春から秋はノミが活発に活動する季節ですが、愛犬のノミの予防はしっかりできていますか? 犬に寄生するノミは、どのような場所に多くいて、どのような病気を媒介する可能性があるのかを知っておくことは大切です。
「ノミからうつる可能性がある人と動物の共通感染症」について、いぬのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生が解説します。
ノミはどのような場所に多くいる?
ノミは日本のどの地域においても生息している昆虫の仲間(節足動物)で、自然界では草むらやヤブ、砂場などでみられることが多いです。
ノミは13℃以上、湿度75〜85%で活発に活動するため、室内に持ち込まれると犬の寝床や人間の布団、部屋の隙間、ほこりなどにも住み着くことがあり、犬の体に寄生すると皮膚からの吸血と産卵を繰り返します。
犬も人もノミが媒介する病気に感染するリスクがある
犬の体にノミが寄生すると、ノミが媒介する病原体によって愛犬がさまざまな病気にかかるリスクがありますが、ノミが媒介する病気には犬だけでなく人にも感染する可能性のある「人と動物の共通感染症」もあるので注意が必要です。
(※人と動物の共通感染症とは、同じ細菌やウイルスなどの病原体により、人と人以外の動物の両方が感染する恐れのある感染症のことをいいます)
ノミが媒介する犬の感染症
たとえば、ノミが媒介する犬の感染症には瓜実条虫症があります。瓜実条虫症は「体内に瓜実条虫の幼虫がいるノミの成虫」を犬が口にすることで感染することがある病気で、犬がグルーミングで体をなめる際などに口にしてしまうことがあるので注意が必要です。
ノミが媒介する人の感染症
ノミが媒介する病気は犬だけではなく人にもかかるリスクがあります。たとえば、瓜実条虫症や猫ひっかき病はノミを介して人にも感染する可能性がある病気です。
瓜実条虫症
犬の体に見つけたノミが病原体を持っていて、指や爪で潰してしまいその手が口に入るなどの場合では人も瓜実条虫症に感染する恐れがあります。
猫ひっかき病
ノミを介してバルトネラ菌という病原体を持っている猫にひっかかれたり犬や猫に咬まれたりすることで、人も猫ひっかき病に感染する恐れがあります。
飼い主がノミを介した「人と動物の共通感染症」にかからないための予防法
ノミは犬の体にくっついて室内に持ち込まれやすいため、散歩などで外出した際に愛犬の体にノミが寄生しないように予防をすることが大切です。
愛犬のノミ・マダニ予防を定期的に行なって家の中にノミを持ち込まないようにし、愛犬の寝床やよく過ごす場所などを中心に室内を常に清潔に保つよう心がけてください。
飼い主さんが思わぬ感染症にかからないためにも、愛犬のノミ・マダニ予防は忘れずに行いましょう。
(監修:いぬのきもち獣医師相談室獣医師・白山さとこ先生)
取材・文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください