犬の体にもともと備わっている「免疫力」。免疫力が低下すると、あらゆる病気の原因になるおそれがあるため、低下の要因を取り除いて免疫力を維持することが大切です。
そこで今回は、犬の免疫力低下の原因や、免疫力低下を解消するために必要なことなどについて解説します。
「免疫力」とはどういうもの?
犬の体を病気から守るため、生まれつき備わっている力のことを「免疫力」といいます。その免疫力を維持するために働いているのが、血中に存在する白血球です。
白血球は単球や顆粒球、リンパ球といったさまざまな免疫細胞からできていますが、これら免疫細胞は、血液とともに体内を巡り見つけた敵を攻撃する「自然免疫」と、自然免疫で対処できなかった敵を処理する「獲得免疫」の“2チーム”に分かれ、犬の体を守っています。
この免疫バランスが崩れると、犬は以下のような病気を発症することがあるので注意しましょう。
犬の免疫バランスが崩れると発症するおそれのある病気
- 抵抗力が低下するため、体内にウイルスや細菌が侵入し、さまざまな「感染症」にかかりやすくなる
- 免疫力が低下するため、がん細胞の増殖を抑えられなくなり、「がん」を発症しやすくなる
- 免疫機能が乱れるため、花粉や食物などに免疫力が過剰反応し、「アレルギー」を引き起こすことがある
- 唾液や粘膜の免疫力が低下するため、「歯周病」になりやすくなる など
犬の免疫力が低下する4つの主な原因
犬の免疫力の低下させる原因は、日常生活のなかに潜んでいることも。考えられる主な原因は以下のとおりです。
1:栄養不足
総合栄養食のドッグフードを与えていれば、基本的に問題ないのですが、おすそわけやおやつの与えすぎなどで食生活が乱れると、栄養バランスが崩れて免疫力低下の原因に。
2:ストレス
犬にとって飼い主さんにかまってもらえないことは、大きなストレスです。ふれあい不足などで心にストレスが溜まると、免疫細胞の数が低下し、免疫の働きを悪くしてしまうことがあります。
3:睡眠不足
睡眠が不足すると自律神経が乱れ、その影響で免疫の働きが低下することがあります。犬は1日平均12~15時間の睡眠が望ましいとされています。
4:運動不足
運動不足になると、筋肉量の低下やストレスの増加などにより体の代謝機能が下がり、血流も悪化します。血液が免疫細胞を体中に運んでいるため、血流が悪くなると免疫力がうまく働きにくくなることがあります。
犬の免疫力低下を解消するための4つのポイント
犬の免疫力を低下させる原因がわかれば、それを取り除き、体を万全に整えてあげることが大切です。
1:フードを見直して栄養不足を解消する
犬の年齢や体質によって、必要な栄養バランスやカロリーは異なりますので、今の愛犬に必要なフードを、改めて見直してみるのもおすすめです。フード選びに困ったら、かかりつけ医に相談してみてもいいでしょう。
2:ストレスを解消して心を整える
愛犬にとって、大好きな飼い主さんとのふれあいはストレス解消につながるので、毎日のスキンシップは欠かさないようにしましょう。また、犬が単独で安心して過ごせるエリアを作ってあげることも、心の安定につながります。
3:眠りやすい環境を用意して睡眠不足を解消する
気温や室温が高すぎると、犬は寝つきが悪くなります。また、犬は決まった寝所だけでなくあらゆる場所で眠るため、犬の行動範囲内の温度・湿度管理は徹底しましょう。
4:散歩の質を上げて運動不足を解消する
毎日の散歩は運動不足解消に効果的ですが、量よりも質を意識することが大切です。散歩のルートに坂道や階段を取り入れて緩急をつけると、ほどよく愛犬の体に負荷がかかり、筋力増加につながります。
愛犬の健康には欠かせない免疫力。日々、免疫バランスの維持を意識して生活しましょう。
参考/「いぬのきもち」2021年7月号『免疫の力で体も心もイキイキ♡ 免疫力がモノをいう! 愛犬のカラダの整え方』(監修:湘北どうぶつ次世代医療センター ファミリーアニマルホスピタル 高橋動物病院院長 「免疫力UP専門外来」主任獣医師 高橋俊一先生)
文/higarina
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。