地震大国であり、風水害も増加している昨今。災害に備え、愛犬を守るために準備をし、心構えをもつことは飼い主の責務です。防災のプロは、どんな「備え」をしているのでしょう。今回は、防災士の浜田あゆりさんの防災バッグの中身をご紹介します。
「各家庭に合わせた防災バッグ、防災対策をしていくことが大切です」
何を優先するかは世帯構成によって異なる
非常用持ち出し用品は、世帯構成などをもとにそれぞれ優先順位を設け、最低限のものを選択して持ち出します。浜田あゆりさんもその点を大切にしています。
「私の場合、基本的には一人で愛犬3頭を連れて避難するようになります。最初に必ず持ち出すのは、防災仕様にしているふだんの散歩バッグ。リュックサックは備え用の2次バッグにしています。また、持ち出し用の備えは3日分が理想ですが、3頭と暮らす私の場合は次の行動を起こすまでの食量として、1.5日分にしています」
浜田さんの防災バッグの中身
はぐれてしまったときのための「愛犬情報」
連絡先、名前、愛犬の特徴や性格などを記入。また写真は、愛犬はもちろん、愛犬といっしょに写った自分の写真も載せておくことで、飼い主であることを証明できるようになります。
愛犬が服用している「薬」は必ず準備
継続的に服用している薬や療法食の備えは、愛犬の健康や命にかかわることのため、備えが必要。また浜田さんは薬に加え、ちょっとした傷や肉球を保護できるテーピングも備えています。
何かと使える人用の「防災セット」
ペンライト一体型ホイッスル、マスク、防寒のためのレスキューシート、消毒スプレーなど、こまごましたものをひとつのポーチにまとめた人用の防災セットがあると便利です。
持ち出し用も必ず準備したい「フード」とおやつ
水、フード・おやつは必須。余裕があれば食器類も。水筒には、暑い時期は氷水を、寒いときは熱湯を入れるそう。また、ウエットフードも水分補給になるため、ドライフードとは別に準備しておくのがおすすめです。
ときに命綱となる「寒さ・暑さをしのぐもの」
災害は季節を選んではくれません。寒さや暑さは、人だけでなく犬にとっても命にかかわる問題。振るだけ・濡らすだけで冷えるアイテムや保冷剤、防寒にもなるマットや湯たんぽなどを準備。
「エチケット用品」で避難先にも配慮
避難先などで犬も受け入れてもらうためには、環境を清潔に保つことを心がけ、マナーを守ることが大切。タオルやウンチ袋、消臭剤、ウエットティッシュは必須です。
「ジッパーつき保存袋」をフル活用する
雨で濡れてしまわないよう、また使用頻度の高い袋をストックするという観点からも、密閉できる袋に小分けしておくのがおすすめです。
ふだんの散歩バッグもいっしょに持ち出す防災仕様に
「出先で被災することも充分考えられますから、ふだんの散歩バッグ、また少し遠出するとき用のバッグも防災仕様。音での呼び戻しやストレス発散もできるおもちゃと、スリングをプラスしつつ、防災バッグの中身をさらに厳選コンパクトに。愛犬情報は同じものを入れています」
防災の専門家のバッグの中身を参考にして、足りないものは準備しておくと安心ですね。
お話を伺った方/防災士、愛玩動物飼育管理士 浜田あゆりさん
参考/「いぬのきもち」2022年9月号『本当に必要な防災の備え』
写真/伊東武志
文/川本央子