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トイレの失敗が増える、認知症の介護が大変…シニア犬の飼い主が抱える悩みに、獣医師がアドバイス
いぬのきもちWEB MAGAZINEが昨年「犬の日企画 犬の好きなところアンケート」を実施したところ、シニア犬の飼い主さんたちからお世話面での悩みの声が寄せられました。
今回はそのなかからいくつか抜粋し、いぬのきもち獣医師相談室の先生が飼い主さんの悩みに答えます。
悩み1:シニアになってトイレの失敗が増えた
「歳になりトイレをあちこちでする」(ダックスフンド<カニーンヘン、ミニチュア、スタンダード含む>/♂/11才~)
「年齢と共に認知症がではじめ、トイレをどこでもしてしまうようになった」(ダックスフンド<カニーンヘン、ミニチュア、スタンダード含む>/♀/11才~)
「シニア犬でトイレの失敗をしてしまうのには、いくつか原因が考えられます」
①新しい仲間(犬や猫)が家に増えた影響
「新しい仲間が家に増えると、自身の縄張りを守るためや、不安の解消のために、病気でなくてもトイレ以外で排泄することも。お互いにあまり好きになれなければ、仕方のないことです。
その場合の対策としては、2頭の生活スペースを区分けするのがよいでしょう。2頭の気持ちの面でも、飼い主さんの掃除の面でも、ストレスが少なくなると思います」
②膀胱炎になっている可能性がある
「高齢の犬が膀胱炎をかかえていることは多いです。膀胱炎になると、トイレまで尿が我慢できないこともあります。尿の検査で異常が見つかれば、治療をするようにしましょう」
③腎不全を患っている可能性がある
「腎不全などの尿量が増える病気を患っていると、トイレが近くなり、トイレ以外で排泄しがちです。その場合は、トイレの設置を増やしたり、大きくしたりするとよいでしょう。
シニアになると寝る時間も増え、ギリギリになるまで待ってしまい、トイレに間に合わないこともあるので、定期的にトイレに促してもよいと思います」
④足腰が弱ってトイレの場所まで行かれない
「足腰の問題で、トイレに行かれなくなることもあります。たとえば、トイレの場所が生活スペースよりも上の階にあったり、段差があるトイレだと、うまくいかなくなることも。その場合は、トイレの環境や生活スペースを見直す必要があります。
治療が必要であれば足腰の治療をし、運動ができる状況であれば筋力が落ちないように運動しましょう」
⑤認知症や脳腫瘍でトイレが認識できない
「認知症や脳腫瘍などで昼夜歩き回ったり、一定方向にのみ進むようになると、トイレがうまく認識できません。その場合は、おむつを付けたり、排泄の時間がわかっていれば見張ったり、囲ったスペースで歩いてもらうことで、あちらこちらの排泄を軽減できます」
「そうですね。あとは、飼い主さんが『失敗しても仕方ないか』という気持ちを持ってみたり、本来はお勧めするべきではないと思いますが、掃除を少しさぼったりしても、あちこちの排泄ストレスが減ると思います」
悩み2:愛犬が認知症になってしまいお世話が大変
「シニアになり認知症になってしまったので、介護が大変です」(柴/♂/11才~)
「認知症になって夜泣きをするようになった」(柴/♀/11才〜)
「以前飼っていたハスキー犬は12才で天使になったので、認知症の経験がないが、今の柴犬は14才になり、認知症状が出始め、夜間、たびたび起こしてくるので、慢性睡眠不足」(柴/♀/11才~)
「認知症であることは治せないのですが、昼夜逆転は直せるものです。専門施設では、みんな同じように朝起こし、外の空気を吸ったり日光浴させて、夜は静かに寝るというサイクルに合わせます。それで認知症の夜鳴きはなくなるという話を聞いたことがあります。
ただ、飼い主さんが家でずっと愛犬と一緒ということもできないことが多いと思います。飼い主さんのできる範囲で、昼間の時間帯は愛犬を起こしておくことをされるとよいでしょう。
また、定期的に動物病院などで一時的に愛犬を預かってもらい、気持ちをリセットされる方もいます。数日経つと、『愛犬のお世話は大変だけど、いないと寂しい』と感じられるそうで、また頑張れるようです」
「預かってもらえる場所は、動物病院、ペットホテル、ペット介護施設などがあります。もしくは、ペットシッターさんやご家族のどなたかにお世話を託し、ご自身がどちらかでリフレッシュされてもよいかなと思います」
・アンケート名称:【いぬのきもちWeb】犬の日企画 犬の好きなところアンケート調査
・アンケート実施期間:2020年7月29日~8月11日
・回答方法:WEB、いぬ・ねこのきもちアプリ
・総回答数:2,711名
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※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/柴田おまめ
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