犬の健康長寿に大きな影響を及ぼす「体のゆがみ」。一度体がゆがんでしまうと、バランスのいい体に戻すのはとても難しいそうです。
今回は、犬の「体のゆがみ」とは一体何なのか、体がゆがむとどんな影響があるのかなどを、動物看護師の清水佐知子先生に伺いました。
「体のゆがみ」って何?
犬の「体のゆがみ」は、長い時間同じ姿勢をとっていたり、崩れた姿勢で過ごすのがクセになっていたりなど、偏った体の使い方をした結果、筋肉のバランスが悪くなることで起こります。
犬の体がゆがむと、体の一部のみに負担がかかることにより、さまざまな不調があらわれます。また、一度体がゆがむと、正常な状態に戻すのはなかなか大変です。
犬の体がゆがむとどうなる?
老化を早める
前述したとおり、体にゆがみが生じていると、体の一部分のみに負荷がかかりやすくなってしまいます。体重が前足に大きくかかる犬の場合は、体のゆがみが前足への負荷を高め、後ろ足がさらに弱っていく原因になるケースも。改善しないと自力で歩けなくなる時期を早め、体力や筋力の低下などにつながります。
痛みが連鎖していく
体の一部のみにかかっていた負担が痛みとなってあらわれると、次はその部位をかばおうとほかの部分に力が入り、そこにもまた不調や痛みがあらわれていくという悪循環に陥ります。
疲れやすくなる
体にゆがみがあると、内臓や組織などを圧迫し、血の巡りが悪くなることがあります。血行不良は体のコリにつながり、老廃物が溜まりやすくなることで、疲れやすさを感じるようになるケースも。シニア犬は、疲れやすさが運動意欲の低下にも直結するので、あなどれません。
ケガをしやすくなる
ゆがみによる体のコリやかたさは、可動域の狭さでもあります。体の動かせる範囲が狭いと、周辺の筋肉や靱帯に負荷がかかり、ケガのしやすさにつながるのです。
生活習慣やクセがゆがみの原因に
犬の体がゆがむ原因は、ケガや病気、生活習慣や単なるクセなど、1つではありません。ケガや病気が原因なら、治療によって原因の根っこにアプローチをかけることが重要です。それに対して、生活習慣やクセが原因の場合は、日々の習慣を改め、意識的にケアをしてあげることで、体のゆがみを解消したり、進行を食い止めたりすることができるでしょう。
体のゆがみを誘発する習慣
・散歩の際、リードを前に引っ張って歩く
・散歩の際、飼い主さんのポジションが左右どちらにつくか決まっている
・滑りやすい床で生活をしている
・オテはよくするものの、オカワリはしない
1つでも当てはまる習慣があれば、ゆがみ予備軍だといえるでしょう。体の一部ばかりに負荷をかける生活習慣や、左右どちらかだけなど偏った動作を繰り返すこと、姿勢が崩れやすい・体制を変えにくい住環境などは、犬の体をゆがませる原因となります。
愛犬の健康に直結する「体のゆがみ」。ふだんからケガや病気に気を配り、筋肉のバランスが崩れるような生活習慣がないかなどにも気を付けてあげましょう。
お話を伺った先生/清水佐知子先生(犬の訪問ケア「ドッグケア スマイル」主宰 動物看護師 ドッグアナトミー整体師 ペットケアマネージャー ドッグリハビリトレーナー)
参考/「いぬのきもち」2023年3月号『体の“クセ”を整えて健康長寿を目指そう! 犬のゆがみケア』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。