目や耳が衰えやすいシニア犬にとって、飼い主さんのぬくもりは何よりの安心材料です。やさしく触れて安心感を与えるとともに、年齢を重ねてこわばった体をほぐしてあげましょう。獣医師の佐々木彩子先生にお話を伺いました。
基本の「触れる」とは
シニア犬は視覚や聴覚が鈍りやすいので、突然触ったり上からおおいかぶさるように手を出したりすると怖がってしまうことがあります。「○○、イイコだね」など声をかけてこちらの存在に気づかせてから、低い姿勢になって触れましょう。ふんわりとやわらかな手つきで触れることがポイントです。
こんな「触れる」も取り入れて
日々の暮らしのなかで取り入れたい触れ方をご紹介します。
お手入れ前に不安や体のこわばりを解消
お手入れの前に、なでられても嫌がりにくい肩・背中・胸などを繰り返しなでてあげるとよいでしょう。「イイコね」「キレイキレイしようね」など、褒め言葉や前向きな言葉もかけてあげましょう。愛犬も徐々に不安が消えて、体の緊張もほぐれ、苦手なお手入れを受け入れやすくなりますよ。
褒めるときは「なでる」+おやつで不安を解消
シニア犬は耳が遠くなりやすいので、言葉で褒めるだけでは意味がわからず困惑してしまうことも。褒めるときはやさしくなでて、可能であればごほうびのおやつも与えましょう。年齢を重ねても「また褒められたい」と思わせることが大切です。
マッサージ&ストレッチによる「触れる」テクニック
マッサージやストレッチも取り入れて、体をほぐしてあげましょう。
足の抵抗運動を利用したストレッチ
愛犬を立たせた状態で、ひざに手を当てて真後ろの方向にそっと押します。同時に反対の手で、愛犬の足先を後方に軽く引きます。後ろ足の先がお尻より後ろにきたら手をゆるめ、あとは愛犬自身の力で引き戻させます。前足も同じように、ひじに手を当てて軽く押しながら、前方に伸ばして引き戻させましょう。前後各5回を目安に、起床時や散歩前に行うのがおすすめです。
背骨に沿って指でなみなみマッサージ
首のつけ根からしっぽのつけ根に向かって、背骨に沿って指でなでていきます。指先で波線を描くように、指を開いたり閉じたりするのがポイント。コリやすいシニア犬の体をほぐし、リラックスさせる効果が期待できますよ。加齢により体温調節機能が乱れてのぼせやすくなった体質の改善にも。
「触れる」という行為は、シニア犬にとって欠かせないスキンシップです。愛犬が長く元気に暮らせるよう、ぬくもりをたくさん伝えてあげてくださいね。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(キュティア老犬クリニック獣医師)
参考/「いぬのきもち」2021年1月号『愛犬の心をつかみ、アンチエイジングにも! 3つのキーワードで考えるシニア犬との接し方』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。