愛犬の脱走について、考えたことはありますか? 「うちのコは大丈夫」という油断が、脱走につながることもあるので注意が必要です。今回は、犬の脱走理由や脱走対策、万が一迷子になった際の探し方や注意点について解説します。
犬が脱走する理由とは?
犬はなぜ脱走するの?
犬はもともと「獲物を見つけたら追いかける」という習性があり、散歩中に鳥や猫など動くものを発見すると、本能が刺激されて突発的に走り出してしまうことがあります。また、未去勢のオス犬の場合は、ヒート中のメス犬のフェロモンのニオイにつられ、追いかけようとして脱走してしまうことも。
ほかにも、運動・散歩不足などのストレスや好奇心からも脱走してしまうことがあるようです。
犬が脱走しやすいシーン
犬は、以下のようなシーンで脱走することがあるので注意しましょう。
- 雷や花火の音でパニックを起こして脱走した
- 散歩中に首輪が外れて逃げてしまった
- 散歩中にウンチを処理する際、ついリードを離してしまった
- 愛犬を車に乗せる際、嫌がって脱走した
- 玄関のドアを開けたとたん、犬が外に飛び出した など
脱走はしつけやトレーニングで予防できる?
犬の脱走は、原因によってはしつけやトレーニングで予防できるケースもあります。例えば、雷や花火などの大きな音が原因で脱走する場合――。この場合、食事やおもちゃ遊びなど、愛犬が好きなことをしている間に、その音のCDを聞かせて徐々になれさせることで、苦手を克服できることがあります。
しかし、愛犬の脱走をより確実に防ぐためには、室内環境を整えるなどの対策をとることも大切です。では、どう対策すればよいのでしょうか。
犬の脱走防止対策《室内編》
愛犬の脱走を防止するためには、部屋の中からしっかりと対策しましょう。「完全室内飼いだから大丈夫!」という過信は禁物。家にいても犬が脱走するケースは少なくないので、以下の4つのポイントを参考に、対策するようにしてください。
① 危険な所にはゲート(フェンス・柵)をつける
少しでも脱走する可能性がある場所なら、愛犬が近づかないようにゲートなどを設置しておきましょう。ゲートは愛犬が飛び越えられない高さのものを選ぶのがポイントです。
② 目を離すときはハウスの中へ
来客などで愛犬から目を離したすきに、開けていた窓から脱走するケースも少なくありません。愛犬に注意を払えないときは、窓を閉めきった部屋やハウスに入れると安心です。
③ 家の中でも首輪をつける
脱走しようとした犬の体を捕まえるのは、意外と難しいもの。しかし、首輪がついていれば捕まえやすくなるので、家の中でも首輪をつけておくようにしましょう。ただし、かじりグセがある犬の場合は、誤飲・誤食に注意してください。
④ 苦手な音が鳴ったらすぐに対処する
雷や花火など、苦手な音が鳴ったら飼い主さんがうまく対処してあげましょう。苦手な音を聞こえにくくするために、ラジオやテレビの音量を上げたり、愛犬の気をそらすために、おもちゃなどでいっしょに遊んだりするのも◎ 愛犬を安心させるためにも、飼い主さんが落ち着いて接し、ゆっくりなでてあげるのもよい方法ですよ。
犬の脱走防止対策《屋外・散歩編》
では続いて、犬が脱走しやすいといわれる、屋外にいるときにできる脱走防止対策法をご紹介します。
① 「オイデ」「マテ」のしつけ
散歩中など、誤ってリードを離してしまっても、「オイデ」ができれば、愛犬を呼び戻せるので安心です。一方、リードを離してしまい、愛犬が車道の反対側に渡ってしまったという場合には「マテ」が有効でしょう。
このケースで、愛犬の名前を呼んだり、「オイデ」といったりしてしまうと、愛犬が飼い主さんの方に来ようとして、車道に飛び出してしまうおそれが。愛犬に「マテ」をさせている間にそばに近づき、おやつを与えながら首輪とリードを順に持って、愛犬の安全を確保しましょう。
いずれもまずは家の中で練習し、慣れてきたら外で愛犬にリードをつけ、家の中と同じように練習をしてみてください。
② リードの取り扱い方に注意
ノーリードでの散歩はもちろんNGですが、外出先では、リードの取り扱いにも注意してください。例えば、散歩中に愛犬のウンチを処理するときは、誤ってリードを離さないように、リードを足で踏みながら行うとよいでしょう。
また、車に乗せるときに愛犬が興奮する場合は、車から急に飛び出しても脱走しないよう、愛犬をクレートの中に入れてからリードを取り外すようにしてください。
③ 室内飼いにする
最近では外飼いの犬も少なくなってきましたが、犬の脱走を防ぐためには、室内飼いをするのがベストです。また、犬の外飼いはノミ・マダニなどの寄生虫による感染症や、熱中症のリスクなどデメリットも。愛犬の健康や安全面を考え、飼育方法を見直してみましょう。
迷子になったときの捜索法
では、もしも愛犬が迷子になってしまった場合は、どうすればよいのでしょうか。
まずは動物愛護相談センターや警察、動物病院に連絡
まずは、迷子犬を収容する施設である動物愛護相談センターや最寄りの警察署に、愛犬が迷子になったことを連絡しましょう。そのとき、自宅の連絡先や携帯電話番号はもちろん、犬の名前や犬種、年齢、性別、毛の色、体の大きさや首輪の色、いなくなった時間や場所などを細かく説明するようにしてください。写真があればなお良いです。
また、ケガをして運ばれる可能性もあるので、周辺の動物病院にも連絡を入れてみましょう。
散歩コースや行ったことのある場所を探す
犬はかぎ慣れたニオイの場所に行く習性があるので、迷子になったときはいつもの散歩コースや家の周辺を歩いていることが多いといわれています。通行人に愛犬の写真を見せて情報収集しながら、いつも通る道をよく探しましょう。このとき、愛犬の写真のほかに、リードやおやつ、おもちゃを持っておくと役立つことがあります。
まずは上記2つの方法で捜索を開始しますが、この方法でもすぐに見つからない場合は、以下の方法を取ってみてください。
1~2日おきに動物愛護相談センターや警察に連絡を
愛犬が動物愛護相談センターや警察に保護されていても「連絡があった犬に似ていない」と判断されている可能性も考えられます。そこで、1~2日おきに連絡して再度確認してもらうようにしましょう。
また、全国の迷子犬を写真つきで掲載している環境省が運営するインターネットサイト
「環境省収容動物検索情報サイト」をチェックするのも手です。
張り紙やSNSを活用する
愛犬の捜索用の張り紙を作り、犬を飼っている人が集まる近所の動物病院や、ペットショップなどに貼らせてもらいましょう。また最近では、インスタグラムやフェイスブック、ツイッターなどのSNSを活用して愛犬の情報を拡散し、捜索をする飼い主さんもいます。
犬の脱走はリスクだらけ!しっかりと対策を取ろう
愛犬が万が一迷子になってしまったときに、「鑑札」や「迷子札」が首輪についていると、身元がすぐにわかるため、役立ちます。ちなみに、鑑札を愛犬に身につけさせることは法律上の義務ですので、必ず身に着けさせてください。
また、犬の体に識別番号が登録された「マイクロチップ」を埋め込むことも迷子対策として有効です。マイクロチップは動物病院で装着できるので、気になる方はかかりつけの獣医師に相談し、検討してみましょう。
犬には本来帰巣本能があるとされていますが、実際は個体差があり、室内犬の場合はそれが薄くなっているともいわれています。犬の脱走は、迷い犬になってしまうだけでなく、交通事故によるケガや死亡などリスクだらけです。飼い主さんがしっかりと対策を取って、脱走しない環境を作ってあげることが大切です。
参考/「いぬのきもち」2010年8月号『愛犬を迷子・脱走させないためには?』(監修:金子真弓先生)
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『愛犬をとっさの危険から守る「魔法の言葉」とは』
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『【専門家が解説】家の外で犬を飼うとき気を付けたいこと』(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。