雑誌「いぬのきもち」読者アンケートによると、愛犬のケガは部屋の中、散歩道、ドッグランなど、身近な場所で起きていることがわかりました。今回は、愛犬のケガでいちばん多くの票を集めた「骨折・ねんざ・脱臼」の体験談をご紹介。動物救命救急のスペシャリストであるサニーカミヤ先生に、ケガの予防や事故の際の対応についてアドバイスをいただきました。
犬に多いケガベスト4
1位 骨折・ねんざ・脱臼……38%
2位 切り傷・すり傷……31%
3位 噛み傷……10%
4位 やけど……2.5%
※「いぬのきもち作り隊」の読者260名にアンケートをとったものを集計した結果です。いぬのきもち作り隊アンケートは、2021年11月に実施しています。アンケートには、複数回答も含まれます。
読者が経験した愛犬のケガ1位は【骨折・ねんざ・脱臼】
《滑りやすい階段や床が原因となり、室内での骨折が増えている》
骨折やねんざといったケガは、外で負うことが多いと思っていませんか? じつは、室内で起こることも多いのだとサニー先生。
「人の住まいは、犬が住むことを前提に設計されていません。そのため、階段やソファ、イス、ベッドから落下する、床で滑る、毛足の長いカーペットに爪を引っかける、段差でつまずくなど、たくさんのケガのリスクが潜んでいるのです」。
CASE1 インターフォンの音に驚きソファから落ちて前足を骨折
「愛犬(オス・1才/ポメラニアン)が生後3カ月のとき、ソファの上で寝ていたところ、インターフォンの音が。音に驚いて目を覚まし、下りようとして着地に失敗。左前足を上げたまま、キャンキャン鳴き続けるので、すぐに夜間救急動物病院で受診し、骨折と診断されました。」
【先生からのアドバイス】
「夜間のケガにも対応できるよう、近所の夜間救急動物病院を調べておくと安心です。骨折が疑われる部位を触ると、神経を痛めることもあるので、できるだけ触らず運んであげて。」
CASE2 階段から足を滑らせ、落下して骨折
「夕飯を終え、2階でくつろいでいたところ、愛犬(メス・7カ月/イタリアン・グレーハウンド)のギャンギャンと鳴く声が。見ると、右前足をブラブラさせ、鳴きながら階段を上がってきていました。足を滑らせて落下したようです。すぐに動物病院へ行きました。」
【先生からのアドバイス】
「骨折だと気づき、すぐに動物病院で受診したのはいいですね。愛犬が階段を自由に上り下りできないよう、ガードをつけると安心です。」
CASE3 同居犬と追いかけっこの最中に方向転換してひざを脱臼
「室内で追いかけっこをしていた愛犬(メス・1才/チワワ)が、逃げながら勢いよく向きを変えた途端、キューンと鳴き、後ろ足をつけなくなりました。しばらくして元に戻りましたが、心配で動物病院へ。膝蓋骨脱臼でした。犬用カーペットを敷いていたのに……。」
【先生からのアドバイス】
「滑りやすい床の上だったら、もっと大きなケガになっていたかもしれません。犬用の滑りにくいカーペットを部屋全体に敷いているのはいいと思いますよ。」
CASE4 ボールを取ろうとジャンプ。着地のときに足をひねってねんざ
愛犬(メス・2才/ゴールデン・レトリーバー)が子犬のころ、公園でボール投げをしていたところ、愛犬がびっくりするほどの大ジャンプ! 空中で体をひねってボールをキャッチし、その姿勢で着地。キャンと鳴いて足を引きずっていました。乗車時や階段の上り下りは抱いて動物病院へ。
【先生からのアドバイス】
「犬は、猫とは違い、上下運動に不向きな体の構造です。そのため、ジャンプしたあと、着地のときに足に急激な衝撃を受けると、骨折やねんざのおそれがあるので気をつけて。」
いかがでしたか? 今回ご紹介したケースを参考に、室内や遊び方に危険が潜んでいないか、改めて確認してみましょう。
お話を伺った先生/日本国際動物救命救急協会 代表理事 サニーカミヤ先生
参考/「いぬのきもち」2022年4月号『まさか!のケガ体験エピソード』
イラスト/福田玲子
文/伊藤亜希子