命の危険が迫っている、もしくは様子見すると症状が確実に悪化して、その後の暮らしに支障が出るといった犬の病状があります。今回は「外見」でわかるケースを獣医師の重本仁先生に伺いました。万が一愛犬に症状があらわれたときの参考にしてください。
おなかが急にふくれる
おなかの中で大量出血していたり、胃拡張胃捻転を起こしているかも
短時間のうちにおなかが張ったり、ふくれてきたと感じた場合、腫瘍などが原因で、腹腔内で大量出血している危険が
。死に至ることが多い胃拡張胃捻転症候群を発症している可能性もあり、動物病院にて緊急処置が必要です。
口内や歯ぐき、舌が青紫色になっている
心疾患や、呼吸器の疾患で体内の酸素が足りていない状態
口内や歯ぐき、舌など、ふだん赤みがかっている粘膜が、黒っぽい赤や青紫色に見えるようなときは、血液中の酸素量が不足しているサイン。心臓や肺、気管などの疾患が原因の場合が多く、早急に適切な治療を受けないと危険です。
皮膚や歯ぐき、白目が黄色くなっている
肝臓や胆嚢が重度の病気になったサイン
皮膚や歯ぐき、白目のほか、オシッコの色や耳の粘膜などが黄色く見えるときは、いわゆる黄疸の危険が。肝臓病や胆嚢炎などが原因として考えられますが、体内の毒素の代謝を担う肝臓に関する症状だけに、救急処置が必須に。
ちなみに…1、2カ月で体重が15%以上減っていたら、重篤な病気の可能性が
食欲も運動量も変わらないのに、1、2カ月で体重が15%以上減った場合は、救急までいかずとも注意が必要な症状です。糖尿病や腎臓病、肝臓病などの病気の可能性があるため、できるだけ早めに受診を。やせた、太ったという外見のチェックとあわせ、体重も定期的に確認するようにしましょう。
今回取り上げている症状は一例で、紹介している症状でも救急にあたらない場合があります。また反対に、救急ではないとした症状でも急を要するケースもあります。愛犬に気になる症状や異変が見られたら、すみやかに動物病院へ連絡して受診しましょう。
お話を伺った先生/王子ペットクリニック院長 重本 仁先生
参考/「いぬのきもち」2022年7月号『今すぐ受診すべき緊急症状』
イラスト/太田麻衣子
文/いぬのきもち編集室