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犬の下痢や嘔吐、よくあることと見逃さないで!「慢性腸症」とは

愛犬のウンチがゆるくなったり、嘔吐をしたり……数日でおさまればよいのですが、これらの徴候が何週間も続くことはありませんか? こうした場合、疑われる病気のひとつが慢性腸症です。

腸に原因不明の炎症が起こり、下痢や嘔吐が慢性的に続く

慢性腸症は、小腸や大腸の粘膜に慢性的に炎症が引き起こされ、下痢や嘔吐、食欲不振などの徴候を伴います。なぜ炎症が引き起こされるのかは不明です。一般的には食事療法や投薬によって徴候が改善されますが、生涯にわたって食事療法や投薬が必要な重篤なケースもあります。また、いずれの治療も充分な効果が得られない場合、最近では、再生治療によって徴候を改善できる可能性も見えてきています。

下痢をすることが多く、3週間徴候が改善しない

慢性腸症は、一過性の胃腸炎と異なり、下痢や嘔吐などの徴候が3週間以上続くのが特徴です。徴候の頻度や程度は、犬によってさまざまで、たとえば下痢が毎回続くというケースもあれば、数日おきに下痢が断続的に続くというケースもあります。慢性腸症の徴候は、下痢がいちばん多く、そのほかにも嘔吐や食欲不振、体重減少のほか、腹水がたまったり、元気がなくなったりといった徴候が見られることも。整腸剤などを投与しても徴候が3週間以上改善しない場合は、慢性腸症にかかっている可能性があります。

日ごろから愛犬の体をさわり、早期発見を

慢性腸症で体重が減ったり、腹水がたまったりすると、犬はやせ、お腹が張ってきます。健康時の愛犬の体重を把握しておき、ふだんから愛犬の体をさわることを習慣づけておくと、筋肉が落ちていたり、お腹のあたりが張っている(腹水がたまっている)ことに気づきやすくなります。徴候が軽いうちに早期発見すると、病気からの回復もスムーズにいく傾向があります。

低アレルギー食などの食事療法で徴候が改善することもある

慢性腸症にかかった場合、食事を変えると徴候が改善することが多いようです。低アレルギー食や低脂肪食などの療法食が用いられますが、ひとくちに低アレルギー食といってもさまざまな種類があるため、その犬に合った食事を見つけるまでには食事を何度も変更することがあります。食事療法で充分な効果が見られない場合、投薬を行います。まず抗菌剤を投与し、効果が見られなければ、副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制剤などを投与します。

難治性の慢性腸症には再生医療が効く可能性が

慢性腸症のなかには、食事療法や薬物療法を行っても徴候が改善しないケースもあります。最近は、再生医療によってこうした難治性の慢性腸症の徴候が改善することもあることがわかってきました。再生医療とは、健康な犬の皮下脂肪から採取した細胞を慢性腸症にかかった犬に点滴で投与し、細胞のもつ抗炎症・免疫抑制作用で炎症などを抑えるという治療法です。下痢などの徴候を改善し、食欲の回復をもたらすと期待されています。

参考/「いぬのきもち」2019年6月号『犬の現代病ファイル 慢性腸症』(監修:中島 亘先生 公益財団法人日本小動物医療センター理事、同所沢センター消化器科科長) 
イラスト/フジマツミキ
文/犬神マツコ

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