イベントごとも多いこの時期は、愛犬への注意もおろそかになり、気づかぬところで誤食が起きやすい時期でもあります。愛犬に与えたり、愛犬が誤って食べたりすると危険なものをご紹介します。
十分注意したい誤食物
下記のものを誤食したら、まずは獣医師に相談し、誤食したものや状況を詳しく伝えましょう。誤食した後3日以内に嘔吐した場合は、胃や腸に詰まっている恐れもあります。
イラスト/なとみみわ
チョコレート
チョコレートに含まれる成分・テオブロミンによって心拍数があがり、けいれんや嘔吐を起こして死にいたる場合もあります。カカオが多いビターチョコなどは特に要注意。テオブロミンは蓄積するため、毎日少量とるのも危険です。
玉ねぎ(ねぎ類)
ネギの仲間も要注意です
ねぎ類に含まれる成分・有機チオ硫酸化合物が赤血球を酸化させて破壊し、溶血性貧血を起こします。すぐに症状があらわれず、翌日~2日後に血尿が出るのが特徴。最悪死にいたることもあります。
ぶどう
干しぶどうもNGです
犬がぶどうを食べると、24~48時間以内に嘔吐などの症状があらわれ、腎不全になる場合があります。突然腎不全になったときは、ぶどうの誤食も疑いましょう。ちなみに干しぶどうや皮もNGです。
アボカド
種を飲み込むのも危険です
犬によってはアレルギー反応が起き、のどの粘膜が腫れて呼吸困難になります。接触アレルギーなので症状はすぐにあらわれます。ゴミ箱に捨てた種にも用心して。
キシリトール
包み紙にも気を付けて
血糖値が急低下し、嘔吐が起こって急性肝不全を発症したケースも報告され、最悪死にいたることもある食べ物です。キシリトール入りのガムやお菓子、歯みがき粉はしっかり管理しておきましょう。
超危険!命にかかわる危険がある誤食物
以下のものは、誤食したあとにけいれん、麻痺、呼吸困難、意識不明、泡を吹くなどの症状が出た場合非常に危険です。一刻も早い処置が必要なので、至急動物病院での診察を!
イラスト/なとみみわ
農薬・殺虫剤・殺鼠剤
農薬や殺虫剤には殺傷力の高いヒ素などの薬物が入っているものが多く、少量でもけいれんや意識不明に陥ることがあります。処置が遅いと死にいたることもあるので、一刻も早く獣医師の診断を受けてください。なかでも、ナメクジ駆除剤は犬にとっても魅力的なのか、庭にまいたものを食べてしまうケースも多いそう。使用した際は愛犬を近づけないよう気をつけて。
ボタン電池
ボタン電池を犬が飲み込むと体内で放電します。同じ場所にとどまると粘膜を腐食し、胃や腸などの内臓に穴があくことも。エックス線写真を撮り、体内のどこにあるかを確認してから、できるだけ早く取り出す処置をする必要があります。
乾燥剤
乾燥剤のなかでも、海苔などによく使用されている吸湿力の高い生石灰(酸化カルシウム)は、水にぬらすと発熱するので、犬が誤食すると体内で高熱を発する危険があります。ひどい場合は胃に穴があき、死に至ることもあるので要注意です。
保冷剤
保冷材の成分であるエチレングリコールは甘い味がするため、犬がかじって穴をあけた場合、そのまま食べてしまいがち。しかしこれには毒性があり、徐々に食欲が低下して嘔吐や意識障害を起こし、腎不全にいたって死亡することがあります。
犬の誤食でとくに緊急を要するのは薬や電池です。なかでも農薬や殺虫剤など、駆除目的の薬剤を誤食した際は、至急処置を行わないと死にいたる危険性が非常に高いです。
消化できないものを犬が誤食した場合、一般的には5時間以内なら胃に留まり、5時間を超えると腸へと移動します。なかでも狭くて詰まりやすいのが小腸。誤食後、約3日経っても嘔吐や下痢などの異常がなければ、小腸を通り抜け、排泄物といっしょに自然と出る可能性が高いです。最低でも誤食後3日間は、愛犬に異常がないかしっかり観察してください。
全身麻酔をかけて行う開腹手術は犬の体への負担も大きいですから、そもそも危険物を愛犬が食べたりすることがないように、飼い主さんが気をつけてあげてくださいね。
参考/『いぬのきもち』2017年1月号「キケン!誤食リスクMAP」特集(監修:ドン・ペット・クリニック院長 重田洋一先生)
イラスト/なとみみわ
構成・文/岸 綾香(編集/影山エマ)