犬の困りごとのなかには、少々恥ずかしくて人に言えなかったり、共感を得られにくいものも。そんな飼い主さんの切実なお悩みに獣医師兼トレーナーで、犬の問題行動にもくわしい藤本聖香先生が答えてくれました。今回は「食フン・飲尿」に関するお悩みをご紹介します。
どうして「食フン」「飲尿」をするの?
●理由はさまざまですが、野生時代の名残の行動でもあります
「食フンや飲尿は、じつは人が思うほど異常な行動ではありません。もともとは排泄物の痕跡をなくして敵から身を守るためなど、野生の名残による行動といわれています。また、本能として母犬は子犬の排泄を促すためや清潔にするためにウンチやオシッコを食べたり飲んだりすることで処理しているので、犬からすれば特別なことではないのです」(藤本先生)
【お悩み1】食フンしないように排泄したらすぐ片づけるようにしたら、お尻から食べようとするようになりました…
「食フンは生後2カ月のころから。排泄をこっそり見てウンチを食べる前に無言で片づけるようにしたら、次はこのありさまです……」(埼玉県/Y.N.さん)
飼い主さんの切実さが「意地でも食べたい」と思わせているかも!?
あわてず対応しているようですが、ウンチの取り合い合戦になっています。食べようとしたら、ウンチより魅惑的なおやつを遠い場所に投げて食べているうちに片づけて。処分したら再度おやつを与え、ウンチを片づけたらごほうびをもらえると覚えさせましょう。
【お悩み2】家族がいる前では食べず、みんなが寝静まった夜中にウンチをして食べるように…
「生後3カ月のころから食フンが始まり、やめさせようとしたからか、家族の前では食べないように。でも、隠れるように夜中にウンチをして食べています」(東京都/Jさん)
夜中にウンチをしないようにゴハンの時間を調整して
夜中にウンチをしないように、ゴハンを与える時間を調整してみるのもいいでしょう。また、ウンチを片づけられたらおやつを与えるようにすれば、誰もいないときに排泄しても食べずに残しておくようになるかもしれません。
【お悩み3】トイレシーツにしたオシッコをペロペロなめるように…
「排尿後、一度トイレから離れるものの戻ってきてなめています。「ダメ!」と注意したり、手をたたいて気をそらしたりしても無視です」(埼玉県/R.T.さん)
飼い主さんが喜んでいると勘違いしているかも!?
やめさせようとする飼い主さんのリアクションが〝喜んでいる〞ように見えて、わざわざしている可能性があります。騒がずに、好物のおやつで気をひいて、その間に粛々と片づけましょう。
食フン・飲尿が健康状態に影響することもあると藤本先生。「食フン・飲尿は病気の可能性がありますし、ほかの犬や動物のウンチやオシッコから感染症にかかる可能性もあります。健康のために動物病院で相談しましょう」(藤本先生)
お話を伺った先生/英国APDT 認定ペットドッグトレーナー、獣医師 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2023年5月号『愛犬のマニアック困りごと』
イラスト/二階堂ちはる
文/いぬのきもち編集室