かかりつけ医とは別の医師に意見を求めるセカンドオピニオン。犬の場合はどうしたらいいのか、獣医療におけるセカンドオピニオンについて、愛犬の病気で悩む飼い主さんのセカンドオピニオン診療に力を入れている獣医師の正岡久典先生にお話を伺いました。
犬ならではのセカンドオピニオンを知り、よりよい治療につなげよう
犬のセカンドオピニオンは、人のそれとはかかりつけ医への対応や流れが異なります。犬のセカンドオピニオンがどういうものなのか、どんなときに利用してどのように役立てるのかを知ることで、万が一愛犬が病気になった際に、最大限活用できるようにしておきましょう。
かかりつけ医とは別の獣医師に意見を聞くこと
犬の治療におけるセカンドオピニオンとは、かかりつけ医とは別の獣医師に意見を聞くことを指します。人の医療の場合は、別の病院の医師に意見を聞きますが、獣医療の場合、そこまで厳密ではありません。かかりつけ医と同じ動物病院に勤めるほかの獣医師に意見を求めることもセカンドオピニオンです。
また、飼い主さんが希望してセカンドオピニオンを受けるだけでなく、かかりつけ医のほうからほかの獣医師の意見を聞くことをすすめる場合もあります。
納得したうえで治療を進めるために意見を聞きます
かかりつけ医が出した診断や治療法について、説明を受けても納得がいかなかったり、疑問や不安をいだいたりした場合にセカンドオピニオンを利用します。別の獣医師の意見を聞くことで、かかりつけ医の診断を客観的に判断して疑問を解消したり、ほかの治療法を探ったりするための仕組みなのです。
愛犬の状態や治療法を違う角度から考えることができるので、病気に対する理解が深まりますし、納得のうえで治療を進めるのに役立ちます。
各獣医師の意見を参考にしつつ、最終的に判断するのは飼い主さん
複数の獣医師の意見のなかからどの検査や治療法を選ぶかは、飼い主さんが決めることです。判断に迷ったら、再度かかりつけ医に相談してもいいでしょう。
ただ、飼い主さんが元来かなり優柔不断な性格だという場合は注意が必要です。
「複数の意見を聞くことでかえって決められなくなってしまうと思うのなら、セカンドオピニオンは受けずに、かかりつけ医にとことん相談したほうが、結果的にいい場合も」(正岡先生)
ちなみに、セカンドオピニオンを受けることに多くの獣医師は賛成です
ほかの獣医師に意見を聞くとなると、かかりつけ医に悪い気がしてしまいますが、じつはそんなこともないよう。獣医師207人に行ったアンケート(※)では、90.3%が賛成と回答しています。
※「教えて! 獣医師先生」アンケート結果。ベネッセコーポレーション実施。アンケート期間:2022年12月1日~ 2023年1月27日、アンケート対象:獣医師(n=207)。
最後に正岡先生から。「飼い主さんから『セカンドオピニオンを受けたい』と言われても悪い気は起きませんし、そ
れで信頼関係が崩れることもないです。人の医療では当然のことですし、もっと肩の力を抜いて申し出てもらっていいと思います」
お話を伺った先生/志村坂下動物総合医療センター、および動物総合医療センター千葉・センター長。獣医師 正岡久典先生
参考/「いぬのきもち」2023年8月号『犬のセカンドオピニオンってこういうこと』
写真/尾﨑たまき、回里純子、佐藤正之、殿村忠博
イラスト/ mem
文/いぬのきもち編集室