家具の足を噛む、壁をはがすなど、愛犬のイタズラに悩まされている飼い主さんは多いもの。しかし早いうちに直さないと、おとな犬やシニアになってもずっと続いてしまうことがあるんです。そんな愛犬の困ったイタズラをやめさせる方法について、家庭犬しつけインストラクターの西川文二先生に伺いました。愛犬の年代別に対策が変わりますので、子犬期→成犬期の順にご紹介します。
子犬のイタズラ対策は?
【対策1:イタズラされると困るものは届かない場所にしまう】
何事にも興味津々な子犬期は、部屋の中に置いてあるもののすべてが気になります。とくにイタズラされがちなゴミ箱やティッシュ箱は、犬が触れやすい場所に置いてあることが多く、好奇心旺盛な子犬にとっては気になる存在。鼻で突いたりしているうちに中から物が出てくるが楽しくなって、イタズラが始まりがちです。
一度でも楽しいイタズラを経験させると、その後も続く可能性が高まってしまいます。イタズラされると困るものは、愛犬の足や口が届かない場所にしまうのが基本の対策です。しまうのが難しいゴミ箱はフタつきのものに変えると、中身が見えにくくなるうえ、好奇心を刺激するニオイも減るため、イタズラしにくくなります。
【対策2:イタズラ防止に効く、ハウスやマッテ、オイデを教える】
飼い主さんがちょっと目を離したすきにイタズラをしてしまうなら、その場から動かないようにする「マッテ」や、イタズラするものに向かおうとしている愛犬を呼び寄せる「オイデ」などの指示しつけを教えて防ぎましょう。
愛犬から少し目を離すときには、イタズラしないようにマッテを指示するのが効果的。長い時間見られないときや、マッテができない犬はハウスに入れましょう。
おとな犬のイタズラ対策は?
【対策1:飼い主さんのそばにいるとイイコトがあると覚えさせる】
おとな犬(成犬)になると、子犬のころよりも好奇心が減り、何かを試したい気持ちも減っていきます。新たにイタズラが始まることは少ないでしょう。まだイタズラをするのは、子犬のころからしているイタズラがクセになっている可能性が高いです。
そんな犬には、飼い主さんに注目してもらう時間を増やすと、余計なものが目につきにくくなります。
飼い主さんが触れられる距離まで愛犬が近づいてきたときに、毎回おやつを与えると、「イタズラよりも飼い主さんを見るとイイコトがある」と伝わり、イタズラ防止に役立ちます。おやつを与えやすいように、家の中ではポーチをつけておくとよいでしょう。
【対策2:犬の本能を刺激する遊びで、イタズラへの関心を薄れさせる
そもそもイタズラは、犬の本能的な行動からくるものです。本能を刺激する遊びを行い、イタズラへの関心を薄れさせると防げます。
たとえば、愛犬が好きなカミカミおもちゃに長いひもを結び、おもちゃの部分を持って愛犬に見せたら、遠くに投げて追いかけさせる遊びがおすすめです。愛犬がおもちゃを追いかけて噛んだら、飼い主さんがすかさずひもをたぐっておもちゃを持ち、引っ張りっこをする要領でおもちゃを左右や手前に動かすとよいでしょう。最後は愛犬の鼻先におやつを近づけて、おもちゃと交換して終わらせます。
叱るのはNG!適切な方法で改善を目指して
いかがでしたか? イタズラは年齢を重ねるほどガンコな困りごとになるので、早いうちからの対策が肝心です。でも、覚えておいてほしいのは、犬は飼い主さんを困らせたくてやっているわけではないということ。本能に従った行動をしているだけなので、叱ったりしてもイタズラはおさまりません。
愛犬の気持ちをきちんと理解して、ご紹介したような適切な行動をとれば、イタズラは直るはずですよ。
お話を伺った先生/Can! Do! Pet Dog School代表 家庭犬しつけトレーナー・西川文二先生
参考/「いぬのきもち」2018年3月号『年代別 愛犬の困りごとランキング』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室