。翌日、日曜は渋滞を避けるために午前中には帰路につくことが多いが、帰り支度をしていると、これまた彼らは喜ぶ。態度を見ていると「家に帰る」ということを理解しているらしい。


そして帰宅すると、荷物を片付けている横で、彼らは早々に昼寝しはじめる。その顔には「いやぁ、やっぱりわが家は最高」と書いてある。そんな様子を見て、いつも思う。お前ら、どっちが好きなのよ。




プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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