吠えなどの困りごとは、つい感情的な言葉をかけがちですが、愛犬を興奮させるだけなので逆効果ってご存じですか? 否定せず、してほしいことを犬が理解しやすいように「ひと言」で伝えると、困りごとが解決し、関係性もアップします。そこで「伝わる! ひと言しつけ」の方法を、ドッグトレーナーの戸田美由紀先生に教えていただきました。
ひと言こそが犬にはイイ理由
愛犬は大好きな飼い主さんの言うことを理解したくて一生懸命聞いています。ですが複雑な会話は理解できません。「ひと言」なら犬も理解しやすく、何をすべきかがすぐに伝わります。
●ひと言だから伝わりやすい!
人と同様、要点を押さえた短い言葉は犬にとってもわかりやすいものです。しつけにおける要点とは、愛犬に「何をしてほしいか」ということ。愛犬がとるべき行動を「ひと言」にまとめれば、グッと伝わりやすくなります。
●ひと言で関係性UPになる!
「ダメ」と言って行動を抑制するより、してほしいことを「ひと言」で伝えるほうが犬は理解しやすいです。そうすると飼い主さんから愛犬への声かけもポジティブなものが多くなり、愛犬のやる気も上がって関係性向上にも◎。
●コツは3つだけ!
1 .短くひと言で!
2 .否定的な言葉はNG!
3 .愛犬に「何をしてほしいか」を伝える
ここからは具体的なシーンとひと言しつけについてお伝えします。
シーン1 ソファにのぼらないでほしいときのひと言=「オリテ」
撮影/尾﨑たまき
愛犬がソファにのぼろうとしたら、「オリテ」と言って床に降りるよう指示しましょう。繰り返すうちに「ここはのぼれない場所なんだ」と覚えます。ちなみにソファの買い替え予定がある場合は、愛犬にのぼりグセがつかないよう、古いソファでしっかり練習してからがベター。
【ネガティブワードの例】
「何度言えばわかるの!?」
「コラッ、危ないっ!」
【プラスの対策】ソファをフェンスで囲っておいても
撮影/尾﨑たまき
すでにソファにのぼる習慣がついている犬の場合、飼い主さんが座らないときはソファをフェンスで囲って固定しておいたり、座面をふさぐなど、物理的にのぼれない対策が◎。
シーン2 帰宅時に飛びついてくるときのひと言~=「……ただいま」
撮影/尾﨑たまき
大好きな飼い主さんが帰ってきたとあれば、愛犬の興奮も高まりやすい状態です。大げさに対応すると余計に興奮をあおるので、あえて落ち着いた声で「ただいま」と声をかけましょう。飼い主さんの冷静さにつられて、愛犬の興奮も落ち着きやすくなります。
【ネガティブワードの例】
「やめてってば!」
「落ち着いてよ!」
【プラスの対策】吠えた場合は背中を向けて
興奮しすぎて吠える犬の場合は、背中を向けて反応しないようにしましょう。「吠えている間は飼い主さんに相手をしてもらえない」と伝わり、興奮が静まりやすくなります。
シーン3 リードを引っ張るときのひと言=「トマッテ」
撮影/尾﨑たまき
愛犬がリードを引っ張るままにさせるのは、思わぬ事故に巻きこまれる危険も。リードの持ち手を握りこみ、愛犬を興奮させないように抑えた声で「トマッテ」と言ってその場で立ち止まりましょう。繰り返すうちに「引っ張ると前に進めない」と伝わるように。
【ネガティブワードの例】
「引っ張らないで!」
「ダメだってば~!」
「そっちじゃないでしょ!」
【プラスの対策】引っ張ったらすぐにターンする手も
その場で立ち止まらず、愛犬がリードを引っ張るたびに、引っ張られた方向と反対向きにターンして進んでもOK。「引っ張ると思った方向に進めなくなる」と伝わって、引っ張り防止に役立ちます。
いかがでしたか? つい発してしまいがちな「ネガティブワード」を言い換える意識をもって、困りごとに向き合ってみましょう!
お話を伺った先生/日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、DOG IN TOTAL主宰 戸田美由紀先生
参考/「いぬのきもち」2022年9月号『伝わる! ひと言しつけ』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室