犬と暮らす
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愛犬の「介護」を経験した飼い主の体験談 介護の内容、向き合う気持ちを聞いた
犬の介護経験がある犬の飼い主さんは25%
飼い主さんの介護経験談
飼い主さんたちには、「介護の内容」「介護で大変だったこと」「大変な介護のなかで感じた愛犬との印象的なエピソード」について答えてもらいました。
食べてもらう工夫やトイレのお世話に苦労した
- 「老衰の柴犬で、食欲もなくなり、動きもままならない状態。少しでも食べてもらう工夫と、トイレが大変でした」
- 「16才を超えたころからトイレが難しくなり、こまめにシーツをかえたり、負担なく身体を綺麗にしたあげたり、2年間は介護状態でした」
夜鳴きで眠れない日があった
- 「寝たきりになり、食事や排泄の世話をした。時々、夜中に鳴くことがあり、寝れない日があった」
認知症の愛犬を家族みんなで介護
- 「高齢の柴犬で、認知症でした。夜中の徘徊・トイレの介助。寝たきりになってからの4カ月は食事・水飲みすべて補助が必要でした。夜鳴きをするので抱っこして寝かしつけていました。夜中に何度も起きるので、睡眠不足になる。眠い時に眠れないのがつらかった」
歩けなくなった愛犬をサポート
- 「歩行が上手くいかなくなり、立ち上がる際に身体を支え、行きたい方向へ付き添った。認知症なのか幻覚が見えて、それに向かって何もない所に噛みつきにいくため、怪我をしないよう声を掛けて、身体を押さえて阻止していた。心臓が悪かったので、留守の時に心配だった」
腎臓病になった愛犬を自宅で介護
- 「腎臓病で何も食べなくなってしまい、流動食や自宅での点滴処置などを行った。大変と感じたことはない。もっと他にも何かできたのではと思う」
【獣医師解説】愛犬の介護にどのように向き合えばいい?
「食べ物については、愛犬が若いころから『何が好きか、嫌いか』『体に合うか』などをできるだけ多く知っておくと役に立つと思います。
若いうちからいろいろなものを経験しておくと、その後の食べ物のレパートリーが増えます。口に触ることにお互いが慣れておくことも、いざ食べさせてあげるときの抵抗がなくなると思います。少量食べさせたり飲ませることを練習しておいてもよいでしょう」
「たとえば、おむつやトイレシーツを使用する場合、『かぶれにくい』『はきやすい』『ずれにくい』『もれにくい』などを試していく必要があります。しっかり吸収して漏れがないものは、かぶれにくいと思います。
余裕があれば、普通の水で吸収具合を試してみてもよいと思います。既製品が合わないこともありますので、臨機応変に自分で工夫することも必要です」
「夜鳴きの原因の多くは、昼間も寝ているからです。立てなくてもカートでお散歩するだけで、風や外のニオイを感じて気分が晴れますし、日光も浴びることができるので夜の眠りをスムーズにすることが期待できます。
カートに慣れていないと心地が悪いですので、若い頃からいろいろなことにトライし、練習しておくとお互いに抵抗がなくなります。
また、飼い主さんも愛犬もお互い寝られないとつらくなりますので、お薬などを検討してもよいと思います。最近では、代替療法も積極的に取り入れられています。効果的に使用できるものも増えてきているので、かかりつけ医に相談するとよいです」
「そうですね。飼い主さんがつらくなる前に愛犬を病院で預かってもらったり、誰かにお願いすることで、慢性的なつらさにつながりにくくなります。誰でも寝られないと少しのことでイライラしたり不安に思ってしまうので、飼い主さんご自身がしっかり寝ることはとても大切なことです」
介護は「ひとりで頑張りすぎない」ことが大切に
「愛犬の介護はいつか来るかもしれませんし、来ないかもしれませんし、誰にもわかりません。飼い主さんが不安に感じるのは、おそらくひとりで頑張らなければならないと思っているからかなと思います。
相談できる場所、気持ちをはきだせる場所、愚痴を言える場所をいくつか探しておくと、少し気持ちがラクになると思います。実際に介護疲れをしてしまう方は、心身ともにひとりぼっちになってしまうケースが多いです」
「完璧にこなさなくてもよいのです。完璧を求めると、キリがなくなります。完璧なものはない、完璧でなくてもよいということを頭に置いておいてください。
あとからいろいろと振り返り、後悔することもあるかもしれません。ですが、そのときの最善をつくしていたことは確かです。ベストを尽くしていた自分自身を大切にしてください」
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/柴田おまめ
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