元気だとばかり思っている愛犬がじつは体の見えない部分に痛みを抱えていたら…。
かわいく見える愛犬のポーズが、じつは“隠れ痛み”のサインであることもあります。犬は痛みを言葉で伝えることができないからこそ、早く気づいてあげたいもの。今回は、“痛み”をかばっている可能性がある立ち方と座り方について、獣医師の枝村一弥先生に解説していただきました。
犬も骨や関節に問題がなければ見た目にもバランスよく立つ・座ることができます。姿勢が崩れていてもたまになら問題ありませんが、いつも崩れている、以前に比べておかしい場合は、痛みが隠れているのかも。無意識のうちに痛みをかばうため、不自然な体勢になります。早期発見のためにも日ごろから観察する習慣をつけましょう。
愛犬の立ち方&座り方チェック
正常な立ち方
イラスト/HaradaRica
前足と後ろ足、それぞれに均等に体重がかかり、横や前から見たときに、四角形となる位置に足を置いている。
●足の向きが左右非対称
それぞれの足の向きや、地面につく位置が左右で異なる場合は、ずらしている足のどこかに痛みやこわばりがあると考えられます。
足の向きが左右非対称の立ち方 イラスト/HaradaRica
●前足の足幅を縮めて立つ
後ろ足に比べて前足の幅を縮め、重心の位置が三角形になるようにして体を支えている場合。前足に痛みがあると考えられます。
イラスト/HaradaRica
●後ろ足の足幅を縮めて立つ
前足の間から後ろ足が見えている状態。かつ、後ろ足を縮めて立っている場合は、後ろ足に痛みや違和感があると考えられます。
イラスト/HaradaRica
正常な座り方
イラスト/HaradaRica
●足を横に流すような座り方
片方の足をずらして座っているときは、ひざの中の靱帯が損傷して、関節内に水がたまっている可能性が高いといわれています。
イラスト/HaradaRica
●お尻をペタンと床につけた座り方
大型犬に多く見られる関節の炎症として、骨盤の左右にある股関節が炎症を起こす股関節形成不全が考えられます。
イラスト/HaradaRica
ここまでご紹介したように、かわいく見えたり、ただのクセだと思っていた立ち方や座り方にも病気を早期発見できるヒントが。ぜひ、日ごろから観察する習慣をつけましょう。
お話を伺った先生/獣医師。博士(獣医学)。小動物外科専門医。日本大学生物資源科学部獣医学科獣医外科学研究室教授 枝村一弥先生
参考/「いぬのきもち」2022年5月号『犬の“隠れ痛み”を見抜くヒント』
イラスト/HaradaRica
文/ヨシノキヨミ