みなさんは愛犬のノミ対策をしていますか? 今回は、ノミの生態や犬がノミに刺されたときの症状、注意したい病気について解説します。ノミを見つけたときの対処法や、駆除薬などによるノミの予防法についても解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
いぬのきもち獣医師相談室
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犬につくノミとはどんな生き物?
ノミは成虫→卵→幼虫→さなぎ→成虫というライフサイクルを繰り返す節足動物で、日本には約80種類ものノミが存在するといわれています。大きさは約1.5~3mmと小さく、ピョンピョンと飛び跳ねて犬などの動物の体に寄生し、吸血するのが特徴です。
なお、ノミは気温約16~27℃、湿度約75~85%の環境を好む傾向があり、地域にもよりますが、梅雨前後の時期から活発に活動・繁殖するといわれています。しかし、近年は住宅が高気密・高断熱化しているため、室内であれば1年中ノミが繁殖しやすい状況といえるでしょう。
犬にノミがつく原因
ノミは犬が散歩中などに吐き出す二酸化炭素や体温を察知し、犬の体に飛びうつることで寄生します。また、犬が散歩中に草むらなどに入った際、ノミの卵や幼虫、サナギが体について寄生するケースもあるでしょう。
犬の体にノミがついたまま帰宅してしまうと、カーペットやソファ、ベッド、犬の寝床といった場所に卵を産むなどして、室内でノミが大量発生する可能性も。室内犬であってもノミに寄生される危険性は十分あるので、きちんと対策することが大切です。
犬がノミに刺されるとどうなる?
では、犬がノミに刺されると、どのような症状が見られるのでしょうか?
犬がノミに刺されたときに見られる症状
犬がノミに刺されると、激しいかゆみを伴う「ノミ刺咬性皮膚炎(のみしこうせいひふえん)」を引き起こします。重症化するとその激しいかゆみから、不眠の症状が見られることも。また、ノミの大量・長期の寄生によって貧血を起こす犬もいます。
犬が体の一部を何度も激しくかいたり、赤くなるほど噛んだりなめ続けたりしている場合は、ノミに吸血されている可能性があるので、全身をくまなくチェックしてあげましょう。なお、犬はノミに寄生・吸血されると、以下のような病気を発症するおそれもあります。
ノミアレルギー性皮膚炎
参考・写真/「いぬのきもち」2019年4月号『散歩道に、家の中に。こんなところに潜んでいる!?春になったら蚊 ノミ マダニにご用心!』より バイエル薬品提供
ノミが犬の体を刺すと唾液が体内に入り、この唾液に対してアレルギー反応を起こすことがあります。その結果、激しいかゆみを伴う皮膚炎が起こり、脱毛や発疹、かさぶたなどができることも。
瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)
参考・写真/「いぬのきもち」2019年4月号『散歩道に、家の中に。こんなところに潜んでいる!?春になったら蚊 ノミ マダニにご用心!』より バイエル薬品提供
瓜実条虫の幼虫が寄生しているノミを、ブラッシングのときなどに犬が口にして感染する病気です。無症状のことが多いですが、排泄時に虫の一部が肛門付近に付着すると、かゆみでお尻を床にこすりつけるしぐさを見せることも。また、寄生虫の数が多いと下痢や軟便、食欲不振といった症状も見られます。
犬についたノミの見つけ方・対処法
ノミの見つけ方
目の細かいクシなどで犬の毛を丁寧にかき分け、すばやく動く茶色っぽい粒があればノミの可能性が高いです。また、犬の毛の中に黒っぽい小さい粒(=ノミのフン)があるときも、ノミが寄生している可能性が。しかし、基本的にノミは犬の毛の中に隠れていて、動きもかなりすばやいため、寄生数が少ない場合は見つけ出すのが難しいでしょう。
ノミの正しい取り方(駆除方法)
ノミを見つけたときに手で取ろうとすると、ノミがつぶれて体内にある卵が大量に飛び散るおそれがあります。また、万が一ノミが人の口に入ってしまった場合は、瓜実条虫症に感染するおそれも。
犬の体についたノミを駆除するときは、「ノミ取りくし」を使うようにしてください。くしについたノミを取る際も、ガムテープを使ってはがし取るか、洗剤を加えた水の中にくしごと入れて取るなどし、ノミをつぶさないよう細心の注意を払いましょう。
ノミを発見したら必ず動物病院へ
自宅でノミを駆除したあとは、必ずかかりつけの動物病院で診てもらってください。人の目に見えるノミは「氷山の一角」といわれていますので、動物病院で検査をし、薬を使って徹底的に駆除することが重要です。
なお、犬の体からノミが発見されたときは、家の中も専用の駆除薬を使用するなどして、きちんと掃除することをおすすめします。
犬にノミがつくのを予防する方法
このように、ノミは犬に寄生するとさまざまな症状を引き起こし、駆除などにも苦労するため、飼い主さんがしっかりと対策し、予防してあげることが大切です。
定期的な駆除薬(予防薬)の投与
ノミの予防には、定期的に駆除薬を投与するのがもっとも効果的な方法です。ペットショップなどで販売されている市販薬もありますが、効果が発揮されにくいものもあるようなので、なるべく動物病院で処方された動物用医薬品を使用するようにしましょう。
駆除薬には、チュアブルタイプや、滴下(スポット)タイプなどいくつかの種類とタイプがあります。愛犬にあったタイプを獣医師に相談してみてください。
ペット用の虫よけスプレーも併用して使う
ノミの予防には駆除薬の投与が基本ですが、お散歩やお出かけ前に犬用の虫よけスプレーを使用するのもいい方法です。とくに虫が多くいそうなキャンプ場やドッグランなどへ出かけるときは、取り入れてみるといいでしょう。ただし、人用の虫よけスプレーは犬には強すぎるので、使用しないでください。
室内を清潔に保つ
日ごろから家の片づけや掃除を行うことで、ノミが犬につくのを予防することができます。とくに、ノミが生息しやすい部屋の隅や家具の下、家具と家具の間、カーペットなどのほこりのたまりやすい場所は、こまめに掃除するようにしましょう。
また、犬用グッズもこまめに洗濯したり、ペット用の除菌スプレーを使ったりして、清潔を保つことも大切です。
しっかりとノミ対策をして愛犬の健康を守ろう!
ノミのほかにも、マダニやイエダニなどの寄生虫や、フィラリア症感染の原因となる蚊など、犬が注意したい虫はたくさんいます。先ほどもご紹介しましたが、現在販売されているノミの駆除薬は、ダニなどにも対応しているものがほとんどなので、定期的に投与してしっかりと対策してあげましょう。
愛犬の健康を守るのは飼い主さんの大切な役目です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考・写真/「いぬのきもち」2019年4月号『散歩道に、家の中に。こんなところに潜んでいる!?春になったら蚊 ノミ マダニにご用心!』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/ハセベサチコ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。