我流では思うように解決できない愛犬の吠え問題。とくに成犬は、頑固なクセになってしまっているケースも……。そこで、プロのトレーナーが成犬の吠えグセ直しを指南。今回は、散歩に行きたい、かまってほしいといったおねだり吠えの直し方を中村太先生に教えていただきました。
かん高い大きな声、しかも2頭でおねだりしてくるので困っています(M.K.さん)
「帰宅した際に吠えたときは声をかけずに無視をしたり、外で吠えたときはおやつを見せて気をひいたりしているのですが、いずれもあまりうまくいきません。吠え声がかん高いので、夜間や屋外では気をつかいます……。」
無視はあきらめて、犬の動きを封じる方法で吠えをストップ!
要求吠え直しには無視がセオリーとされていますが、M.K.さんの場合、2頭とも若くエネルギーもあるので無視しきれない可能性が。また、吠えているときに動き回ると吠え方や興奮がエスカレートしやすいので、無視ではない方法で、かつ犬の行動を制限する方法で吠える場面を減らしていきましょう。
飼い主さんの帰宅時の吠え直し
帰宅してすぐは無視することも。一時は静かになりますが、こちらの着替えなどが一段落すると、再び吠えだします。
【先生より】「帰宅したらクレートに入れる」を新習慣に!
サークル内を行き来していると吠えが激化しがち。無視したりしなかったりというあいまいな態度も避けたいのでクレートを利用しましょう。
帰宅したら真っ先にクレートへ入れて。その後は犬をかまわない!
帰宅直後、1頭ずつクレートへ入れて扉を閉めます。そのあとは多少吠えても声をかけずに自分の着替えなどをすませて。着替えを終えたら、ごほうびとしてふれあいます。
犬によっては、無視ではなくひと声かけるだけで吠えが落ち着くケースも
犬によっては、無視されるよりも「ただいま」「ちょっと待ってて」などひと声かけたほうが吠えやむ場合も。声をかけられることで気分が高揚するタイプには不向きな方法なので、よく見きわめて。
散歩の要求吠え直し
朝、洗濯物を干し終えたら散歩に行くのですが、2頭はその〝流れ〞を完全に学習。干しに行こうとすると吠え始めます。
【先生より】散歩前後のルーティンに変化をつけよう
生活のルーティンを大きく変えるのは難しいので、ほんの少しだけ順番や内容を変えて散歩のタイミングを悟られにくくし、吠えを防いで。
【順番を逆にする場合】散歩の順番を入れ替える
洗濯物を干す前に散歩へ行けば、いつもの順序と逆になるため吠えにくくなるはず。決まったルーティンにならないよう、ときどき順番を入れ替えると◎。
【別の動作をくわえる場合】事前にクレートへ入れる
洗濯物を干す前にクレートに入れるようにすれば、いつもの生活に変化をつけられるだけでなく、愛犬の行動も制限。たとえ吠えても激しくなりにくいので一石二鳥。
かまって!吠え直し
抱っこしてほしくて飛びついて吠えたり、散歩中に気になる人を見つけるとかまってほしくて吠えたりします。
【先生より】「指示に従ったらかまう」を新習慣に!
一日の中でタイミングが決まっていない要求吠えは、犬の動きを制限できる指示を出し、それに従ったら要求をのむようにします。
オスワリやフセなどを指示し、それができたらかまう
オスワリやフセ、ハウスなどを指示して、それができたら愛犬の要求をのみます。繰り返すと、自分の要求があるときは先回りして、オスワリやハウスなどをして静かに待てるように。
他人にかまってほしくて吠えるときも指示に従わせて
人に吠えそうなときは飼い主さんがオスワリやフセ、マッテを指示。従ったら「OK」を出して、相手になでてもらいます。
いかがでしたか? 時には要求吠え直しのセオリーでもある「無視」をあきらめ、愛犬の行動を制限することで直していく方法もあるんですね。無視では効果がないときは、ぜひ試してみてください。
お話を伺った先生/「ナカムラ・ドッグ・スクール」「いぬのようちえん」主宰 中村 太先生
参考/「いぬのきもち」2023年4月号『しつこい吠えグセ しつけトレーナーと直しまSHOW!』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室