人と同じく、犬にも〝食物アレルギー〞があることをご存じですか? でも、「食べてすぐに起こる」ことは犬にはあまりないなど、人とは違う点もあるのだとか。
今回は、〝犬の食物アレルギー〞について知っておきたい3つのことと、原因になりやすい食べ物について、獣医師の後藤慎史先生に解説していただきました。
犬の食物アレルギー特有の特徴3つ
1.食後、数十時間後に症状が出る遅延型が多い
食べてすぐにかゆみなどの症状が出るのは、人の食物アレルギーの典型で即時型(Ⅰ型)。一方、犬の即時型は少数派で、食べてから数十時間たってから症状が出る、遅延型(Ⅳ型)と呼ばれるタイプが多いです。じつは、数日前に食べたものが原因だったということもあると知っておきましょう。
2.症状の出る部位が似ているアトピー性皮膚炎とまぎらわしい
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は、ともに何かしらのアレルゲンによって皮膚症状があらわれるアレルギー性皮膚炎です。アレルゲンは異なりますが、症状や症状の出る部位が似ているため鑑別が大事。季節に関係なく起こる食物アレルギーに対し、アトピー性皮膚炎は季節の変わり目に多いという違いも。
3.1才未満での発症が多いが、中年期を過ぎて発症することも
人では、小さい子どもに発症が多いですが、犬も1才未満で発症することが多いとされています。ただ、7才ごろの中年期以降に、急に発症することも。「皮膚のトラブルがまったくなかったのに、7才以降、急に皮膚をかゆがりだしたら、食物アレルギーの可能性も高いですね」と後藤先生。
どんな食べ物が原因になりやすい?
たんぱく質を含む食べ物がアレルゲンに
食物アレルギーの原因は、食べ物に含まれるたんぱく質。小麦や大豆などに含まれる植物性たんぱく質も、アレルゲンになります。
犬では、牛肉、大豆、鶏肉、乳製品、とうもろこし、小麦、卵など、総合栄養食やおやつの主原料になる食べ物が、アレルゲンになりやすいという研究データがあります。
後藤先生の臨床経験からも、牛肉、大豆、鶏肉は多いということです。手作りゴハンを与えるときは、食材の選び方についてかかりつけ医にアドバイスをもらうといいでしょう。
薬やワクチンへのアレルギーも食品が原因の場合も
食べ物の成分が入っている一部の薬や、牛由来の成分を含むワクチンに対し、アレルギー反応が起こることが。ワクチンアレルギーは、接種後すぐに反応が出る即時型が多いです。
いかがでしたか? 近年では食べ物のアレルギーについては当たり前に知られるようになってきましたが、犬に食物アレルギーがあることはまだまだ知られていないようです。いぬ友さんの愛犬などにおやつをおすそわけするときは、アレルギーの有無についてひと言確認しておくとよいでしょう。
お話を伺った先生/北川犬猫病院院長、ヒフカフェ動物病院獣医師 後藤慎史先生
参考/「いぬのきもち」2022年5月号『犬の食物アレルギーまるわかり』
写真/殿村忠博、小林キユウ、回里純子、Getty Images
文/伊藤亜希子