人と共に暮らし、日々さまざまなストレスと向き合っている犬たち。ストレスの対処法はさまざまですが、今回は生活するうえで慣れた方がいいストレスの中から、「人に対するストレスと、ほかの犬に対するストレス」について、慣れさせ方や注意点などをナカムラ・ドッグ・スクール主宰の中村太先生に伺いました。
「慣れたほうがいいストレス」って何?
犬にとってはストレスになることでも、生きていくうえでかわすことが難しいのならば、楽しく生活をするためにも「慣れた」方がいい場合があります。例えば、人やほかの犬に対するストレスや、お手入れをされるときのストレスなどです。
こういったストレスを乗り越えるためには、ストレスの元になっているものやストレスを感じる状況に対し、徐々に慣れさせる必要があります。
人に対するストレス
人間社会に溶け込んで暮らすためには、人との関わりは欠かせません。家族以外の人への恐怖心や警戒心を減らすことで、ストレスのない生活につながります。
自宅でできること
人に慣れていない犬は、自分のテリトリー(家)に家族以外の人が入ってくることに対して、ストレスを感じやすいといわれています。そこで、自宅に人を呼び、愛犬を別室で待たせることを繰り返してみましょう。来客が自宅にいる状況に慣れ、人は怖くないと教えることで、人に対してのストレスを感じにくくなります。
また、生後半年未満の子犬の場合は、来客からおやつを与えてもらうことを繰り返し、人そのものに慣れてもらうのも有効ですよ。
自宅外でできること
散歩中、飼い主さんがすれ違う人に笑顔であいさつをすると、愛犬は「飼い主さん以外の人を怖がる必要はない」と覚えていきます。これを続けると人とすれ違う状況に慣れ、ストレスも減っていくはずです。
もし愛犬が極度の人嫌いなら、人が少ない時間帯に散歩をするなど、人に会う機会を極力減らしながらゆっくりと時間をかけて慣らしていきましょう。
ほかの犬に対するストレス
ほかの犬が苦手だと、毎日の散歩がストレスになります。外を楽しく歩くためにも、ほかの犬に慣れておくことはとても大切です。
散歩中にできること
散歩中にほかの犬に出会った場合は、飼い主さんに笑顔であいさつしつつ、立ち止まらずにすれ違いましょう。愛犬は「相手を警戒する必要はないんだ」と覚えるので、ほかの犬を見ても徐々にストレスを感じにくくなります。
また、人や犬に慣れさせるためにと、散歩中などにいきなり近づけたりあいさつを強要したりするのはNGです。強いストレスになるうえ、トラウマになってしまう場合もあります。ストレスに慣れるためには「弱い刺激から徐々に」が鉄則です。
犬の預かり施設を利用する手も
ほかの犬が苦手な場合、家庭犬しつけトレーナーが在籍している犬の「幼稚園」や「保育園」と呼ばれる犬の預かり施設に通うのもおすすめです。
トレーナーの管理下で犬同士の触れ合い時間を設けている施設なら、ほかの犬がいてもストレスを感じにくくなっていくでしょう。
人やほかの犬に対するストレスには慣れておいた方が、犬は幸せに暮らせます。ただ、慣れさせようとがんばりすぎるのはよくありません。「ストレスを感じにくい」レベルを目指せれば十分なので、愛犬に無理をさせすぎないよう気を付けましょう。
お話を伺った先生/中村太先生(ナカムラ・ドッグ・スクール いぬのようちえん主宰)
参考/「いぬのきもち」2022年10月号『緊張だらけの日々が、楽しくHappy♡に 犬のストレスは「かわす」「慣らす」が正解だった!』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。