この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、肝臓と心臓に疾患をもちながら、新しい飼い主さんのもとでけなげに生きる松ケンくんのお話です。
パートナーと協力してお世話を担当
現在松ケンくんは、肝臓の機能を維持する薬など3種を服用していますが、薬を飲むのが大嫌いで、最初はちょっと苦労したそう。
「ふだんはクールでおとなしい松ケンですが、投薬のときは全身をバタつかせて拒絶するので、いろいろ工夫が必要でした(笑)。心臓のほうは、冬場の急激な温度差から体を守る必要があるので、防寒にはとても気をつかっています」
そしてTさん家のルールとして、松ケンくんを家でひとりぼっちにさせないことも徹底。Tさんのパートナーは自宅でリモートワークができるので、Tさんが仕事で外に出ている間はお世話を担当します。
「私は1日にシッターの仕事が3~4件ありますが、合間の時間が1時間でもできたときは家に戻り、松ケンや愛猫たちの様子を見るようにしています」
Tさん家で愛情を一身に受けて暮らす松ケンくん、最初はTさんに甘えるそぶりを見せなかったそうですが、今では何かあればすぐにTさんのそばに来て甘えてくるとか。
肝臓と心臓のケアが必要な松ケンくんのお世話と工夫
肝臓と心臓両方のケアが必要な松ケンくん。まず気温差から体を守り、体を冷やさない工夫をします。そして、食欲にもムラがあるため、常に数種類のフードを用意して、栄養をしっかりとらせるようにします。
急激な寒さは心臓に負担をかけるので、家ではヒーターを常に活用。犬が近寄っても安全で、電気代も節約できるものを探し回った結果、アラジン社の遠赤外線ヒーターが、暖まるまでの時間も短く最適だったそう。
胃腸が弱くおなかを壊すことが多い松ケンくんは、トイレシーツまで間に合わないことが。そんなときのため、小型のタイルカーペットを敷き、すぐに洗えるようにします。
寒い季節には室内でも保温性のあるウエアを着せて、寝るときには湯たんぽを入れてあげます。かわいいデザインの湯たんぽや、クマのモチーフのウエアなど、選ぶのもTさんの楽しみのひとつに。
ふだんは錠剤をペースト状おやつでコーティングして飲ませますが、それでもダメなときは、ピルガンを使用。注射器のような器具の先端に錠剤をはさみ、口の中に入れて飲ませることができます。
体調によって食欲が落ちることがあるので、シニア犬用ドライフードやウエットフードを数種類用意して、その日の体調に合ったものを選びます。ドライフードは1回10gを1日3回与えています。
※掲載の情報は『いぬのきもち』2023年3月号発売時のものです。
次回は、松ケンくんとのこれからの生活について、Tさんの思いをレポートします。
出典/「いぬのきもち」2023年3月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
取材協力/大師前どうぶつ病院
写真/尾﨑たまき
取材・文/袴 もな