頭が痛い、体がだるい、やる気が出ない……。人が感じている体の不調、犬にもあるのでしょうか? 知っているようで意外に知らないこんな疑問を、獣医師の南 直秀先生がジャッジ! ここでは、人の体の不調のなかで、犬にも「ある」全身の不調をご紹介します。
【ぎっくり腰】腰の不調のほか腫瘍が原因のことも
いわゆる急性腰痛のことで、椎間板ヘルニアのほか、加齢による変形性腰椎症の症状のひとつとして見られます。ただし脳腫瘍が原因で腰が抜けることもあるので、愛犬が突然座りこむなどの行動が見られたら要注意。すぐに検査を受けて。
【筋肉痛・関節痛・神経痛】人と同じように犬でも起こりうる
筋肉の構造は犬も人もほぼ同じです。病気やケガがないにもかかわらず、体を触ると痛がる場合は筋肉痛が原因のことも。変形性関節疾患(リウマチ)のほか、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛など、関節痛や神経痛もあります。
【むくみ】低たんぱくや腎臓病など、循環不全で起こりうる
むくみ(浮腫)はなんらかの原因で皮下組織に体液が過剰にたまる症状のことですが、犬でも見られます。たんぱく質不足のほか、心臓や腎臓などの病気が原因で血液の循環がうまくいかないと全身で発症することがあります。
【胃もたれ】嘔吐や下痢など胃炎が原因のことも
胃のむかつきや消化不良のことを指しますが、犬でも見られる症状です。車酔いや、食べすぎや早食い、食べてはいけないものを誤食したことによって胃が炎症を起こすほか、細菌やウイルスに感染して起こすことも。
【胸やけ】逆流性食道炎などで起こる不調
胃から胃酸が逆流することによって、胸がやけるような痛みや違和感を覚える症状で、逆流性食道炎などを起こしている犬でみられます。食事時でもないのに、愛犬が口の中でくちゃくちゃと音を立てていたら注意して。
【貧血・めまい】さまざまな種類があり、犬でも起こりうる
犬でも見られる症状です。とくに注意したいのが、耳の三半規管で平衡感覚をつかさどる前庭神経の異常(前庭疾患)で、シニア犬が突発的に起こすほか、腫瘍が原因で起こることも。ふらつきや眼球振動が見られたらすぐに受診を。
【低血圧・高血圧】気づきにくいが、人と同様にある
人のように測定する機会が少ないため、異変に気づきにくいですが、どちらも犬でみられます。心臓病や腎臓病、内分泌系などの基礎疾患がある犬では併発しやすく、とくに高血圧は血管や心臓への負担が大きいため要注意です。
南先生によると、人と体の構造が異なる犬に「肩こり」があるのかは不明なのだとか。
また、「こむら返り」は、人では栄養不足や水分不足、冷えや急激な寒暖差が原因で起こることがありますが、人と暮らして食生活も管理されている犬では起こらないと考えられており、症例もないようです。
お話を伺った先生/東京動物医療センター副院長 南 直秀先生
参考/「いぬのきもち」2021年12月号『人のカラダの不調 犬にもある? ない?』
文/いぬのきもち編集室