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【獣医師監修】犬にしょうがを与えても大丈夫。しょうがを食べるメリットと与え方を解説

しょうがは犬が食べてもよい食べ物です。ニンニクの仲間だと思われがちですが、ニンニクはネギ科、しょうがはショウガ科の植物。しょうがにはニンニクのような犬にネギ中毒を起こす有害物質は含まれていません。犬がしょうがを食べてよい理由と犬に役立つ栄養成分、与える際の注意点を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬は適量ならしょうがを食べても大丈夫

Natikka/gettyimages
「しょうがはネギと同じように犬が中毒を起こす危険な食べ物だから、与えてはいけない」という情報を見かけますが、これは事実ではありません。なぜなら、しょうがはショウガ科の植物、ネギはネギ科の植物。まったく違うルーツと性質をもつ植物なのです。

たしかに、犬はネギや玉ねぎ、ニラ、らっきょう、ニンニクなどのネギ科の野菜を食べると、「ネギ中毒」を起こす可能性があります。原因は、ネギ類に共通して含まれる「有機チオ硫酸化合物」という有害物質です。有機チオ硫酸化合物には、赤血球や赤血球の中にあるヘモグロビンを酸化する作用があり、それによって犬は溶血性貧血を起こしたり、血尿を生じたり、重篤な場合には急性腎不全になることがあるのです。さらに、ネギ類には貧血や胃の不調の原因となる辛味成分「硫化アリル」も多く含まれています。

一方、ショウガ科のしょうがには、有機チオ硫酸化合物や硫化アリルは含まれていません。ネギやニンニクと同様、味付けや薬味に使われることが多く、形状もニンニクと似ていることから、同じように犬に禁物の食べ物だと勘違いされがちですが、じつは犬が食べても問題はありません。犬が中毒を起こす心配がないばかりか、血行促進や抗酸化作用など犬の健康に役立つ栄養素が含まれている食べ物なのです。実際、ドッグフードや犬用サプリメントにもしょうがを使っているものが市販されています。

しょうがの栄養を愛犬のために役立てるために、まずはしょうがの栄養成分を知り、正しい与え方を覚えておきましょう。

しょうがのおもな栄養素|9割強が水分、低カロリー

赤いリードを付けて、緑の景色をバックに岩の上に立って口を開けている白&黒のパピヨン
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
しょうがに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー28kal
水分91.4g
タンパク質0.9g
脂質0.3g
炭水化物6.6g
灰分(無機質)0.7g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がしょうがを食べるメリット|辛味成分と香り成分で血行促進、保温、殺菌・抗菌など

黄色のハーネスを付け、車の助手席に座ってこちらを見ている茶色の中型犬(MIX)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
しょうがには、しょうが特有の栄養成分が含まれています。犬の体に役立つおもな成分と働きを紹介します。

ジンゲロール|抗菌・殺菌、吐き気の抑制、免疫力アップ

しょうがに多く含まれているのが、辛味成分の「ジンゲロール」です。ジンゲロール」には殺菌・抗菌作用、吐き気を抑える作用、免疫力を向上させる作用、さらには鎮痛・抗炎症作用があります。
ジンゲロールは酸化に弱く、空気に約15分触れるだけで3割くらい減少するといわれています。

ショウガオール|血行促進、脂肪燃焼、病気の予防とアンチエイジング

しょうがを加熱したり、乾燥させたりすると、辛味成分の「ジンゲロール」の一部が「ショウガオール」に変化します。ショウガオールには、血行促進や体を温める作用があるので、脂肪の燃焼を促進したり、免疫力をアップさせたりするのに役立つと考えられます。さらに、ショウガオールには、老化や病気の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用もあるといわれています。

ジンゲロン|血行促進、体温の上昇、発汗促進、老廃物や水分の排出

しょうがには清涼感のあるさわやかな香りがありますが、その香り成分がシネオールです。シネオールは、ローズマリーやセイジ、バジリコ、ヨモギなどのハーブにも含まれている成分で、食欲増進や疲労回復、消炎効果があるといわれています。

シネオール|食欲増進、疲労回復

しょうがには清涼感のあるさわやかな香りがありますが、その香り成分がシネオールです。シネオールは、ローズマリーやセイジ、バジリコ、ヨモギなどのハーブにも含まれている成分で、食欲増進や疲労回復、消炎効果があるといわれています。

「しょうが焼き」「ガリ」「紅しょうが」「しょうがチューブ」は大丈夫?

芝生の上、緑と赤のスイカ模様の洋服を着ているミニチュア・シュナウザー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
しょうがを使った料理はたくさんありますが、人間用に調理されたものは、塩分や糖分など調味料で味付けされているので、犬には与えないでください。とくに、注意したいのは「しょうが焼き」。肉と一緒に玉ねぎを炒めてある場合や、タレにニンニクや玉ねぎのすりおろしが入っている場合があるので、絶対に与えてはいけません。

寿司に添えられる「ガリ」や焼きそば・たこ焼きにつきものの「紅しょうが」、チューブに入った「おろししょうが」なども、人間用に食塩や砂糖などで味付けされている場合が多いので、犬に与えないでください。

愛犬の手作りご飯に加えたり、ドッグフードに混ぜたりして与える場合は、自宅で生のしょうがをすりおろして使いましょう。

犬にしょうがを与えるときの注意ポイント|皮にも栄養がたっぷり。生でも加熱でもOK

ケージの中に座り、まっすぐこちらを見ている白いボストン・テリア
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
健康によい食べ物だからといって、毎日たくさん与えるのはかえってよくありません。愛犬にしょうがを与える場合の適量と、与え方について紹介します。

与えてよい部位

しょうがの皮には、辛味成分のジンゲロールルなど栄養成分がたくさん入っています。しょうがの栄養素を余すところなく生かすなら、皮は剥かずにそのまま刻むかすりおろして使います。
ただし、皮には農薬がついているかもしれないので、よく洗ってから使うことをおすすめします。

与えるときの適量

犬の体に役立つ成分が含まれているしょうがですが、しょうがの辛味成分は多量に摂取すれば犬の胃腸に負担をかけることになります。人間もしょうがを食べるときは少量を薬味や味付けのスパイスとして使うように、犬に与えるときもご飯の味付けやトッピングに少し加える程度にしましょう。
目安としては、体重5キロの犬で小さじ1/4程度、10キロで小さじ1/3~1/2程度、15キロで小さじ1程度です。

調理のしかた

生でも加熱でも、どちらを犬に与えてもOKです。
先述したとおり、加熱・乾燥することで、ジンゲオールがショウガオールやジンゲロンという成分に変化して、さらに体によい作用を発揮するので、加熱したほうがいろいろな効果を見込めるかもしれません。

しょうがを犬に与えるときは、細かく刻むかすりおろしてフードに混ぜるのがおすすめです。すりおろした汁だけご飯に混ぜるのもおすすめです。

まれにタンパク質がアレルギー症状を引き起こすことも

食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰反応する現象です。しょうがには、100gあたり0.9gのタンパク質が含まれているので、まれにしょうがを食べてアレルギーを起こす犬もいます。初めて愛犬にしょうがを与えるときは、まず少量与えてみてしばらく様子を観察しましょう。食べて数時間経っても皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐などのアレルギー症状が起こらなければ、その後も与えて大丈夫でしょう。

しょうがはネギの仲間ではないので犬はOK。血流促進、食欲増進、免疫力アップに期待

しょうがは、犬にとって危険なネギ科の植物とは違い、犬が食べても大丈夫な食材です。愛犬の食欲が落ちて心配なときは、おろしたしょうがをフードに少し加えることで、食欲が湧くかもしれません。また、寒い日にはしょうがで体を温め、血流を促すのもよいでしょう。

ただし、過剰に摂取すると豊富な辛味成分が胃腸の負担となり、下痢や嘔吐を引き起こす可能性もあります。人間が料理のスパイスとして少し使うように、あくまで愛犬の主食に少し添える程度の量にとどめるよう気をつけましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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