愛犬が突然けいれん! 命にかかわる危険な病気かも……
犬の「てんかん」は、けいれん発作が繰り返し起こる病気。発作の原因が不明だったり、遺伝的な要因で起こるのが「特発性てんかん」で、脳腫瘍や脳炎など脳の病気が発作の原因になる「症候性てんかん」と区別します。
特発性てんかんは、MRI検査画像でも脳に異常がなく、発作だけを繰り返します。とくに犬は、動物のなかで特発性てんかんの発症が多いといわれます。
一方、症候性てんかんは、脳の病気の一症状として発作が起こります。
イラスト/フジマツミキ
突然始まり、2分程度でおさまる発作が多い
てんかんの発作は、寝ているときや休息時に起こりやすいといわれています。TRVA夜間救急動物医療センター院長の中村先生の経験では、天気の悪い日や季節の変わり目にも多いのだとか。
発作はほとんどの場合、数十秒~2分程度でおさまります。足を激しくばたつかせ、全身がけいれんするものと、後ろ足だけ一定間隔でピクピク動くといった体の一部に起こるものとがあります。大量のヨダレが出る、泡を吹く、排泄物をもらす、嘔吐するという症状があわせて出ることも。
命にかかわるのはこんな発作
5分以上の発作や1日に2回以上の発作は命にかかわる緊急事態です。早急に動物病院に連絡を。発作の時間が短くても、かかりつけ医に連絡して対応を相談すると安心です。
1回の発作が5分以上続く「重積発作」
1回の発作の時間が5分以上続く状態を「重積発作」といい、危険な状態です。発作の時間が長いほど、脳が腫れる、酸欠になるなど脳へのダメージが強くなるためです。3分を経過した時点でおさまる様子がないときは、至急動物病院に連絡しましょう。
1日に2回以上の発作が起こる「群発発作」
24時間以内に発作が2回以上起こる状態を「群発発作」と呼びます。たとえ、1回の発作の継続時間が短くても、群発発作を起こした場合は早急に動物病院に連絡を入れましょう。
発症しやすいのはどんな犬?
特発性てんかんの発症年齢は6カ月~6才とされています。そのため、初めて発作が起きた年齢が特発性てんかんの診断をつけるうえで重要になります。発作の原因になる明らかな脳の病気外傷がある症候性てんかんについては、発症する年齢はこの限りではありません。
特発性てんかんはどの犬も発症しますが、遺伝的な要因がわかっているとされ、特定の犬種に比較的よく見られます。発症しやすい犬種は以下のとおりです。
・ビーグル
・ミニチュア・ダックスフンド
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・シェットランド・シープドッグ
・ボーダー・コリー
・ゴールデン・レトリーバー
・スタンダード・プードル
・バーニーズ・マウンテンドッグ
・ジャーマン・シェパード・ドッグ など
いかがでしたか。発作を起こす病気はてんかんだけではなく、低血糖や中毒のほか内臓の病気でもてんかんに似た発作を起こすことがあります。元気なうちに検診で病気がないかを調べておくことも検討しましょう。
参考/「いぬのきもち」2020年3月号『犬の現代病ファイル てんかん』(監修:中村篤史先生 TRVA(一般社団法人 東京城南地域獣医療推進協会)夜間救急動物医療センター院長)
イラスト/フジマツミキ
文/サトウ