愛犬がお手入れを嫌がるのは、やり方に原因があるかもしれません。お手入れがうまくいかないとき、犬目線になるとその理由が見えてきます。そこで今回は、犬がお手入れを嫌がる原因と解決策について、ドッグトレーナーで獣医師の藤本聖香先生にお話を伺いました。
歯ブラシやブラッシングを嫌がる理由と解決策
真剣な表情・不慣れな道具でのお手入れは、犬が嫌がる原因に
飼い主さんが真剣な表情で真正面からお手入れしようとすると、愛犬はそれだけでいつもと違う雰囲気を察し、緊張して身構えてしまいます。また、犬にとっては歯ブラシなどのお手入れ道具は“未確認物体”です。そんなものが目の前に迫ってきたら、恐怖でしかありません。
お手入れ前に飼い主さんは深呼吸、道具は犬に“確認”させよう!
愛犬のお手入れをするときは、深呼吸して笑顔を意識しましょう。真剣な表情やにじみ出る緊張感がやわらぎ、愛犬がむやみに不安がることもなくなります。また、お手入れ道具に慣れさせるため、まずは愛犬に歯ブラシなどを見せてニオイをかがせたり、なめさせたりして、愛犬に「これは怖くない」と確認させてからお手入れをしましょう。
ブラッシングや足拭きを嫌がる理由と解決策
人の腕を上げるように犬の足を高く持ち上げるのは、犬が嫌がる原因に
足先を触られるのが嫌な犬は多いです。そんな敏感な足を高く持ち上げたり、横に広げたりしてお手入れしようとすれば、犬にとって「痛い」「触られたくない」という思いから、お手入れがどんどん苦手になってしまいます。また、足先やしっぽ、お尻などの敏感な部位からお手入れするのも嫌がる原因の一つです。
嫌がりにくい部位から、嫌がらない姿勢でお手入れを
お手入れをする際は、背中や肩など犬が嫌がりにくい部位を先に、敏感な足先はその後や途中で、ついでにサッと行うようにしましょう。お手入れしたらその都度ほめて、ごほうびを与えて。また、足のケアをするときは、足を高く持ち上げたり横に広げたりせずに、ひじ(ひざ)から下を軽く前方に上げて行いましょう。足裏が下、もしくは後方に向くのが犬にとって痛くない姿勢です。
シャンプーを嫌がる理由と解決策
犬はシャワーから出る水を本能的に「嫌だ!」と感じがち
シャンプーの際、シャワーから水が出るさまは、犬目線では豪雨の中にいるようなものです。シャワーの音や水がバチバチと当たる感覚が本能的に苦手で「嫌だ!」と感じがちに。
シャワーヘッドにスポンジを当てて水をかけるのが○
シャンプーをする際は、ジャージャー、バチバチと音を立てて水滴がかからないよう、シャワーヘッドにスポンジを当てて。スポンジを当てたままシャワーヘッドを体に密着させて水をかけるとよいでしょう。
お手入れ全般を嫌がる理由と解決策
お手入れ=「イイコトがない」だと、お手入れ嫌いになりがち
ブラッシングや歯みがきなどのお手入れは一度にまとめてやりがちですが、たとえ愛犬が激しく嫌がるそぶりを見せなくとも、犬目線では「イイコトがない」「我慢の限界」と感じて、お手入れ嫌いになる可能性があります。
長もちするおやつを与えつつお手入れを
犬用ガムやおやつを詰めたおもちゃなど、長もちするおやつを与えながらお手入れすれば、犬にとって“イイコト”がずっと起きている状態を維持できます。ただし、長時間やりすぎると嫌がるので、飽きたり嫌がったりする前に終わらせるようにしましょう。
お手入れを嫌がる理由を犬の目線で考えてみると、解決策が見えてきます。愛犬の気持ちを理解して、苦手なお手入れの克服に役立ててくださいね。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考/「いぬのきもち」2023年3月号『うまくいかないのは、飼い主さんのやり方が原因だった!?犬目線でわかった!うちのコがお世話を嫌がるワケ』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。