「しつけ」は愛犬をさまざまな危険やトラブルから遠ざけ、命を守るために絶対に必要なものであり、そのことを知っていれば「面倒」「かわいそう」とは思わないはず。今回は、人との暮らしで避けられないストレスから愛犬を守るしつけを、獣医師でペットドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました。
【場所慣れしつけ】不慣れ、苦手な場所への不安から守れる!
旅行先や動物病院など不慣れだったり苦手だったりする場所に対する不安を減らすのが、場所慣れしつけ。あらかじめ慣れさせる工夫をすることで、ストレスを軽減できます。
愛犬が大丈夫な場所をゆっくりと着実に広げていく
初めて行く場所や苦手な場所の近くでおやつを与え、大丈夫そうならもう少し近くでおやつを与えます。それを繰り返して慣らしましょう。
動物病院であれば、中に入れるようになったら看護師におやつを与えてもらうのも有効。
【人慣れしつけ】苦手な人に会う恐怖から守れる!
人慣れしつけとは、苦手な人に慣れさせて恐怖心を少なくするしつけ。散歩やお出かけなど、人との生活では多くの人に会うので、このしつけをすることでストレスを減らすことができます。
苦手な人から〝最上級のおやつ〞をもらう
愛犬が苦手とする人に協力してもらい、遠くから愛犬のいちばん好きなおやつを投げてもらいます。「愛犬が食べる→投げてもらう」を何度も繰り返しましょう。
しだいに緊張が解け、愛犬が自ら近づいていくので、それをやさしく見守って。このしつけをしておくと、人への警戒心が薄れてストレスを感じにくくなります。
【留守番慣れしつけ】一頭だけでいるストレスから守る!
留守番によるストレスは、飼い主さんがいないことによる極度の不安や退屈などが原因です。その不安や退屈の対策をして慣らしておくのが留守番慣れしつけです。
安心できる場所&おもちゃを用意する
留守番中だけケージに入れるなどは、愛犬が安心できない場所で待つことになるのでNG。愛犬がふだんから使っているベッドやハウスに、暇つぶしができるおやつ入りのゴム製おもちゃを置いておくと、精神的に安定しやすく、留守番中もストレスを感じにくくなります。
【車慣れしつけ】恐怖や車酔いから守る!
得体の知れない音がする、いつもと違うニオイがする、急に動くなど、慣れないことばかりで車が苦手な犬は多いでしょう。車酔いはそうした不安や恐怖などのストレスからくることも多いので、慣れるようにしつけておくとよいでしょう。
車のすべてのドアを全開にした状態から慣らしていく
いきなり車に乗せて走るところから始めると、失敗しやすいです。まずは停車した車のドアを開けた状態→窓を開けた状態→ドアと窓を閉めた状態の順で、おやつを与えながら慣れさせましょう。これで車に乗ることが平気になったら、短い距離から車を動かして慣れさせて。
※「車慣れしつけ」をするときは愛犬に首輪・ハーネスとリードを装着しましょう。また、実際に車を動かして慣れさせるときは、必ずクレートやキャリーケースに入れましょう。
いかがでしたか? 人との暮らしのなかでは、完全に避けることが難しいストレスもあるでしょう。だからこそ、しつけでそのストレスを軽減してあげたいものですね。
お話を伺った先生/英国APDT認定ペットドッグトレーナー・獣医師 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2023年2月号『守るしつけ』
写真/中川文作
イラスト/SORRY.
文/いぬのきもち編集室