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【獣医師が教える】ダックスフンドの体重管理~なりやすい病気、ダイエット法について

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コロコロと丸くなった身体を左右に揺らし、一生懸命歩いているダックスフンド。街中でよくみかける光景です。とてもかわいい光景なのですが、動物病院に行くと、ほとんどの獣医さんから注意を受けてしまいます。ダックスフンドは、椎間板ヘルニアをはじめ、他の犬種よりも肥満による病気のリスクが高いためです。今回はダックスフンドの肥満とその対策について紹介していきます。

1. ダックスフンドの種類とは?

トイ・プードル、チワワについで、国内の登録品種ランキングで3番目に多いミニチュア・ダックスフンド。ミニチュア・ダックスフンドは、その名の通りミニチュアサイズのダックスフンドです。ダックスフンドはそのサイズから、
・スタンダード
・ミニチュア
・カニーンヘン
の3種類に分けられます。

ダックスフンドの原産国はドイツで、ダックスフンドとはドイツ語で「アナグマ犬」という意味です。狩猟でアナグマを狩るために、巣穴の中に入れるよう四肢が短く品種改良され、その後より小さい動物も狩猟するために、身体の小さいサイズのダックスフンドが品種改良されました。そこで品種改良した犬種の名前を、ミニチュア(小さい)と、カニーンヘン(うさぎ)とつけたのです。
そのような歴史があるため、ドイツ語で「カニーンヘン・ダックスフンド」は、ウサギアナグマ犬という意味の名前になりました。「天才バカボン」のウナギイヌを連想してしまうのは私だけでしょうか。

2. ダックスフンドの平均体重と、体重以外での肥満の評価

ダックスフンドの種類別平均体重

大きさで3種類に分けられているダックスフンドの、種類ごとのおおよその平均体重を紹介します。

スタンダード 9 kg
ミニチュア  5 kg
カニーンヘン 3.5 kg

あくまで平均体重です。犬によって骨格のバラ付きが大きいので、適正体重はその個体により異なります。

体重以外でのタックスフンドの肥満の評価

個体による骨格のバラ付きが大きいため、よほど大きく平均体重から外れていなければ、体重から肥満度の評価はできません。そこで肥満度の評価をするための指標として、BCS(ボディ・コンディション・スコア)が使われています。BCSは、動物の肋骨や腰などの皮下脂肪の量を触れたり視たりすることで、肥満度を評価する方法です。その脂肪の量から5段階に分けられます。

理想のスコアはBCS 3ですが、動物病院でみかける犬猫たちは、大抵やや高めのBCS 3~4です。そして、多くの飼い主は、体重過剰の意識がありません。その大きな理由として、犬猫の肥満は、なかなか顔に現れないということがあげられます。うらやましい話ですが、だいぶ肥満が進行しても、顔は昔と変わらずスッとしたかわいいお顔という犬猫が多いのです。顔ではなく、肋骨や腰骨あたりを触って評価することが大切です。

もちろん神経質になるまで気にする必要はありませんし、多少の体重過剰であれば健康に与える影響もほとんどありません。ただ、BCS 5へと進行しないように、いま愛犬がどのくらいのBCSレベルなのか、理想体重はどれくらいなのかは意識しておいたほうがよいでしょう。※近年、9段階のBCSによる評価方法も導入されてきています。

3. ダックスフンドに多い「椎間板ヘルニア」の原因と予防

ダックスフンドが肥満になったとき、気になる病気として、筆頭にあがるのが椎間板ヘルニアでしょう。椎間板ヘルニアとは、脊椎と脊椎の間にあるクッションである椎間板物質が、脊髄側にはみ出し、脊髄を圧迫することで神経症状を引き起こす病気です。ダックスフンドで多く見受けられる病気です。

ダックスフンドが椎間板ヘルニアになりやすい理由として、「胴が長いから背骨に負担がかかりやすいのだろう」とよく言われていますが、実は遺伝的な原因が大きいと考えられています。ダックスフンドは四肢が短くなるように改良された品種です。ダックスフンドのほかに、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、バセット・ハウンドなども同じように改良された品種です。これらの品種を、「軟骨異栄養犬種」と呼びます。
軟骨異栄養犬種や人間では、椎間板物質にある核が早期に変性することが知られており、これが椎間板物質のヘルニアを引き起こすことがあります。このタイプの椎間板ヘルニアをハンセン1型と呼び、3〜7才の比較的若齢で発症します。一方、老齢性の変化によって起こる椎間板ヘルニアは、ハンセン2型と呼びます。
こういった遺伝的原因が元で起こるタイプの椎間板ヘルニアでは、肥満ではない犬でもよくみられます。しかし、いずれのタイプにせよ、肥満の犬の方が背骨や関節に大きな負担をかけることは間違いありません。椎間板ヘルニアの悪化を防ぐためにも、肥満は避けたほうがよいでしょう。

4.ダックスフンドが 肥満になったときの対処法とは?

愛犬が肥満になった時にダイエットの方法を知っておくことで、病気の予防に繋がります。肥満の原因は摂取カロリーの増加と消費カロリーの減少にあります。それぞれの観点から対処法とコツを考えてみましょう。

1.低カロリーで満腹感を得る

ダックスフンドは、どちらかと言えば食欲旺盛な犬種です。そのため、飼い主が多めにご飯をあげれば、彼らはそれを喜んで完食します。食欲旺盛な犬種のため、単純にご飯の量を減らすと、満腹感を得られず、納得しない子が多いでしょう。そこで、いかに低カロリーで満腹感を得るかがポイントになります。

・減量用フード
満腹感を得つつ、低カロリーであるフードは多く開発されています。いわゆる減量用フードです。食欲旺盛な犬の場合、この減量用のフードでも好き嫌いせずに食べてくれるでしょう。パッケージに書いてある体重の目安量より、やや少なめの量で与えてください。フードによっては、痩せすぎることを防ぐために、現在の体重ではなく、ダイエットに成功した理想体重を目安に1日の必要量を記載しているためです。理想体重は、1才の頃の体重をひとつの目安とします。理想体重をめざし、少しずつフードを減らしていきましょう。理想体重までダイエットを達成したら、最後に与えていたフード量の+10%の量を与えてみてください。リバウンドせず体重を維持するコツです。その後は体重の変化に気をつけながらフードの量を調節しましょう。

・野菜
減量用フードを使っても満腹感が足らない場合は、野菜を使ってみましょう。栄養学的にみると、犬にとって野菜は日常的に必須な食物ではありません。しかし、健康によい面が多く、食物繊維が豊富で、低カロリー、さらに嗜好性も高いという強力なダイエットフードにもなります。キャベツ、キュウリ、ブロッコリー、リンゴなどがオススメです。ただし、タマネギ、ネギ、ニラ、アボカドなどの犬にとって危険な野菜は与えないように注意してください。タマネギの煮汁を舐めただけでタマネギ中毒になったという報告もあります。

2.体重を意識する

ダイエットのコツですが、危険意識をもつかどうかで結果は大きく左右されます。よくあるケースですが、ある程度の努力をしてダイエットをし、1ヶ月経って体重を測定したところ、思いのほか体重が減っていなかったとします。こうなった場合、あの努力は何だったのかとやる気をなくしてしまうことでしょう。しかし、ある程度の努力しかしていなかった自分が悪いのです。「楽してやせたい」、「無理はさせたくない」、でもやせたい。犬猫のダイエットは、自分のダイエットより少し複雑です。
こんな時に試してみたい方法は、こまめに体重を計ることです。努力の結果をこまめに評価することで、早めに方法を修正し、無駄な努力を防ぎます。毎日~数日に一回の体重測定をしてみましょう。そして、面倒だとは思いますが、結果的には一番ラクな方法だと思って、体重の変化を折れ線グラフにしてみましょう。最近ではスマートフォンのアプリでも簡単にグラフを作ることができます。体重の変化を評価し、適切なダイエット方法を組んでいきましょう。

3.運動量を増やす

消費カロリーを増やすには、運動量を増やすぐらいしか方法がありません。しかし、減量に活かすレベルまで消費カロリーを増やすには、かなり多くの運動量が必要であり、摂取カロリーを減らす方法に比べると非効率です。しかし、運動をすることによって、運動欲を満たし、過剰な食欲を抑える効果を期待できます。積極的に散歩をしたり、室内でも運動をさせたりして、運動量を増やしましょう。
ここで注意をしてほしいのが、肥満になってしまった子の急な運動の危険性についてです。体重が過剰な子は、運動時の関節や骨にかかる負担がとても大きくなります。特に久しぶりの運動であった場合、怪我をするおそれがあります。少しずつ慣らすように運動量を増やしていきましょう。また、滑りやすいフローリングで怪我をするケースを多くみかけます。滑りにくいマットを敷いたり、足裏にバリカンをかけ、毛で滑らないようにしたりと対策を立てましょう。

やせすぎたときの対処法とは?

肥満に比べると、ほとんどみかけませんが、たまにやせ過ぎてしまった子をみかけます。それがダイエットのやりすぎであった場合は、徐々に摂取カロリーを増やしていきます。また、肉や野菜などの手作りフードのみで管理している子の場合、摂取カロリーが足りなくなることがあります。ドッグフードを加えるか、高カロリーの食物を加えて調節しましょう。
摂取しているカロリー量が充分であるのにもかかわらず、体重が減少し続けている場合は、糖尿病や腫瘍などの疾患が隠れていることがあります。動物病院で検査してもらいましょう。

5. 肥満は万病のもと

ダックスフンドに限らず、「肥満は万病のもと」です。肥満と診断された犬は、そうでない犬と比べて、約2年寿命が短かったというデータがあります。また、ある飼い主アンケートによると、約3人に1人が犬の肥満を気にしているが、ダイエットを実践できていません。これはかなり高い確率です。そんなときは動物病院で相談してみてください。あまり知られていないかもしれませんが、多くの動物病院では、その子に合ったダイエットプランを作ってくれます。肥満の悩み相談なんてと少し億劫になってしまうかもしれませんが、健康に長生きするため、些細なことでも動物病院に相談できるよう、心がけましょう。


監修/滝田雄磨(SHIBUYAフレンズ動物病院 院長)

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