犬はかゆみを感じたとき以外にも、いろいろな理由から体をかいたりなめたりします。そのときの様子や周囲の状況から原因を探って、愛犬の置かれた状況を理解してあげましょう。犬のかゆがるしぐさに秘められた、3つの理由を紹介します。
自分の気持ちを落ち着かせたい
犬は欲求不満や不安、緊張を感じると、かゆがるしぐさをすることでストレスに対応し、自分の気持ちを落ち着かせようとします。トレーニングやお手入れのとき、慣れない場所へ行ったとき、初対面や苦手な犬に会ったときにこのしぐさをする犬も多いのではないでしょうか。
数秒でおさまる程度なら問題ありませんが、もしもしぐさに気付いたら、声をかけたり遊んだりして愛犬の気持ちを紛らわせてあげるといいでしょう。
眠い、退屈な気持ちを感じている
犬は眠いときや退屈を感じているときも、自分の体をかいて触ることで、安心を感じています。また、子犬が母犬になめられてウットリ眠るように、眠る前に体をなめる犬も少なくありません。
ただ、留守番中に限ってよくなめるという場合は、退屈や不安を感じている可能性も。おもちゃを与えたり留守番の練習をしたりして、対策しましょう。
相手へのアピール
「吠えないで」と伝えている
向こうから来る犬を見つけて痒がるしぐさをしていたら、相手の犬に対して「吠えないで」と伝えているのでしょう。これは犬同士のマナーで、犬は痒がるしぐさをすることで、ほかの犬に敵意がないことをあらわします。
ただ、ほかの犬を見たときに体をかたくしたり、逃げようとしたりする場合には、緊張や不安を感じているかもしれません。愛犬の反応をよく観察してみましょう。
「かまって」と伝えている
飼い主さんの前でばかり体をかく場合は、自分をアピールしているのかもしれません。体をかいていたときに飼い主さんが「どうしたの?」と反応してくれた経験から、飼い主さんの関心をひきたくて体をかいていることが推測されます。
体に違和感を感じている
外からの刺激に対する違和感
犬は異物や汚れが付着してムズムズし、体の表面に違和感を感じるとかゆがるしぐさをします。首輪を着けたときや洋服を着せたとき、シャンプーの洗い残しがあるとき、散歩や排泄で草や汚れが付着したときに違和感を覚えて、取ろうとするのはよくあることでしょう。
しかし、かゆがるしぐさが長く続く場合は病気の可能性も。次の原因を疑ってみましょう。
皮膚病やその他の病気で感じる違和感
犬は、痛みや痒み、心の病気が原因になってかき続けることがあります。特定の部位を何度もかいたり、皮膚が赤くなるほどなめ続けている場合は、心や体がSOSサインを発しているのかもしれません。皮膚の病気や脳神経・免疫の異常からくる病気、心の病気などはかゆみを伴う場合があるので、すぐに動物病院を受診しましょう。
かみを伴う皮膚の病気などの例
マラセチア皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、毛包虫症、外耳炎、膿皮症、疥癬、肛門周囲のトラブル、結膜炎など
犬は、いろいろな理由からかゆがるしぐさをすることがわかりました。しぐさが愛犬の気持ちをあらわしている場合もあるので、単純に「かゆいのだろう」と決めつけずによく観察し、少しでも異変を感じたら獣医師に相談しましょう。
参考/「いぬのきもち」2017年4月号『病気?ストレス?それともアピール?犬のかゆがるしぐさの理由』(監修:東京大学付属動物医療センター行動診療科特任助教 ACプラザ苅谷動物病院獣医師 獣医行動診療科認定医 荒田明香先生)
文/こさきはな
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。