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防災に役立つ「犬の4大しつけ」ふだんのしつけが愛犬の命を守るカギに

地震、台風、洪水、土砂災害。
四方を海に囲まれ、国土の多くを山地が占める災害大国・日本で愛犬の命を守るには、万が一のときに愛犬がとるべき行動をふだんからしつけで教えておくことが重要です。防災のためにも、絶対教えておきたいしつけを、しつけインストラクターの戸田美由紀先生に伺いました。

命を守る防災しつけ①【ハウス】(緊急避難)

イラスト/別府 拓
イラスト/別府 拓

愛犬専用の避難場所へすばやく誘導できる

「ハウス」という指示しつけは、愛犬をすばやくクレートなどに誘導できて便利な指示しつけです。ふだんからハウスを教えておけば、たとえ飼い主さんが手を離せないときに地震が起こっても、声だけで愛犬を安全なハウスの中に誘導できるので、愛犬の身を守ることに役立ちます。
また、避難先でも愛犬専用の個室として使えるので、ストレス軽減にも効果的です。

こんなシーンで使えます!

●愛犬を安全な場所へ誘導したいとき
● 飼い主さんが手を離せないとき
● すばやく避難させたいとき
● 避難先でクレートを使いたいとき

今からできる「ハウス」の教え方

愛犬がハウスにいい印象をもつためには、ごほうびを使う方法が簡単です。「ハウス」=「おいしいものがもらえる素敵な場所」と繰り返し教えましょう。ハウスを覚えるまでの間は、ハウスの中でゴハンを与える方法もおすすめです。

1.ハウスまでの道筋にフードを置いておく

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
ハウスの奥までの道筋に、5㎝ほどの間隔をあけながら一直線上にフードを置き、食べさせながらハウスに誘導します。愛犬が警戒して食べないようなら、ハウスの入り口の扉や、上蓋をはずした状態で始めてもOK。ハウスの奥には多めにフードを置いておいてもよいでしょう。

2.愛犬が入ったら「ハウス」と言ってほめる

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
愛犬がハウスに入ったら、すかさず「ハウス」と声をかけて合図の言葉を印象づけます。手からフードを与えながら、胸元などをなでて「イイコ」とたくさんほめて。「ハウスは入ればおいしいものがもらえて、ほめてもらえる場所」と覚えます。

命を守る防災しつけ②【マッテ】(待機指示)

イラスト/別府 拓
イラスト/別府 拓

愛犬を安全な場所にしばらくとどめておく

大きな地震が起こると、部屋の中は割れた食器が飛び散ったり、窓ガラスが割れてしまう場合も。そんなとき、愛犬が飼い主さんのもとへ逃げようとして、落ちているガラスを踏みそうな場面や、脱走防止にも使えるのが「マッテ」です
声だけで愛犬を制止できるので、飼い主さんがすぐに動けないときなどに愛犬を安全な場所にしばらくとどめることができます。

こんなシーンで使えます!

● 割れたガラスやがれきなど危険なものに愛犬を近づかせたくないとき
● 愛犬が脱走しそうなとき
● 飼い主さんの身動きがとれないとき
● 飼い主さんが危険な場所にいるとき

今からできる「マッテ」の教え方

愛犬にオスワリやフセをさせて、「マッテ」の合図をかけ、「じっとしていればいいことがある」と教えましょう。はじめは短い時間から徐々に練習していくことで、将来的にマッテできる時間がどんどん長くなるよう延ばしていきます。

1.オスワリしている愛犬に「マッテ」と声をかける

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
愛犬にオスワリ(フセでもOK)をさせて、手のひらを愛犬に向けて見せるなどのハンドサインとともに、「マッテ」と声をかけます。最初は数秒など、短い時間から少しずつマッテできる時間を延ばしていきます。

2.「オッケー」の合図でマッテを解除する

撮影/尾崎たまき
撮影/尾崎たまき
愛犬がマッテをきちんとできたら、愛犬におやつを与えてたくさんほめましょう。その後、「オッケー」の合図でマッテを終わらせます。繰り返すうちに、マッテを維持できる時間が長くなっていきます。

命を守る防災しつけ③【オイデ】(避難誘導)

イラスト/別府 拓
イラスト/別府 拓

愛犬を安全な場所へ呼び寄せられる

犬は人よりも体高が低いため、地面からの振動を直接受けてしまいます。そのため、地震のときは怖がってパニックになることも。そんなときに便利なのが「オイデ」。声をかけることで飼い主さんのそばに呼び寄せて、愛犬を落ち着かせることができますし、棚などの家具が倒れそうなときに避難させたり、すばやくリードをつけていっしょに避難するときにも役立ちます。

こんなシーンで使えます!

● 飼い主さんのところへ愛犬を呼び寄せたいとき
● 愛犬が怖がっているとき
● 愛犬を捕まえておきたいとき
● 脱走の危険がありそうなとき
● 愛犬が危険な場所にいるとき

今からできる「オイデ」の教え方

おやつを鼻先でかがせながら、愛犬が近づいてきたらほめることで「飼い主さんのところに行けばいいことがある」と覚えます。練習しはじめはリードをつけておくと、来ないときにリードでたぐり寄せることでも誘導できて確実です。

1.おやつをかかせながら「オイデ」で引き寄せる

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
手の中におやつを握り、その手を愛犬の鼻先に近づけてニオイをかがせます。ニオイをかがせたまま飼い主さんが後ろに1mほど後ずさるようにしながら、愛犬が自分の足元まで来るように誘導します。

2.愛犬が近づいてきたら、ほめておやつを与える

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
愛犬が飼い主さんの足元まで来られたら、手の中のおやつを与え、胸元や顔まわりなどをなでて「イイコ」とたっぷりほめましょう。愛犬が「オイデ」と言っても来ない場合は、リードを使ってたぐり寄せて。

命を守る防災しつけ④【人なれ】(他人になれさせる)

イラスト/別府 拓
イラスト/別府 拓

災害のとき、みんなに助けてもらえる

意外に思われるかもしれませんが、人になれさせておくことは愛犬の命を守るうえで欠かせないしつけです。災害のときは、飼い主さんや愛犬がケガをするなど、誰かに助けてもらわなければならないこともあります。そんなとき、飼い主さん以外の人では触れない犬に育てていたりすると、救助に時間がかかるだけでなく、避難先で預かってもらえない場合もあるのです。

こんなシーンで使えます!

● 愛犬を抱っこして避難させたいとき
● 飼い主さんがケガしたなど、ほかの人に助けてもらう必要があるとき
● 他人に愛犬を預かってもらうとき
● 避難先で初めての獣医師に診てもらうとき

今からできる「人なれ」の教え方

まずはなれさせたい人に、手からおやつを与えてもらう方法がおすすめです。飼い主さんが手からおやつを与えて、愛犬がおやつに集中している間になでてもらい、「ほかの人に触られても嫌なことは起こらなかった」と覚えてもらいます。

1.おやつで気を引きながら、ほかの人になでてもらう

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
飼い主さんが片手でおやつを与え続け、愛犬がおやつに集中している間に、なれさせたい人(お客さん)に愛犬をなでてもらいます。肩や胴体のあたりなど、愛犬が嫌がりにくい場所から始めましょう。

2.ほかの人におやつを与えてもらいつつなでてもらう

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
1ができたら、なれさせたい人から直接おやつを与えてもらいます。片手でおやつを与えてもらいながら、背中などをなでてもらって。飼い主さんが「イイコ」と声をかけ続けると安心感がアップ。

※もともと他人が苦手など、上記の方法でも難しい犬の場合は、専門家に相談しましょう。

大切な愛犬の命を守るために、ぜひ今からでも実践してみてください。
お話を伺った先生/日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター。DOG IN TOTAL主宰 戸田美由紀先生
参考/「いぬのきもち」2022年3月号『いざというときに、愛犬の命を守る 防災しつけ』
撮影/尾﨑たまき
イラスト/別府 拓
文/いぬのきもち編集室
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